中国共産党(以下、中共)が関与しているとされる臓器の強制摘出・移植や臓器売買の問題は、長年にわたって国際社会の注目を集めてきました。近年、中国国内では「一家全員失踪」の事例が急増しており、社会的にも大きな関心を呼んでいます。

母子3人が同時に失踪 臓器摘出疑惑が浮上

 動画共有プラットフォーム「ティックトック(TikTok)」では、多くのネットユーザーが一家複数人の集団失踪に関する投稿を行っており、ネット上では「これらの失踪は臓器摘出と関係しているのではないか」との憶測が広がっています。あるネットユーザーは怒りを込めて「ここは人間の世界ではなく、地獄だ」と投稿しました。

 X(旧Twitter)のネットユーザー「邓丽婷是茉露(トン・リーティンはモル)」は、ある動画を引用して次のように述べました。「中国では全家族が一斉に失踪するケースがどんどん増えている。山東省聊城(りょうじょう)市の母子3人が4月2日に姿を消し、生死も不明。これは本当に恐ろしい!」と警鐘を鳴らしています。

 写真には、行方不明となった36歳の母親・耿文娟(こう・ぶんえん)と、1歳の女の子、4歳の男の子の姿が写っています。
多くのネットユーザーは次のようなコメントを寄せています。
「臓器移植の病院に連れて行かれたに違いない」
「きっと大物幹部の臓器の一部が壊れたのだ!交換が急務で、巨額の金が動いたのだろう」
「ここ10年ほどで青少年の大量失踪が相次いでいる。臓器摘出ビジネスは非人道的かつ急成長しており、あまりにも恐ろしい」

小児ドナーを探す実習医の証言も

 海外メディア「大紀元」の報道によれば、湖南省に湘雅(しょうが)第二病院の実習医だった羅帥宇(ら・すいう)は、数多くの証拠を収集しました。その中には、病院側が3歳から9歳の子ども12名のドナーを探すよう彼に指示したことに加え、臓器摘出時の音声を録音したデータも含まれていました。

 この件に関する調査では、同院が小児の臓器提供者を移植や研究の目的で探していた疑いがあり、ドナーの出所が不明であることも判明しました。患者の中には、数日から数時間で移植が行われたケースもあり、臓器提供が極端に不足している中国においては、違法な臓器取得が行われているのではないか、さらには生きたまま摘出された可能性があるとの懸念が広がっています。

一人が殺害され、家族全員が失踪 各地で相次ぐ不可解な事件

 X上のネットユーザー「憤怒的公牛(ふんぬのこうぎゅう)」は6月12日に、大学生・李嘉隆(り・かりゅう)の失踪事件について、写真を投稿しました。李嘉隆はすでに120日以上も音信不通となっており、その後、彼の家族4人も行方が分からなくなりました。一家5人がそろって消息を絶ったのです。

 似たような事件は江蘇省連雲港(れんうんこう)市でも起きています。同市灌雲(かんうん)県に住む43歳の男性・張強(ちょう・きょう)は、2024年1月19日にネット上でライブ配信を行った直後、一家全員が突如失踪しました。それ以来、全く手がかりがない状況が続いています。

 また、あるネットユーザーは次のような投稿を行いました。「6月初旬のわずか5日間で、河北省邢台(けいたい)市、山東省新泰(しんたい)市、山西省晋城(しんじょう)市、湖南省岳陽(がくよう)市、青海省西寧市、甘粛省白銀(はくぎん)市、貴州省遵義(じゅんぎ)市、遼寧省朝陽市など各地で多数の人々が『行方不明』になっている」。失踪者の年齢は6歳から22歳までと幅広く、国民からは「どれほど邪悪な勢力がこんな大罪を犯しながら、いまだに裁かれずにいるのか」との怒りの声が噴出しています。

 報道によると、2024年の中国における失踪者数は309.7万人に達したとされています。

学生失踪の背後に中共官僚 内部告発で浮上

 5月24日、Xアカウント「邓丽婷是茉露」は河南省信陽市の紀律検査機関の官僚に関する内部告発を投稿しました。体制内の関係者の証言によれば、学生の失踪事件は地元の中共官僚と関係があるとされます。これらの官僚は、しばしば民間企業の経営者を拘束し、「鄭州市の病院と結託して幹部のための臓器提供を手配するように」と強要していたというのです。

 投稿にはこう記されています。「彼らは多くの中学校の校長を呼び出し、1人につき500万元(約1.1億円)の不正資金を返還するよう迫った。拒否すれば拘束される。資金がない校長には、学生の健康診断と血液型検査を実施させ、臓器移植の適合者を探すよう強要していた。人間のすることではない!」

 ネットユーザーの中には「中共が人の臓器を摘出していることは世界中に知られている。信陽市の官僚が中学校の校長に命じて学生の血液型を調べ、官僚の臓器に適合させるとは、こんな非道な行為が中国本土では常態化している。今回たまたま信陽市の罪悪が明るみに出ただけだ。中共が崩壊しない限り、国民は永遠に奴隷のままだ」と指摘する声も見られました。

中共が「臓器提供コーディネーター」育成を加速 不信感高まる

 2024年9月24日付の『澎湃新聞(ほうはいしんぶん)』によれば、中国人体器官提供管理センターは、湖南省長沙(ちょうさ)市にて「第41期・全国臓器提供コーディネーター養成研修」を開催しました。研修内容には、臓器提供の手続き、法規、実務経験の共有などが含まれていたとのことです。

 この取り組みは2010年の臓器提供試行制度の開始とともに導入され、たとえば重慶市ではすでに100名近いコーディネーターが配置されているといいます。しかし、これに対して多くの国民が疑問を抱いており、「要するに子どもを捕まえるための制度では?」「臓器売買組織の隠れ蓑にすぎない」といった批判が相次いでいます。

「活摘車両」はスルーせよ 警察官が内部告発

 5月29日、中国の著名な法律系ブロガー「羅翔(ら・しょう)」はXで、複数の中国人警察官による内部告発のスクリーンショットを公開しました。それによると、「地方政府の上層部が、臓器摘出に関わる車両を調査しないよう命じている」とのことです。

 スクリーンショットには、ナンバープレートがなく窓も密閉された白いワンボックス車が道路を走行しており、その不審な様子が映っていました。

 あるコメントでは「四川省には基地があり、私は補助警察として勤務していたが、ナンバーのないワゴン車が走っていても上層部の指示で検問できなかった」と証言しました。別の人も「私は交通警察だが、うちの上司からは『何も見なかったことにしろ』と命じられていた。生活のため逆らえないが、明らかにこの車は普通じゃない」と話します。

 ネット上では、「狂気の臓器摘出ビジネスは中共幹部の主導によるものだった」「中共は臓器を使って国外の権力者を買収し、国内では出世や利益のための取引材料にしている」などの指摘が出ています。

 あるユーザーは、「臓器摘出に関与しているとみられる3種類の白いバン」の写真を投稿し、「失踪する子どもが日々増えている。親は必ず子どもにこのタイプの車に近づかないよう教えるべき」と警告しています。

「条例」施行の背後に潜む巨大な「供体庫」

 2024年5月1日から、中国では『人体器官提供および移植条例』が正式に施行されました。これは李強首相が署名し、公布したものです。

 国際NGO(非政府組織)「法輪功迫害追跡国際組織(WTOIFG)」は、長年にわたる調査の中で「中国の臓器移植産業は、法輪功修煉者の臓器を生きたまま摘出することから始まった」と指摘しています。報告書によれば、1999年以降、江沢民元国家主席の指示により、多数の法輪功学習者が不法に逮捕・秘密拘束され、政法委員会、610弁公室、武装警察、軍、司法機関、医療システムが連携し「全国ネット化された巨大な臓器供体データベース」が構築されたとされています。

 このデータベースは「必要に応じて即座に殺害し臓器を取り出す」ことを可能にする体制だったということです。

 この組織は、「この国家ぐるみの犯罪行為は、時間の経過とともに法輪功学習者から、社会の最下層を含む一般国民へと対象を拡大しており、これこそが現在中国で『一家全員失踪』や『児童失踪』が頻発している重要な背景の一つである」と警告を発しています。

(翻訳・藍彧)