8月24日、海南省三亜市は40年ぶりとなる最強クラスの台風13号の直撃を受けました。猛烈な風雨で樹木が根こそぎ倒れ、屋根が吹き飛び、高層ビルも大きく揺れました。住民の多くは恐怖のあまり地下駐車場に避難しました。三亜市は甚大な被害を受け、市政府は初めて「五停一関」(停課・停工・停業・停運・停航・観光地閉鎖)を発動し、3万人が緊急避難しました。
中国新聞社によりますと、海南省政府は25日の記者会見で、台風13号が24日午後に強台風へ発達し、夜間に海南島南部沿岸をかすめたと発表しました。最接近時には三亜市のわずか22キロ沖まで迫り、中心の幾何学的な部分は完全に上陸しなかったものの、一部の台風眼が陸地に入り込み、実質的には上陸に匹敵する影響を及ぼしました。
三亜市は台風13号の12級風圈に6時間以上覆われ、全域で14級以上の暴風が観測されました。白鷺公園観測所では最大風速41.8メートル毎秒を記録し、1958年の観測開始以来の最高値を更新しました。海南島南部一帯では広範囲に大雨・豪雨が降り、局地的には特大暴雨となりました。
市内の一部では突風が17級を超え、街路樹が相次いで倒れ、海辺では高さ5メートルの大波が押し寄せました。海景ホテルのガラスが破壊され、市街地は壊滅的な光景となりました。SNSに投稿された映像には、冠水した自動車が横転し、強風で車体が地面に突き刺さるように倒れる場面も映っていました。倒木により女性が直撃を受けかける危険な瞬間も記録されています。
住民からは恐怖の声が次々と上がりました。三亜市に住む郭さんは「24階に住んでいますが、まるで地震のように建物が揺れ続けていました」と振り返ります。彼の映像には、豪雨と暴風で視界が真っ白になり、窓ガラスが一枚丸ごと吹き飛ばされる様子が映っていました。市内の店舗を経営する陳さんも「夕方に屋根が吹き飛ばされ、防護策も全く役に立ちませんでした」と語り、店内の商品が無残に散乱しました。
道路には倒木が散乱し、街頭のフェンスは壊れ、鉄製の簡易建物は風に揺さぶられました。三亜市気象台は24日夜、「今後12時間、三亜市の沿岸および陸上では平均風力12~13級、最大で14~16級に達し、大雨が続く」と警告を発しました。
海南省のネット上でも多くの声が寄せられています。「報道では12級と言っていたが実際はそれ以上。24階の建物はずっと揺れていた」「車を運転していたが、真っ暗で何も見えなかった」「本当に恐ろしい体験だった」とのコメントや、「上陸していないのにこの威力は恐ろしい」「今年は台風が多すぎる」「自然の力を軽視してはいけない」といった書き込みが広がりました。
海南省政府の発表によると、今回の台風13号は観測史上、三亜市に最も大きな影響を与えた台風とされています。24日8時から25日8時にかけて三亜市全域で豪雨となり、特に海棠区の青田村では累積雨量389.2ミリ、市街地でも219.4ミリを記録しました。後海村の港では最大瞬間風速55.4メートル(16級)を観測しました。三亜市全体では2万本以上の樹木が倒れ、ある住宅地では水深70センチの浸水が発生、7つの行政村で断水し、7,000戸以上が影響を受けました。
被害は海南全域に広がりました。楽東県では13の村で断水し、病院の地下室が浸水しました。陵水県では2万本以上の樹木が倒れ、通信基地局658基が機能停止、固定回線ユーザー6,448戸、モバイルユーザー4,370戸が通信不能となりました。三亜市、楽東県、陵水県、万寧市、保亭県、五指山市などでも道路寸断、断水、停電、通信障害が相次ぎました。海南省全体では25日9時時点で被災者が10万2,500人に達しています。
一方で、多くの海南省住民は今回の台風被害を2024年の超強台風「摩羯」と重ね合わせました。当時、海口市や文昌市など19の市県で数十万人が被災し、直接的な経済損失は約600億元に達しました。今回の台風13号の被害も同様に深刻で、人々に自然災害の脅威を改めて突きつけています。
さらに、台風の影響は海南省にとどまりませんでした。広東省では珠江口以西の海域(珠海を含む)で全ての漁船が港に避難し、広西チワン族自治区では北海~涠洲島航路が24日と25日に運休となり、2万人以上の旅客が緊急輸送されました。
現在も復旧作業が続いていますが、三亜市の街路には折れた大木や浸水した車両が残り、豪華ホテルの大扉が吹き飛ばされた跡も生々しく残っています。今回の台風13号は、大自然の力を改めて人々に強く意識させる出来事となりました。
(翻訳・吉原木子)
