2025年以来、中国大陸では極端な気象現象が相次いでいます。9月13日夜、北京市は突如として暴風雨に見舞われ、市内の広い範囲で雹が降りました。中にはピンポン玉に匹敵する大きさのものもあり、「北京の雹」は瞬く間にSNS上で大きな話題となりました。

 中国メディア「極目新聞」によると、この日夜間、北京市各地で雹が降り、小さなビーズ玉のようなものからピンポン玉ほどの大きさまで、さまざまな雹が地面を叩きつけました。豊台区の住民は「まるで空から氷をまき散らしているようで、これほど大きな雹は見たことがない」と語っています。現在も北京市全域で雷電の黄色警報と強風の青色警報が発令中です。

 「新京報」によれば、豊台区では短時間の雷雨と強風に伴って雹が密集して降り、地面一面が氷に覆われました。大興区でも雹が確認されています。豊台区の住民は「雨と雹が突然襲ってきて、ベランダには厚い層の雹が積もりました。大きさはそれほどではありませんが、とにかく数が多かった」と話しました。市民からは「洗濯物を取り込もうとしたら雹が体に当たって痛かった」「サンダルで外に出たら水が氷のように冷たかった」「半袖ワンピースで出かけたら凍えるほど寒かった」「大興区は地面が真っ白になり、ナツメの実ほどの雹が降って本当に怖かった」といった声も寄せられています。

 さらに天津市内でも雹が観測されました。住民は「20分前に天津河北区でも小さな雹が降った」「北京郊外の亦荘ではもっと大きな雹が降った」とSNSに投稿しています。

 北京市気象台は、13日17時から22時にかけて市内で局地的な雷雨が発生し、7〜9級の突風や山間部での雹を伴う可能性があると予測しました。この時、通州区や海淀区、西城区、朝陽区、東城区、大興区、石景山区、豊台区、房山区、門頭溝区の10区に雹の黄色警報が出されていました。

 気象観測データによると、13日16時から翌14日午前2時までの北京市平均降水量は6.8ミリでしたが、局地的には強い雨が集中しました。門頭溝区の達摩庄観測所では42.5ミリを記録し、通州区東馬各庄村では1時間で34.3ミリの豪雨となりました。また一部の雹は直径2センチ近くに達したといいます。西部山間部や豊台・大興・通州などでは7〜9級の突風が吹き、局地的には10〜11級の暴風が観測され、市民生活に影響を及ぼしました。

 北京市気象台の主任予報官は、今回の強い対流性気象について「低層の暖かく湿った空気と高層の冷たい空気がぶつかり、不安定な気層構造が形成されたことが原因です」と説明。その上で「北京では毎年4月初旬から9月下旬にかけて雹は発生しますが、今年はその強度と破壊力が例年より明らかに強い」と指摘しました。

 秋に入ってからも、北京では複数回大規模な雹被害が出ています。9月9日夜には延慶区や門頭溝区、懐柔区などで暴風雨と雷鳴に加えて雹が降り、地面が「白玉団子を敷き詰めたように」覆われました。中には鶏卵ほどの大きさもあり、自動車のガラスが割れたり車体がへこんだりする被害が出ました。さらに8月31日には、中国共産党の9·3閲兵を目前に控えた天安門広場上空でも雹が観測されています。

 注目すべきは、今年5月13日にも北京市中心部や昌平区、海淀区など13区で雹が確認されたことです。この時は鶏卵大のものから小籠包のような形のもの、さらには手のひら大の雹まで見られ、奇妙な形のものは「コロナウイルス雹」と呼ばれ、不吉な兆しだと話す市民もいました。

 今回の激しい雷雨や雹を伴う気象は北京だけにとどまりません。中中央気象台は13日午前10時、大気の状態が非常に不安定になることに伴う強い雷雨や雹の恐れがあるとして、青色警報を発表しました。13日午後から翌14日にかけて内モンゴル、東北、華北、江南などの一部地域で8級以上の雷暴風や雹が予想され、局地的には10級を超える暴風となる可能性があると警告しました。紅星新聞によれば、同日湖南省や貴州省、雲南省一帯でも大雨から局地的な豪雨が発生しました。

 専門家は「極端気象は地球温暖化の影響で頻度・強度ともに増す傾向にある」と警鐘を鳴らしています。中国気象局が発表した「中国気候変化ブルーブック(2025年版)」では、中国は気候変動に敏感な地域であり、今後も極端な豪雨や、雷雨・雹を伴うような激しい気象災害のリスクがさらに高まる可能性があるとしています。北京市気象台も市民に対し、防災意識を高め、屋外活動や生活設備の安全対策を徹底するよう呼びかけています。

(翻訳・吉原木子)