上海市浦東新区の三橋(さんきょう)小学校では、全校児童がわずか22人しかいない一方で、専任教師が23人配置されていることが分かりました。教師と児童の比率が1対1を上回るという極めて異例の状況で、経済発展が著しい大都市・上海でも子どもの数が急減している現実を示しています。中国では出生率の低下と人口減少が深刻さを増しており、その影響が教育現場にも及んでいることが改めて浮き彫りになっています。

公示された入学情報と学校規模

 公開資料によると、浦東三橋小学校は1916年に創設された、100年以上の歴史を持つ公立の全日制小学校です。

 浦東新区の公式サイトが4月に発表した『2025年浦東新区の義務教育学校入学情報公示』には、三橋小学校の現在の規模が記されています。それによると、クラス総数は5クラス、児童総数は22人で、平均すると1クラスに4〜5人しか在籍していません。一方、専任教師は23人おり、先生と生徒の比率は1対1を上回っています。

 このニュースに対し、多くのネットユーザーは驚きを隠せませんでした。「ここは中国を代表する大都市・上海であって、辺鄙な山村ではない。それなのに出生率はここまで深刻なのか」との声が相次ぎました。

 これについて、浦東新区教育招生試験センターの職員は「縦覧新聞(じゅうらんしんぶん)」の取材に対し、学校は割り当てられた学区に基づいて児童を募集しているだけだと説明しました。職員によれば「この小学校の学区内に実際に入学年齢に達した子どもはこれだけしかいない。対象となる区域内のいくつかの住宅団地はすでに移転が完了している」とのことです。

 記者がまた「公示情報にある通り、この小学校の在籍児童数は本当に22人なのか」と確認すると、職員は「その通りだと思う。詳細は学校に直接確認してほしい」と答えました。

 その後、記者が三橋小学校の公開電話にかけたところ、応答した職員は「確かに学校には5クラスある」と認めましたが、その他の詳細については「まだ新学期が始まっておらず、教師も出勤していないので分からない」と話しました。

 一線都市である上海は、常に人で溢れかえっている印象があります。経済は高度に発展し、就業機会も豊富で、全国各地から多くの卒業生がキャリアを求めて集まってきます。通常であれば、働く場所が結婚・出産の場所となるはずです。

 それなのに、学校が子どもをほとんど集められず、深刻な「児童不足」に直面しているのは一体なぜでしょうか。

都市と農村の発展における人口・資源投入の極端な不均衡

 「中華網」教育チャンネルは、教育資源の合理的な分配という観点から見ると、これほど高い教師と児童の比率は極めて稀であると指摘しました。通常、学校は児童数に応じて教員を配置し、教育資源の最適化を図るものです。

 搜狐網の「リンリン教育ガイド」の記事はこう説明しています。「児童数は少なくても、教師は皆安定した公務員の職を持っている。しかも23人の教師にはそれぞれ担当科目があり、5つのクラスに分けざるを得ないのも事情だろう。そうすれば、すべての教師が担当科目を持て、完全に仕事がなくなるのを避けているのだ」

 ネットユーザーからは不満の声が相次ぎました。

 「これはまるで超豪華な配置だ。教師の数が児童より多いとは」

 「大都市には人口があれだけ多いのに、子どもが集まらないのは政策のせいだ。地方戸籍に対する制限が厳しすぎる。出稼ぎ労働者の子どもは、親が働く都市で学校に通えない。私の子どももアモイで同じ状況だ。公立学校は制限が多くて入れず、仕方なく私立に通わせている。年間約80万円もかかり、大学の学費より高い」

 「出生率が急激に下落している。数年前までは幼稚園の門前で何日も何晩も並んで入園申し込みをするというニュースをよく耳にした」

 「3年前、息子が小学校に入るときは、抽選で入学できるかどうかが決まる制度だった。結局抽選に外れてしまい、仕方なく約120万円払って入学枠を買った。それが今では抽選どころか、直接申し込めば入学できる。たった3年で別世界のように変わってしまった」

 「うちの地域の小学校は児童7人に教師21人。本当か信じられるか?温州の永嘉だ。デマではない」

 「これは農村だけではない。いくつか中規模都市でも幼稚園が閉園し始め、小学校も児童を集められなくなっている。これらは1980年代に始まった一人っ子政策の結果だ。出生数が急減し、深刻な高齢化が進んでいる。今後あらゆる業界が影響を受け、特に年金財政には大きな圧力がかかる」

 「考えれば分かることだ。今の若者は都市で家や車を買ってから結婚するのが当たり前で、子どもが村に戻って学校に通うことなどあり得ない。だが問題は、都市に出た若者たちは毎月住宅ローンや車のローンを返済しており、結婚や出産をする余裕がないということだ」

 「社会保障制度が整っていない中で、国民は生きるだけでも大きなプレッシャーにさらされている。子どもを産んでどうするのか。苦しむためにこの世に送り出すのか。結局お金は一部の人間に流れてしまい、庶民には子どもを育てる余力が残されていない」

 「こちらの小学校一年生のクラスには70人の児童がいる。今年は同じような一年生のクラスが36もある。教師が足りない。教育資源の偏りが深刻だ」

「上海の教師は余裕があるのに、山間部では教師不足で支援教師が必要だ。これは大国の都市と農村の発展における人口と資源投入の極端な不均衡を客観的に反映している。政治家が真剣に取り組むべき大問題だ」

人口が減少し続けている

 近年、中国全土で小学校や幼稚園に通う適齢人口が減少し、学校閉鎖の波が広がっています。公式データによると、2024年には全国の小学校が約7200校減少し、幼稚園は2万1000以上減少しました。そのうち江西省では、2024年秋までに児童数が100人未満の小規模な農村学校5943校が統合・廃止されました。

 ブロガー「老楊微観(ろうよう・びかん)」は記事で、学校閉鎖の直接的な原因は出生人口の持続的な減少にあると指摘しました。中国当局は、一人っ子夫婦に二人目の出産を認める政策を経て、すべての夫婦に二人目を認める政策、さらに三人目の出産を認める政策へと段階的に規制を緩和したにもかかわらず、出産意欲は根本的に高まらなかったのです。

 「老楊微観」は、都市化が進む中で高まる生活費や教育費、価値観の変化が、人々の出産判断を静かに変えてきたと述べました。これは単なる数の減少ではなく、社会構造そのものの根本的な転換であり、従来の「子どもは多いほど幸せ」という価値観は現代的な生活様式によって再定義されつつあるのです。教育制度こそが、この変化を最も早く実感する分野となっています。

(翻訳・藍彧)