アメリカが中国製品に高関税を課したことで、中国の外需依存型企業は大きな打撃を受け、中国のメーカーは輸出から国内販売への転換に右往左往しています。ネット上では、「もう終わりだ。庶民の生活はどんどん苦しくなっている。アメリカは中国を完全に封鎖した。輸出にもう希望はない」と嘆く声が広がっています。

 米中間の関税戦争が激化する中、中国の外需の見通しはますます不透明になっています。中国税関総署も、輸出が「複雑かつ厳しい外部環境」に直面していることを公式に認めています。業界関係者からは「天が落ちた」との悲観的な声すら上がっています。

 現在、中国各地の工場や貿易市場では、子ども用品から靴工場に至るまで大量の注文がキャンセルされ、在庫一掃セールや操業停止が相次いでいます。従業員は次々と解雇され、故郷へ戻る人も後を絶ちません。市場全体が重苦しい空気に包まれている状況です。

深センのある金融業向けサービス企業の担当者は、「信じられないかもしれませんが、深センの多くの工場はすでに限界を迎えています。今後は連鎖的に倒産するでしょう。もともと家賃が高く、供給過剰で、外需の注文も少ない中で、関税が上がり、競争は激化し、価格競争で血を流すような戦いが続いています」と語りました。

 ネット上でも同様の声が相次いでいます。「もう終わりだ、もう終わりだ。庶民の生活はますます厳しくなる。アメリカは中国を完全封鎖し、輸出に希望はない。外需に依存していた企業の99%が潰れるだろう。外需で食べていた労働者たちも同様に失業するだろう」といった悲観的なコメントが目立ちます。

 中国商務部の推進を受けて、EC大手の京東は輸出向け製品を2,000億元分買い取り、国内販売に転換する計画を発表しました。その後、美団、東方甄選、百度、蘇寧などの企業もこの動きに追随しました。

 しかし、外需業界の関係者たちは「輸出から内需への切り替えは現実的ではない」と一様に否定的です。「私たちの外需向け製品は国内ではほとんど需要がありません。たとえば、プールやサーフボードなど、海外では一般的な商品も国内では誰が買えるでしょうか?」

 中国が「世界の工場」と呼ばれてきた理由は、その巨大な生産能力が世界市場全体を支えてきたからです。たとえば繊維・衣料品産業は、海外からの巨額注文によって長年支えられてきました。2021年には、中国の繊維・衣料品の輸出額が3,155億ドルに達し、世界シェアの3分の1以上を占めています。その中でも70%以上の中・高級品は欧米のブランド、たとえばZARA、H&M、ユニクロ、NIKEなどに合わせた生産であり、広東、浙江、江蘇、福建などに多数の受託型工場が集積しています。

 輸出注文は単なる売上源ではなく、産業チェーン全体の上下流を支える柱でもあります。輸出が減少すれば、数千のOEM工場が倒産し、それに伴い上流の染色工場、生地供給業者、縫製機器メーカーまでもが操業停止や減産に追い込まれることになります。

 米大手投資銀行ゴールドマン・サックスの試算によれば、中国の輸出関連産業は、1億2,000万人を超える製造業・関連サービスの雇用に密接に関係しています。もし米中が経済的に完全にデカップリングした場合、約2,000万人が職を失う可能性があります。これは中国の全労働人口の約3%にあたる数です。すでにリストラや減給が広がっている製造業・サービス業にとっては、さらなる深刻な打撃となるでしょう。

 4月17日、中国の著名な公益活動家であり、元『鳳凰週刊』の調査記者である鄧飛氏が、「もし輸出型製造業を救わなければ、操業停止の波から、失業の波になる」という内容の記事を微博でシェアし、大きな反響を呼びました。

 記事では、米中間の関税戦争の影響は大きいが、過小評価されていると指摘しています。「今、多くの工場が受注ゼロで、経営者たちは必死に耐えているが、問題は彼らがあとどれほど耐えられるかということです。もし高関税の状況が改善されなければ、6月以降には製造業者の多くが破産を宣言するしかなくなるでしょう」と警告しています。そのうえで、企業がまだ持ちこたえている今のうちに、政府は早急に支援策を講じるべきだと強調しています。

 自由アジア放送は、中国の経済学者・向松祚氏の分析を引用し、今回の関税戦が中国の輸出に深刻な影響を与えていると伝えています。特に広東、浙江、江蘇、山東の4省は輸出依存度が高く、深刻な打撃を受ける恐れがあります。向氏は、自動車部品、機電製品、衣料、靴、小型家電といった米国向け主力輸出品が、すでに過剰生産の問題を抱えており、「歴史的な転換点」に直面していると指摘します。「もし輸出がさらに低迷すれば、内需転換では価格競争が避けられず、生き残りをかけた死闘になる」とも述べています。

 向氏は、この関税戦争を「国家の命運をかけた戦い」と位置づけています。また、中国は短期的な政策で場当たり的に対応するのではなく、経済構造改革や規制制度の整備を急ぐ必要があると訴えています。「短期的な刺激策は一時的な効果しかなく、国家の長期的発展に必要な課題の根本的な解決にはなりません」と語りました。

(翻訳・吉原木子)