8月14日午前0時30分ごろ、台風11号が福建省漳州市漳浦県の沿岸に上陸しました。上陸時の中心付近の最大風速は約30メートル(11級)、中心気圧は990ヘクトパスカルで、強い熱帯性暴風雨に分類されます。台風は時速30〜35キロで西寄り北方向に進み、今後も広東省、広西チワン族自治区、湖南省、貴州省などで大雨や局地的に非常に激しい雨が予想されています。
漳浦県沿岸では上陸時に猛烈な風雨に見舞われ、街路樹が大きく傾き、強風で根こそぎ倒れた木が駐車中の車を押し潰しました。ネット上に投稿された映像には、折れた枝や倒木が道路をふさぎ、露店が吹き倒されて横たわる様子が映っています。地元住民は「午前0時から1時ごろが最も風が強く、窓がゴーゴーと鳴り続け、吹き飛ばされそうだった」と話し、配達員の男性も「非常に恐ろしかった。配達中に木の枝が落ちてこないか心配だった」と振り返りました。
福清市沙埔鎮東陳村付近では、風力発電設備が強風で途中から折れ、ブレードが落下して損傷しました。沙埔鎮政府によると、台風による被害であり、すでに現場での処理が進められています。莆田市では道路上の鉄製骨組みが吹き飛ばされ、通行中の車両を直撃しましたが、けが人の有無は分かっていません。警察によれば、台風期間中に広告看板の落下に関する通報が多数寄せられたということです。泉州市の住民は「雨は降っていなかったが、風が非常に強く、6階の自宅でも建物全体が揺れるように感じた」と話しています。
台風の影響で福建沿岸の多くの航路が欠航となりました。8月13日までに、39本の旅客フェリー航路と141隻の旅客船が運航を停止し、厦金航路や泉金航路を含む「ミニ三通」の4航路もすべて運休しました。厦門、漳州、泉州、莆田など沿岸各地の漁船はすでに港に避難しています。鉄道も京広線、京九線の一部列車が運休し、杭深高速鉄道、甬広高速鉄道、梅汕高速鉄道の一部列車も臨時運休となりました。
台風はその後、広東省内陸部へと進み、14日午後2時には中心が広東省韶関市に達しました。過去6時間で広東省各地は明らかな降雨に見舞われ、一部では累計降水量が50ミリを超え、広州市で74.5ミリ、恵東県では147.1ミリに達しました。広州市では最大1時間降水量が39.4ミリを記録。中央気象台は、14日午後から15日にかけて広東省北部や沿岸部で大雨が続き、一部では非常に激しい雨となる恐れがあるとしています。
14日朝の時点で、台風11号の中心は広東省河源市にあり、最大風速は8級まで弱まり熱帯性暴風雨となりましたが、降雨の勢いは衰えていません。広東省の大部分は依然として台風の雨雲に覆われ、河源市、梅州市、汕尾市などで暴雨紅色警報(大雨の最高レベル)が、梅州、揭陽、汕頭、潮州などで暴雨橙色警報、韶関、広州、深圳、江門、陽江などで暴雨黄色警報が発令されています。
中央気象台によりますと、14日午前8時から15日午前8時まで、福建省中南部および沿岸部、広東省東部および沿岸部、江西省南部、広西チワン族自治区、湖南省中南部と西北部、貴州省東部で大雨から豪雨、局地的には250〜280ミリの大豪雨が予想されます。1時間に20〜50ミリ、局地で70ミリを超える短時間強雨や雷雨、突風などの激しい気象も伴う見込みです。
専門家は、台風が上陸しても危険が去ったわけではないと警告しています。福建省や広東省では引き続き山洪や土砂崩れなどの二次災害への警戒が必要です。特に広西北部や湖南南部では、台風11号の残余循環が長時間滞留し、降水時間が長く累積雨量が多くなる恐れがあり、地質災害のリスクが高まります。広東省ではすでに防汛・防台風の緊急対応が発動され、10万人以上が緊急避難・移転しました。
統計によれば、1949年から2024年までに福建省に上陸した台風の多くは熱帯性暴風雨か強い熱帯性暴風雨で、全体の約58%を占めます。台風級は35.7%で、強い台風や超大型台風は合わせても7%未満です。今回の台風11号は上陸時こそ強い熱帯性暴風雨でしたが、その破壊力や風雨の範囲、その後の影響は大きく、防災への警戒を緩めることはできません。
(翻訳・吉原木子)
