2025年に入り、中国各地のネットユーザーが撮影した映像が、ある不穏な現象を次々と裏付けています。黒竜江の黒土地帯から長江以南の丘陵地にかけて、多くの村では人影が消え、家屋は空き家となり、静まり返った路地には風の音だけが響いています。抖音(Douyin)やBilibili、さらには海外のSNSに投稿された短い動画では、「14億人はいったいどこへ行ったのか?」という問いが繰り返されています。この疑問の背景には、政府の公式統計と人々の実感との間にある大きなギャップがあり、中国における人口の急速な減少という冷厳な現実が浮き彫りになっています。
国家レベルの統計も、すでに警鐘を鳴らしています。中央テレビ(CCTV)は2024年2月24日の報道で、1985年からの40年間で中国の自然村が約150万ヵ所、行政村が約50万ヵ所減少したと伝えました。これは単純計算で、1日あたり100ヵ所以上の自然村が消えていることになります。住宅・都市農村建設部も、全国の農村住宅の空き家率が30%を超え、西南部や東北部の山間地域では70%に達していると指摘しています。ネット上では、2000年から2023年までの自然村の変化を時系列で見ると、1日平均で170ヵ所の村が「蒸発」しているとされており、そのスピードは外部の予想をはるかに上回っています。
地方政府は、「撤村併点」や「撤区復鎮」といった行政区画の調整を通じて、「資源配分の効率化」を図ろうとしています。浙江省では、4.7万の自然村を2.1万の中心村に統合し、山東省では「二つの区を同時に整備する」という方針のもと、1万人規模の新しいコミュニティの建設が進められています。黒竜江省チチハル市では、区レベルの富強街道が華安鎮に格下げされ、伊春市では2019年に15の区が一括して廃止され、2023年には複数の街道が鎮へと再編されました。最近では、民政部の部長が初めて「人口減少地域の行政区画の最適化」を政策方針として明記し、ネット上ではこれが「区や県の統合ラッシュの幕開け」だと受け取られています。
こうした大規模な「縮小と再編」の背後には、目に見える形での労働人口の急減があります。あるネットユーザーが4月に投稿した動画の中で、風に軋む古い家々を背景に、「高齢者が亡くなったら、この村も終わるのです」と語りました。空き家、閉店した商店、放置された田畑といった映像が、天津、済南、九江など多くの都市から投稿されており、こうした現象は農村に限らず、人口が1,000万人を超える大都市においても、「閑散とした商業施設、閉鎖される飲食店」といった異様な光景として現れています。2020年から2022年の3年間で、人口データを公表した323の地級市のうち197市で人口が減少し、その合計は836万人に上りました。一部の「高度収縮型都市」では、過去10年間で人口が20%以上も減少しています。
人口流出の最も分かりやすい象徴は、止まることのない火葬場の炉かもしれません。各地の火葬場では高額な給与で職員を募集し、「口止め料」として1万元を支払うという噂もSNS上で広まっています。江西省のある村では、2020年から今年にかけて人口が1320人から985人にまで減少したと報告されています。湖北省や四川省のネットユーザーからは「多くの人が亡くなったが、誰も口に出さないだけです」という声も聞かれます。中国政府は、3年間のコロナ禍による死者数を「統計基準の範囲内で管理している」と主張し続けていますが、民間ではその数字に対する疑念が根強く残っており、多くの人々が政府の発表に強い不信感を抱いています。
さらに、国際機関からの警告も人々の不安を一層深めています。4月7日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、「パンデミック協定」の交渉会合で「次のパンデミックは明日にも起こるかもしれません」と警告しました。彼はまた、新型コロナによる公式の死者数は約700万人ですが、実際には2,000万人に達する可能性があり、直接的な経済損失は10兆ドルを超えると指摘しました。3年間にわたる厳格なロックダウンと、火葬場の長蛇の列を経験した中国社会にとって、これはまさに痛みを突く言葉です。もし次の感染症が再び襲来すれば、人口流出の堰が再び切られるのではないかと懸念されています。
農村部の空洞化も加速しています。国家統計局のデータによると、2022年の農村常住人口は4億9100万人でしたが、1年後には4億7700万人まで減少しました。河南、山東、河北、黒竜江、吉林、遼寧の6省では現在、「合村併鎮」が試験的に導入されており、河南省では省内17の都市すべてがその対象となっています。「数百平米の部屋を70〜80平米のマンションに変えて、さらに差額も支払わなければならない」という新政策に対して、一部の農民はSNSで「むちゃくちゃです」と怒りをあらわにしていますが、「村に人影が全くなく、合併は唯一の道かもしれません」と受け入れる声も聞かれます。
都市部でも農村部でも人口は減少しており、出生数も同様に減少しています。中国では3年連続で総人口が減少し、公式の出生率は世界で下から2番目の水準となっています。現時点では、これを反転させる明確な兆しは見られません。加えて、地方財政の逼迫、社会保障の赤字拡大、若者の「寝そべり」志向の蔓延、そして住宅価格の高騰や教育費、雇用の不安などが重なり、出生意欲は日増しに削がれています。
人の気配のない村の入口、膨大な統計報告書、次々と進められる行政区画の再編——こうしたあらゆる現象が示しているのは一つの事実です。たとえ政府が「14億人」という人口を公式に掲げ続けていたとしても、人々が実際に感じている中国の人口は、かつてないスピードで減少しています。「村の撤廃と併合」「区と県の統合」「商業施設の空洞化」「葬祭業の拡大」などはその表面的な現れにすぎず、より本質的な問題は、「人はどこへ行ったのか?そして、誰がこの土地の未来を支えるのか?」という問いです。その答えを誰も明確に出すことはできませんが、はっきりしているのは、人口減少の時代の扉はすでに完全に開かれており、中国は戻る道を見つけることができないまま、見通しのきかない下降の入り口に立っているということです。
(翻訳・吉原木子)