8月16日夜、内モンゴル自治区バヤンノール市で、突発的な山津波が発生し、野外でキャンプをしていた5家族13人が被害に遭いました。これまでに10人の死亡が確認され、2人が行方不明、1人が救助されています。
中国中央テレビや新華社通信によりますと、山津波が起きたのは16日午後10時ごろ、バヤンノール市ウラト後旗ウガイ蘇木の東ウガイ溝付近です。突然の濁流により、キャンプしていた13人と車両が一気に押し流されました。当局の発表では、17日午後5時20分までに10人の死亡が確認され、2人が行方不明のまま、1人が救助されました。
救助された生存者は19歳の女性で、今年大学入試を終えたばかりだということです。彼女は車に戻らず高台へ走って逃げたことで助かり、現在は病院で治療を受けており、命に別状はありません。同行していたのは5家族で、男性8人、女性5人の計13人でした。
現場は観光地として整備された場所ではなく、旅行者が自主的に選んで野営していた場所でした。バヤンノール市の関係者によると、今回の山津波は16日から17日にかけての集中豪雨が原因で、最大降水量は201.4ミリ、1時間あたりの最大降雨量は57.2ミリに達したとされています。この大雨で複数の谷が同時に氾濫し、市は「防災レベルⅢ」「暴雨気象災害レベルⅢ」「自然災害救助レベルⅢ」といった応急対応を発動しました。
この事故は中国のインターネット上でも大きな反響を呼びました。ある住民は「子どもが何人も犠牲になり、本当に痛ましい」とコメントし、また「臨河婦幼保健院のある科の職員が被害に遭った」との声もありました。さらに「内モンゴルの山は岩山が多く、水を貯められないため、大雨が降るとすぐ山津波が発生する」と指摘する投稿もありました。別の住民は「数年前、ウーチュアンでも数家族が山津波に流され、一人しか助からなかった。自然を恐れるべきだ」と書き込みました。
また、地元住民の証言によると、当初は7台の車で訪れていたものの、テントを張っていた際に放牧中の住民から「雨が降るから危険だ、早く帰った方がいい」と忠告され、2台は引き返して無事だったということです。今回助かった女性も、高台に避難したことで一命をとりとめたとされています。
今回の災害は、中国各地で相次ぐ極端な気象の一環とみられます。今年は南部から北部まで、暴雨、洪水、猛暑といった異常気象が続いています。8月7日夜には甘粛省蘭州市榆中県で大規模な洪水と土石流が発生し、複数の郷鎮で深刻な被害が出ました。当局は9日夜の時点で、15人が死亡、28人が行方不明、15人が負傷、被災者は3万人以上と発表しましたが、実際の被害はさらに大きい可能性があるとみられます。
中国中央気象台は8月18日午前6時、高温黄色警報と暴雨青色警報を続けて発表しました。高温警報では、陝西省、四川省、新疆ウイグル自治区、華北や長江流域などで35〜39度の高温が予想され、局地的には40度を超えるとしています。暴雨警報では、18日午前8時から19日午前8時にかけて、北京、天津、河北、内モンゴル、陝西、山西、広東、広西、海南など広範囲で大雨から豪雨が予想され、局地的には100〜120ミリに達し、雷雨や突風を伴う可能性があると警告しました。
同じ18日、内モンゴル自治区オルドス市でも大雨が発生し、少なくとも3人が死亡、3人が行方不明となりました。18日午後から19日未明にかけて東勝区では最大214ミリの豪雨が観測され、市街地は冠水しました。ネット上の映像では道路が川のようになり、多くの車が水没している様子が確認できます。住民からは「午後4時から夜中3〜4時まで5〜6時間も雨が降り続いた」「マンションの地下駐車場まで浸水した」「万達商場付近で6時間も立ち往生した」「ホテルまで400メートルの距離を2時間以上動けなかった」といった証言も寄せられました。
さらに「フフホト、包頭、オルドス、ウーハイまで広範囲で大雨が降り、洪水が各地で氾濫している。北方では50年以上見たことのない規模の雨だ。今年の被害は甚大だ」との声もあります。新華社通信によると、19日未明には東勝区で3人の遺体が見つかり、またダラト旗でも暴雨によって3人が行方不明になったと報じられています。当局の発表以上に深刻な被害が出ている可能性が否定できません。
中央気象台の予測では、今後5日間、青海東部、甘粛中東部、陝西北部、華北北部、内モンゴル河套地域などで断続的に雷雨が発生し、局地的には150ミリを超える雨量となる恐れがあるとしています。短時間で集中豪雨となり、雷や突風、雹を伴う可能性もあると警戒を呼びかけています。主任予報官の徐珺氏は「18日夜から19日、さらに20日から22日にかけて降雨のピークが訪れ、短時間で集中的な豪雨が起きる恐れがある」と述べました。
また、暴雨だけでなく雹の被害も各地で確認されています。8月18日午後には内モンゴル自治区エルグナ市で直径が卵ほどの雹が20分以上降り続きました。ネットに投稿された映像では、車やテントが破損し、庭先の野菜も壊滅的な被害を受けている様子が映っています。民宿を営む住民は「午後4時15分ごろ、屋根に雹が激しく叩きつけられ、大きな音がした。鶏卵と同じくらいの大きさだった」と証言しました。市街地では15分から30分間にわたり雹が続き、同市気象台は18日中に雷電黄色警報を3回発表し、雷、短時間の強雨、突風、雹などへの警戒を呼びかけました。
(翻訳・吉原木子)
