アメリカ連邦議会下院で5月5日、法輪功学習者の人権を保護する『法輪功保護法案(Falun Gong Protection Act)』が全会一致で可決されました。連邦議会はこの画期的な法案を通して、中国共産党に対し法輪功学習者への迫害を即刻停止するよう求めるとともに、拷問や臓器の強制摘出等に加担した者に法的な制裁を加えるという明確な姿勢を示しました。

 『法輪功保護法案(H.R.1540)』は、ペンシルベニア州選出の共和党下院議員スコット・ペリー氏が提出したもので、上院ではテキサス州選出の共和党議員テッド・クルーズ氏が推進しています。

 スコット・ペリー議員は、2024年度にも同じ趣旨の法案を提出し、一度可決されましたが、成立に至りませんでした。2025年の会期が始まると同法案はすぐに提出され、5月5日に全会一致で可決されました。法案は上院での審議を経て、可決すれば大統領の署名後、法律としての効力を持ちます。

 5月7日には、法輪功学習者などに対する「臓器狩り」に焦点を当てた『強制臓器摘出阻止法案(Stop Forced Organ Harvesting Act, H.R.1503)』がアメリカ下院で406対1という圧倒的多数で可決されました。この法案はニュージャージー州選出の共和党下院議員クリストファー・スミス(Rep. Christopher Smith)氏によって提出されたものです。

ペリー議員:法輪功迫害の即時停止を

 『法輪功保護法案』が可決されたことを受けて、法案提出者であるスコット・ペリー議員は議会で次のように述べました。

 「法輪功とは、『真・善・忍』に基づく精神修養法である。1999年当時、法輪功を修煉する人々の数はおよそ7,000万人に達し、中国人口の5%から7%を占めていた。法輪功は民衆の間で大いに歓迎されたが、中国共産党は残酷な弾圧を始めた。法輪功学習者は違法に拘束され、強制労働や拷問を受け、中でも最も恐るべき行為は、生きたまま臓器を摘出されることだ。これはまさに現代のジェノサイドに他ならない」。

 『法輪功保護法案』では、法輪功への迫害や臓器強制摘出に関与または協力した人物に対して、経済的制裁や財産凍結、米国への入国禁止措置、最大100万ドルの罰金刑そして最大25万ドルの民事上の制裁金を科することができると定められています。

 法案は、アメリカ大統領に対し、強制臓器摘出に関与した人物のリストを国会に提出するよう義務づけており、そのリストは今後5年間、少なくとも1年に1回更新される必要があります。国務長官に対しては、中国における臓器移植の件数やドナーの出どころ、移植までの時間といった情報を詳細に報告するよう求めています。

 さらに、法案では、アメリカは同盟国と連携し、中国共産党による法輪功迫害の実態を国際社会に広く知らせることが強調されています。また、加害者に対する制裁やビザの発給制限など、国際的な対応措置の調整と連携の強化も明確に打ち出されています。

スミス議員:必ず臓器狩りを停止させる

 5月7日、連邦議会で行われた記者会見で、『強制臓器摘出阻止法案』を提出したクリストファー・スミス下院議員は、中国共産党による強制臓器摘出を強く非難し、必ず停止させなければならないと語りました。

 スミス議員は、「これらの反人類的な罪悪は、その残虐さと人々に与える苦痛において、想像を絶するものだ。犠牲者1人から摘出される臓器は、2つから6つに及ぶ。これは医療の名を借りた、まぎれもない殺人行為だ」と強調し、「私たちは躊躇なく、断固たる行動を取らなければならない」と述べました。

 『強制臓器摘出阻止法案』では、外国、特に中国で発生した臓器の強制摘出や人身売買の実態について、アメリカ政府に詳細な報告を義務づけています。加害者には、最大25万ドルの民事制裁金に加え、最大100万ドルの罰金刑と、最大20年の禁錮刑が科される可能性があります。対象者は米国への入国を禁止され、ビザの発給も認められないことが規定されています。

民主活動家:行動に出たアメリカ

 中国民主活動家の盛雪(せい・せつ)氏は、『法輪功保護法案』の可決を受けて、『看中国』のインタビューに応じました。

 盛雪氏は、「今回の法案では、中国共産党が国家ぐるみで行なっている臓器強制摘出という反人道的な罪に対して、アメリカ議会が初めて制裁措置を明確に打ち出した」と述べました。そして、「法案では、特に法輪功学習者への迫害に焦点を当てており、この点が極めて重要だ。これは基本的人権に対する米国の変わらぬ取り組みを示すとともに、中国共産党の反人道的な罪に対する国際社会の責任追求が新たな段階に入ったことを象徴づけるものだ」と強調しました。指摘しました。

 盛雪氏は、中国共産党は海外で法輪功学習者への妨害工作を続けており、脅迫や外交的な圧力が続いていると指摘しました。そして、法輪功学習者が臓器摘出の標的とされてきた実態は、国際調査や多数の証言によって裏付けられており、国家的な犯罪行為であることに疑いはないと述べました。

 盛雪氏は取材に対し、「『法輪功保護法案』の可決は、アメリカが中国の人権問題に対して、単なる道義的な非難を超えて、法的措置という実質的な行動へと踏み出した象徴だ。中国共産党による臓器狩りという犯罪行為に対して、立法によって制裁を加える先例を作ることで、他の国々の模範を樹立することができた」と語りました。

国際組織責任者:全世界に手本示した

 米国ニューヨークに本部を置く国際NGO『法輪功迫害を追跡調査する国際組織(WOIPFG、追査国際)』の代表である汪志遠(おう・しえん)氏は、『法輪功保護法案』は「歴史的な転換点であり、極めて重要な意味を持つ」と指摘しました。

 『看中国』の取材に対し、汪志遠氏は法案が持つ3つの意義を語りました。一つ目は、アメリカ議会が法案という形で、中国共産党が26年にわたり法輪功迫害を行なってきた事実を正式に認定したことです。二つ目は、法輪功学習者に対する臓器強制摘出は、人道に対する罪であることを明確に示したことです。そして三つ目は、法案には具体的な制裁措置が盛り込まれており、これは中国共産党にとって痛手であることです。

 汪志遠氏は、「今後、中国共産党に対する国際的な非難がさらに高まり、解体を求める声はさらに大きくなるだろう」と強調しました。現在すでに20以上の国々が、立法を通して強制臓器摘出を非難しており、今回アメリカで「法輪功保護法案」が可決したことにより、その流れは加速するだろうと述べています。

 さらに汪志遠氏は、「法輪功保護法案」はアメリカ国内の法輪功団体や神韻芸術団を守るうえでも重要だと指摘しました。

 汪志遠氏は「この法案が上院を通過し、大統領が署名すれば法律となる。そうなれば、中国共産党がアメリカ国内で法輪功を迫害する行為は違法とされ、法的制裁の対象となる。これは、中国共産党がアメリカの言論の自由や司法制度を悪用して行っている世論戦や法律戦に対する強力な反撃となるだろう」と述べました。

(翻訳・唐木 衛)