4月18日(金)、ホワイトハウスは改訂されたCovid.govのウェブサイトを公開し、COVID-19のパンデミックは、中国の「研究所からの流出」が「真の起源」であると明確に示しました。

 

 ウェブサイトでは、アメリカの公衆衛生当局が矛盾した情報発信や拙速な対応、透明性の欠如によって国民を誤導してきたと非難しています。中でも特に衝撃的なのは、連邦政府が代替療法や主流とは異なる見解、たとえば「研究所起源説」などを意図的に排除し、不適切な手段で国民の健康に関する判断を操作しようとした点だとしています。
 
 さらに、同ページではアメリカ国立アレルギー・感染症研究所の元所長アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)氏を名指しで批判しています。ファウチ氏はパンデミック初期において「自然起源説」を強く推進していたとされ、なかでも『SARS-CoV-2の近縁起源(proximal origin)』という論文が、公衆衛生当局や主流メディアによって、研究所起源説を否定する根拠として繰り返し引用されていた点が問題視されています。この論文は、ファウチ博士の主導によって執筆され、自然起源説を補強するための政治的意図があったとされています。

 ホワイトハウスの新ウェブサイトでは、研究所流出説を裏付ける根拠として以下の五点が挙げられています。第一に、新型コロナウイルスは自然界に存在しない生物学的特性を有していること。第二に、すべてのCOVID-19感染症例が、ひとつの人間への感染を起点としている点であり、これまでのパンデミックで見られたような、動物から人間への複数回の「スピルオーバー(越境感染)」とは明らかに異なること。第三に、武漢(中国湖北省)は中国における「最先端のSARS研究所」の所在地であり、その研究所では生物安全レベルが不十分な状況で「機能獲得研究(gain-of-function research)」、すなわちウイルスの感染力を人工的に高める実験が行われていたこと。第四に、華南海鮮市場で最初の症例が確認される数か月前、2019年の秋にはすでに武漢ウイルス研究所の研究者たちにCOVID-19に類似した症状が見られていたこと。そして第五に、もしウイルスが自然起源であるならば、科学的基準に照らせばすでにその証拠が明らかになっているはずであるにもかかわらず、現在に至るまでそのような証拠は出ていないという点です。

 ウイルスの起源をめぐっては、近年、アメリカの複数の情報機関が徐々に一致した評価を示すようになっています。2025年1月、アメリカ中央情報局(CIA/しーあいえー)は、新型コロナウイルスが「自然起源ではなく、研究に関連する事故によって発生した可能性が高い」とする報告書を発表しました。この評価は「信頼度は低い」としながらも、アメリカ国内に再び激しい議論を引き起こしました。この調査は、バイデン政権の任期終了を目前にして命じられたもので、トランプ政権が発足した後に公表されました。

 これに先立ち、2023年にはアメリカエネルギー省が同様に「信頼度は低い」としながらも、ウイルスが研究所から流出した可能性が高いとする報告を発表しています。また、2021年には連邦捜査局(FBI)が「中程度の信頼度」で、ウイルスが研究所の事故によって拡散したとみられるとする見解を示しています。こうした一連の報告はいずれも確定的ではないものの、研究所起源説への傾斜を強める材料となっています。

 一方、中国共産党政権はパンデミック発生当初から、国際調査団との全面的な協力を拒否しており、ウイルスの起源解明に向けた国際的な取り組みを大きく妨げてきました。このグローバルな健康危機により、数百万人が命を落とし、経済的損失は数兆ドル規模に上っています。また、ウイルス研究が持つ潜在的なリスクについて、国際社会の懸念も高まっています。

 今回のホワイトハウスのウェブサイトでは、2024年12月にアメリカ合衆国議会下院の新型コロナウイルス・パンデミック特別調査委員会が発表した520ページにおよぶ報告書も引用されています。この報告書は2年の歳月をかけて作成されたもので、連邦政府および州政府のパンデミック対応、ワクチン接種体制、ウイルスの起源に関する調査を網羅的に行ったものです。報告書では、「新型コロナウイルスは研究所、あるいは研究関連の事故によって発生した可能性が非常に高い」と結論づけられています。

 この報告書の中では、アメリカ国立衛生研究所(NIH)がパンデミック発生前に、中国の武漢ウイルス研究所に対して、ウイルスの感染力を高める「機能獲得研究」への資金提供を行っていた事実も明らかにされています。調査委員会は2年間で25回の公聴会を開催し、30回以上の証言記録をとり、100万ページを超える関連文書を精査した結果、研究所起源説に対する「高い信頼」を示しています。

 調査の一環として、ファウチ博士への2日間にわたる非公開面談も実施されました。報告書では、2020年のパンデミック初期において、ファウチ氏がアメリカ国民から最も信頼される科学者の一人であったことにも言及しています。

 また、報告書はパンデミック対策として実施された政策の一部にも疑問を呈しています。たとえば都市封鎖(ロックダウン)については「利益よりも弊害の方が大きかった」とし、マスク着用義務に関しても「ウイルスの拡散防止に対して有効ではなかった」と結論づけています。これらの見解は、「公共の場でのマスク着用が感染率を下げる」という一部研究の結果とは相反しています。

 今回のウェブサイトの改訂は、情報機関の報告や議会の調査結果に基づいて、改めて研究所起源説の妥当性を世論の中心に据えるとともに、パンデミック初期における情報統制や政策対応の在り方を見直す契機として、今後の政権交代や公衆衛生政策の再構築にも影響を及ぼす重要な布石とみられています。

(翻訳・吉原木子)