広東省東莞市寮歩鎮の上底村では、村全体を囲む様な、あらゆる場所に設置されている通行料金所に対する不満が広がっています。3月9日(日)の夜、大勢の住民が料金所の前に集まり、抗議活動を行いました。怒った抗議者の一部は料金ゲートのバーを折り、その場の緊張感が高まりました。
近年、大都市周辺の一部地域で、このような村の通行料金所が設置されています。村の料金所は通常、村の自治委員会や村の共同体によって運営されています。村は、料金所を設置して他村の車両から通行料を徴収し、道路の維持管理や村の発展のための資金源として運用しています。当初の目的は、他村からの車両の増加に伴う交通状況への負担や村のインフラ維持費の負担を軽減することでした。しかし、資金運用の透明性の欠如や、発生した利益に対し、村の建設に資金を出資した村民が得るべき利益と村委員会の間の利益バランスの問題もあり、実際の資金の運用において多くの議論が交わされています。
まず、村内に長期間住んでいる他村出身の労働者は、他村出身である為、さらに村への通行料を負担しなければならないため、生活費への負担がさらに重くなります。
ネット上に投稿された映像によると、上底村では他村からの車両に対し、日割りの通行料ではなく、月額通行料金を課す制度を設けており、この新たな費用負担が他村からの労働者の経済的負担をさらに増大させています。この様な突然の料金制度の導入に強い反発が生まれ、3月9日午後9時頃、大勢の村民や周辺住民が自発的に料金所へと集まり、料金撤廃を求める抗議活動を行いました。動画には、多くの人々が料金所の前に集まり、怒った抗議者の一部が料金ゲートのバーを折り、道路脇に投げ捨てる様子が映し出されています。
動画を投稿したあるネットユーザーは、怒りを露わにしながら次のようにコメントしています。
「私たち他村出身者は、すでに家賃や水道光熱費の支払いで精一杯なのに、今度は住んでいる村の通行料金まで取られるなんて、まさに泣きっ面に蜂です!だからこそ、昨夜はあれだけ多くの人が立ち上がったのです。本当に他村出身者を生きていけなくするつもりなのでしょうか?」
このネットユーザーによれば、事件発生後、当局は数十人の警察を出動させ、最終的に抗議活動は鎮静化したとのことです。
実際のところ、村の通行料金問題は上底村に限った話ではありません。複数のネットユーザーの投稿によると、広東省内のさまざまな地域でも同様の料金徴収が行われており、さらには1キロメートルもない範囲内に複数の料金所が設置されている例もあると言います。そのため、車両の通行の負担となり、大きな不満が引き起こしています。
ネットユーザーの調査によれば、東莞市交通運輸局は2021年に村の通行料金徴収を禁止しました。しかし、2022年2月には《東莞市村通行管理ガイドライン》を発表し、村が通行料金を徴収することを認めました。そして2024年1月時点で、東莞市の東城、南城、寮歩など複数の地区において、少なくとも20の村や社区が再び通行料金の徴収を開始しています。料金体系は「最初の30分間は無料、その後1時間ごとに3元、1日最大30元、月額では200元」となっています。
こうした通行料金制度は、他村出身の労働者から強い反発を受けるだけでなく、合法性についても多くの疑問が投げかけられています。過去に中国本土のメディアが住民にインタビューを行った際、多くの人々がこの料金制度の不合理さを指摘しました。ある自動車修理店を営む店主は、「客が修理のために訪れるだけで他村出身という事で、通行料金を取られるので、多くの顧客が不満を抱いている」と苦言を呈しています。
この問題はネット上で急速に拡散し、多くのネットユーザーがコメントを寄せました。
「地方政府は土地を売れなくなったから、道路を封鎖して通行料を稼ぐしかないのか?」
「この経済状況の中で、たとえわずかな追加費用でも大きな負担だ。抗議しない方がおかしい。」「村の通行料金なんてやめるべきだ。不合理な料金徴収は人々を遠ざけるだけだ。」
しかし、この問題を巡る動画や議論は、すぐに削除されてしまいました。
(翻訳・吉原木子)