近年、中国では若年層を中心に「突然死」が相次いでいるとして、SNS上で不安と議論が広がっています。2024年の夏以降、特に30代から50代の中年層が心疾患や脳卒中などで急死するケースが目立つようになり、「身近な人が次々に亡くなっている」という投稿が多く見られるようになっています。
7月10日には、中国のあるネットユーザーが、「ここ2年で身の回りで亡くなる人が非常に多い。今年は特に突然倒れる人が増えるだろう」と警鐘を鳴らしました。このネットユーザーによりますと、病院に勤務する旧友から「救急科で今最も恐れられているのは、1980年代や90年代生まれの患者だ」と聞いたそうです。この年代の人達は、慢性的な睡眠不足やストレス、過重労働などが重なり、ある日突然命を落とすケースが増えているといいます。
同様の声は他のユーザーからも多く寄せられています。ある投稿者は「私は今年43歳ですが、すでに同級生が何人も亡くなっています」と明かしました。「祖父母の世代よりも、私たちの方が先に亡くなってしまうのではないか」といった不安の声もありました。また、「心筋梗塞で突然亡くなった同年代が複数いる」と語る人もおり、心臓や脳の血管に関わる疾患が主な死因として挙げられています。
吉林大学第一病院の心血管センター主任医師である姜雅秋氏も、SNS上で「ある日だけで40歳以上の患者10人以上が、狭心症によりカテーテル検査を必要とする診断を受けました」と明かしました。「心筋梗塞や突然死は、まるで音もなく忍び寄る暗殺者のように若者たちを襲っているのです」と語り、注意を呼びかけています。
SNSにはこうした体験談が数多く投稿されており、広東省のユーザーは「学生時代、クラスに40人いましたが、今も生きているのは十数人だけです。すでに20人以上が亡くなっています」と記しています。「元気だった91年生まれの従兄弟が五一(労働節)の前に突然亡くなりました」「麻雀をしている最中に倒れて、そのまま亡くなった人もいます」といった報告も目立っています。
こうした現象の背景には、「新型コロナウイルスの後遺症」や「ワクチン接種の副作用」があるのではないかと疑う声も後を絶ちません。「3回目のワクチン接種の副反応は軽くない」「免疫力が低下したまま戻っていない」「接種後に体調が悪化した」といった投稿が多く見られます。これらの主張には科学的根拠が明確に示されているわけではありませんが、政府による情報公開の不足が、こうした不信感を助長していると考えられます。
このような状況の中、中国国内の医師が海外メディアに対して「新型コロナは終息していない」と証言したことも話題になりました。この医師によりますと、政府は「政治的判断」に基づき、「新型コロナ」という言葉そのものの使用を禁じ、感染拡大を公に認めようとしていないということです。
湖南省株洲市の中医学医師・陳揚氏は、「このウイルスの感染は今も続いています。実際には一度も止まっておらず、患者は絶えず来院しています」と語りました。「西洋医学で効果が出なかった患者が私のところに来て漢方薬を使います。うまくいけば回復しますが、亡くなった場合でも“ウイルスのせいだった”とは言えません」と明かしました。さらに、「中国の人口のうち、まだ感染していない人が10億人もいるかどうかは分かりません。これまでに数億人がウイルスで亡くなっていると私は考えています」と述べました。
中国疾病予防控制センター(CDC)が7月5日に発表した2024年6月の法定感染症データによりますと、乙類感染症の発症件数は60万5192件、死亡者数は2311人でした。そのうち最も多かったのは「新型コロナウイルス感染症」であり、現在も全国的に感染が続いていることが明らかとなっています。
さらに、広東省佛山市ではチクングニア熱の感染が拡大しており、隣接するマカオにも波及しています。にもかかわらず、当局による情報公開は極めて限定的であり、国内外で「感染状況を意図的に隠蔽しているのではないか」との疑念が強まっています。
突然死への恐怖、感染症への不安、そして政府の情報封鎖への不信感が複雑に絡み合う中で、多くの人々が不安な日々を過ごしています。SNSは、そうした声の受け皿となる一方で、真実が見えないまま、噂や恐怖が拡大していくという悪循環も生まれつつあります。
(翻訳・吉原木子)
