9月3日、北京で軍事パレードが実施される中、中国の全国各地では抗議の動きが相次ぎ、社会全体の緊張が一層高まっています。最近、北京市内の掲示板に「総書記は退陣せよ!」と題する壁に張り出された大型の抗議文書、大字報が出現し、習近平氏を名指しで批判する内容がネット上で広まり、大きな注目を集めました。

 SNS「X」の複数の投稿によれば、8月31日、北京のある掲示板に張られていた「総書記は退陣せよ!」と書かれた大字報がが発見されました。署名は「老工人」、日付は2025年8月13日とされますが、掲示場所は特定されていません。この文書には、国際情勢が急速に変化している状況の中、習氏の政治的リーダーシップでは効果が見られないと批判されている内容が記されていました。さらに、中国共産党内部で汚職が「集団化」「グループ化」していて進展していると指摘し、習氏には、党員や指導層の模範的役割も見られないと訴えています。結びでは「現実を踏まえると、習近平氏は総書記職、党の最高指導者として不適任である」と断じています。

 ネット上にはこの出来事が広く拡散され、多くのコメントが寄せられました。ある投稿者は「要点は三つ。政治活動の弱体化、個人崇拝への不信、最高指導者として、不適格だ」とまとめました。また「習近平はあらゆる人を敵に回した」「毛沢東派ですら習の退陣を望んでいる」といった意見や、「年内に全国規模の抗議運動が起きるのでは」との声も見られました。さらに「毛派も国内ネットで弾圧されており、習近平退陣要求について、VPNを使い、国外に発信せざるを得ない」と指摘する書き込みもありました。

 このほか、「中国人は目覚めつつある。もはや中共を恐れていない」「一日でも早く中共が崩壊すれば、中国人の苦難は短くなる」「憲政民主こそ唯一の道だ」といった強い批判が相次いでいます。別の衝撃的な出来事も伝えられました。8月30日、時事評論家の胡力任氏がYouTubeで明かしたところによると、8月28日午後3時頃、中南海の国務院弁公庁で一人の職員が突如「習近平は退陣せよ!」と大声で叫び続けたといいます。その人物は40歳前後の南方出身者で、同庁に6年以上勤務していました。李克強元首相の在任中には秘書室で日常政務の調整を担当していたとされています。叫び声は庁舎全体に響き渡り、すぐに警備当局に拘束されました。胡氏は「このような出来事は国内では報じられず、必ず封鎖される。独裁体制において最高指導者への退陣要求は最大の禁忌であり、まさに政治的核爆発だ」と指摘しました。さらに9月1日には、北戴河で李克強元首相の未亡人、程虹氏が中共の長老に向けて発言した事が伝えられました。程氏は「前首相の死因不明を容認するなら、明日誰が安全だと言えるのか。私は真相を求める」と訴え、この発言も大きな反響を呼びました。

 一方、北京市内では「トイレ革命」と呼ばれる抗議活動も確認されています。公衆トイレの扉や壁に「習近平は9・3軍事パレードを強行する。中共は即座に滅ぶべきだ」「独裁者退陣」「中国に民主と法治を」といったスローガンが書かれており、「全民反抗」を呼びかけるものもありました。河北省の複数都市でも、街頭に反共スローガンが掲示されたと報告されています。

 中でも衝撃を与えたのは、8月29日夜10時、重慶大学城の熙街で発生した事件です。高層ビルの外壁に巨大なスローガンが投影され、50分以上続きました。映し出されたのは「共産党なき中国こそ真の中国だ」「自由は奪い取るもの」「赤いファシズムを打倒せよ」「暴政中共は退陣せよ」といった強烈なメッセージでした。

 この行動を起こしたのは重慶の市民、戚洪氏でした。現場には自筆の手紙も残され、「中共の罪は枚挙にいとまがない。他人を巻き込むな。悪に加担するな」と警察に訴える内容が書かれていました。さらに「私はどの組織にも属していない。誰も好き好んで亡命生活を送りたいわけではない。安定した暮らしを望まない人などいない」とも記していました。最新の情報によれば、戚洪氏は妻と二人の幼い子どもと共に国外に脱出し、一家は英国に到着して安全が確認されています。
 
 このように、中共の「9月3日軍事パレード」を前に、北京市をはじめ各地で反発の声が相次いでいます。強権的な統治の下でも抗議は収まらず、むしろ頻度と習近平氏の退陣を要求するなどの直接性を増しており、中共政権がかつてない試練に直面していることが浮き彫りとなっています。

(翻訳・吉原木子)