9月3日、北京の天安門広場で軍事パレードが行われました。中国の最高指導者である習近平氏、ロシアのプーチン大統領、そして北朝鮮の金正恩総書記が並んで登場し、世界の注目を集めました。しかし、行進の途中で三人が「臓器移植」や「不老長寿」といった話題を口にする様子が生中継で流れ、大きな波紋を呼びました。
映像には、習近平氏が故宮の城楼で各国首脳を迎え、その後プーチン氏と金正恩氏と並んで天安門城楼に向かう姿が収められていました。習氏が中央に立ち、両脇をプーチン氏と金正恩氏が固め、笑顔で言葉を交わしました。金正恩氏が「再び習主席にお会いできて嬉しい」と話すと、習氏は「私も嬉しい。久しぶりですね」と応じました。やりとりは和やかでしたが、その後の会話は一層注目を集めました。
年齢と寿命に話題が及ぶと、翻訳を通じてプーチン氏の発言が聞き取れました。「バイオテクノロジーが発展し続ければ、臓器は次々と移植され、人間はますます若返り、やがて不老長寿になる」と語ったのです。これに対し習氏は「予測は難しいが、この世紀には人間が150歳まで生きる可能性がある」と答えました。金正恩氏は微笑みながら習氏を見つめ、この話題に強い関心を示した様子でした。さらに習氏は「昔は70歳まで生きる人は少なかったが、今では70歳はまだ子供のようなものだ」とも付け加え、周囲から笑い声が上がりました。
プーチン氏はパレード終了後の記者会見で、習氏と寿命延長について語り合ったことを認めました。「私は習主席とこの話題について少し話しました。イタリアのベルルスコーニ元首相もかつて大変関心を持っていました。現代医学や臓器移植に関わる技術は、人類の寿命が大幅に延びる可能性を示しています」と述べました。しかし、この場面を含む映像はすぐに中国中央テレビの公式チャンネルから削除され、動画は「非公開」となりました。ただしBBCをはじめ複数の海外メディアがすでに保存しており、隠すことはできませんでした。
このやりとりは瞬く間に広まり、激しい議論を呼びました。習氏が天安門城楼に登る際、二度立ち止まり休憩し、歩みは不安定で顔色は暗く、頭部がむくんでいるように見えたことから、健康状態に不安があるのではないかとの憶測も広がりました。プーチン氏の発言は習氏の体調を探る意図や、習氏に対する皮肉まじりの「お世辞」ではないかとする見方も出ています。ネット上では「公然と臓器移植を話題にするとは信じられない」「まるで妖怪が唐僧の肉の効能を語っているようだ」といった批判や揶揄も飛び交いました。
SNS上では、中共が臓器移植を「支配の道具」として利用しているのではないかとの指摘も相次ぎました。「中国では臓器移植こそが最大の武器だ。世界中の要人を掌握する手段となり得る。他国では短期間で適合するドナーを確保するのは難しいが、中国ではすぐに実現できる。そして移植後は長期間にわたり中国の医療に依存せざるを得ず、それはつまり支配されることを意味する」との声もありました。さらに「国内では権力者の延命、国外では政財界の要人支配に利用されている。臓器移植はもはや政治的兵器だ」との批判もありました。
習氏が口にした「人間が150歳まで生きる」という言葉は、根拠のない発言ではありません。2019年、ラジオ・フリー・アジアは「981首長健康工程」と呼ばれる中国共産党幹部向けの医療計画に関する広告が中国のSNSで拡散したと報じました。このプロジェクトは2005年に始まり、癌や心血管疾患の予防、老化防止、慢性病管理、臓器再生などを含む包括的な健康管理体系を構築し、幹部の寿命を150歳まで延ばすことを目標に掲げていました。広告では「共産党幹部の平均寿命はすでに欧米の要人より長く、2008年には88歳に達した」と強調されていましたが、この広告はすぐに「国家機関の名義を不適切に使用した」との理由で削除されました。
米国在住の政治評論家・蔡慎坤氏は、この会話の音声が他の部分に比べて異常に明瞭であった点に注目し、意図的に公開された可能性が高いと分析しました。蔡氏は「これは習近平が長期政権を続ける意思を内外に示すシグナルだ。後継者探しなど存在しないという宣言でもある」と指摘しました。そして「もし独裁者たちが本当に150歳まで生きるようになれば、世界にとって極めて大きな脅威となる」と警告しました。台湾国防安全研究院の沈明室研究員も、プーチン氏がこの話題を出したのは習氏の健康状態を試す狙いがあったのではないかと述べました。彼は習氏が最近の公の場で歩みが不安定で、顔色も悪く見えたと指摘しました。シドニー工科大学の馮崇義副教授も「独裁者の不老長寿への欲望は昔から続いている。中共は臓器移植によって延命を図ってきたが、いずれ歴史の審判を受けるだろう」と批判しました。
国際社会も即座に反応しました。米国下院議長のマイク・ジョンソン氏は「中国の臓器移植については以前から恐ろしい話を聞いてきた。それらの臓器は『望まぬ提供者』から得られていることが多く、そう表現してもまだ控えめだ。今回のような会話が公の場で録音されたこと自体が重大だ」と述べました。その上で「これは我々の価値観と全く相容れないもので、邪悪とさえ言える。米国議会は既に関連立法を進めており、今後は優先課題として扱う可能性がある」と強調しました。
中共による臓器移植の問題は、長年国際社会で注目されてきました。特に1999年に中共が法輪功への弾圧を始めて以降、中国の臓器移植件数は爆発的に増加しました。調査団体「追査国際」によると、それ以前の20年以上で累計わずか135件だった肝移植が、1999年から2006年の8年間で1万5207件に急増し、年間平均1700件を超え、約180倍に膨れ上がったのです。
2006年には大紀元が内部告発者の証言を基に、中共が良心の囚人を殺害して臓器を摘出している事実を初めて報じ、世界に衝撃を与えました。その後も証拠は雪だるま式に増え続け、2019年には英国の独立法廷が「合理的疑いを排除できる形で、中共による大規模な臓器摘出が行われている」と認定しました。判決では、犠牲者の多くが法輪功学習者やウイグル人、その他の政治的異議者であると結論付けられました。
近年では、こうした行為がさらに拡大し、国内の異議者だけでなく、国外にも「特供臓器」として影響を及ぼす可能性が指摘されています。つまり、臓器移植は中共内部の延命手段にとどまらず、国外への影響力拡大や圧力の道具ともなっているのです。
今回の軍事パレードでの習近平氏とプーチン氏の会話は、高度に公開された場で偶然録音される形となり、中共の「権力者延命プロジェクト」と臓器移植の黒幕を再び世界の前にさらしました。この問題はもはや陰謀論ではなく、現実として国際社会の前に突き付けられています。あるネットユーザーの言葉を借りれば、「わずかな会話だけで、彼らの邪悪さが余すところなく露呈した」と言えるでしょう。
(翻訳・吉原木子)
