近年、中国の経済情勢は悪化の一途をたどり、一般庶民の生活はますます困難になっています。インターネット上では、北京や上海などの地域で「残飯」を拾って飢えをしのぐ人々が増えているという情報が広がっています。彼らはレストランの入り口で客が去るのを待ち、残された料理を探すというのです。この現象は多くの人々の注目を集め、「社会主義の繁栄の裏にあるのは、こうした現実なのか」と嘆く声が相次いでいます。
最近、中国のSNSで広く拡散された投稿によると、あるネットユーザーが上海の徐家匯にあるケンタッキーで目撃した光景を語っています。夜10時になると、店内には行き場を失った人々が集まり、年齢や性別はさまざまですが、服装は整っているとのことです。一部の人はテーブルに突っ伏して眠り、一部はスマートフォンをじっと見つめています。そして、客が食事を終えて席を立つと、すぐさまその席に向かい、トレイを漁って残された食べ物を探します。中には飲み残された飲み物を飲む人もいるといいます。投稿者は、「2024年の徐家匯で、このような光景を目にするとは思いもしませんでした」と驚きを表明しています。
この投稿に対し、多くのネットユーザーがコメント欄で同様の経験を共有しました。「私も上海で同じような光景を見たことがあります。初めて見たときは本当に衝撃を受けました」と語る人や、「2023年にはすでに上海徐匯区のケンタッキーで、客が残した食べ物を拾う人を目撃しました。店員も特に止めませんでした」と述べる人がいました。また、「先週、友人とケンタッキーでコーヒーを飲んで店を出た直後、男性が私たちが座っていた席に座り、食べ残しを探しているのを見ました」と具体的なエピソードを語る人もいました。
このような現象は上海だけに限られません。北京や広東など他の地域でも同様の状況が見られます。あるネットユーザーは、「北京の24時間営業のマクドナルドでは、十数年前からこのような現象が見られました。行き場を失った人々の一時的な宿泊場所になっています。一部はボロボロの服を着ていますが、中にはただ一晩を過ごすために来る人もいます。残飯を拾って飢えをしのぐ人もいます」と指摘しました。また別のユーザーは、「北京の三元橋にあるイケアでも数年前から年配者が残飯を漁る光景を見たことがあります」と語りました。さらに、「全国各地のマクドナルドで同じ現象が起きていると思います。店内は冬暖かく夏涼しい上に、店員が追い出さないため、路上生活者にとって理想的な場所です」とのコメントもありました。多くのネットユーザーは、「大勢の人が見ている中で他人の残飯を漁るのは、その人たちが行き詰まっている証拠だ」と嘆いています。
経済の下振れ圧力が強まる中、多くの社会問題が浮き彫りになっています。ネット上では、北京、上海、広州といった一線都市でホームレスの数が急速に増加しているとの噂があります。彼らは住む場所を持たず、街頭や橋の下で夜を過ごすしかなく、時には当局職員に追い立てられることもあるといいます。同時に、SNSでは失業に関する「嘆きの声」が相次いでいます。抖音(Douyin)、快手(Kuaishou)、小紅書(Xiaohongshu)といったプラットフォームでは、多くのユーザーが自らの生活の困難を共有しており、失業の辛さを嘆く人、不公平な職場環境を訴える人、将来への不安や怒りを表明する人が見られます。
統計によると、今年の中国の新卒大学生は1,170万人に達しましたが、就職状況は厳しいと言わざるを得ません。複数の業界関係者によると、今年の大学卒業生の実際の就職率は約50%にとどまり、昨年をさらに下回っています。さらに、多くの企業がまず古参社員から削減を始め、伝統的に「安定」とされていた公務員職でも給与削減やリストラが進んでいるとされています。一部の地域では、公務員の給与削減が密かに行われているとの報告もあります。
著名な経済評論家である蔡慎坤(さい・しんこん)氏は、中国の失業問題が現在、まだ最悪の段階に達していないと指摘しています。「失業問題はさらに深刻化する可能性があります。SNS上には、多くの人が失業の嘆きを投稿しています。その中には一部、閲覧数を稼ぐためのものもありますが、多くは現状をリアルに反映した内容です。これらの投稿は中国の失業状況の縮図であり、経済的困難が一般市民の生活に与える深刻な影響を物語っています」と述べています。
蔡慎坤氏の見解は、多くの専門家から支持されています。経済構造の問題が長期的に積み重なり、さらにコロナ禍の反復、輸出の停滞、内需の低迷などの要因が重なり、多くの家庭がますます厳しい経済的挑戦に直面しています。特に若い世代は、失業のプレッシャーに加え、上昇し続ける生活費にも耐えなければなりません。このような状況下、一部の大学卒業生はゴミ拾いを余儀なくされ、中年層は生計を立てるために疲れ果てるまで働き、涙を流す姿も見られます。
こうした衝撃的な現象を目の当たりにし、多くのネットユーザーは庶民の厳しい生活に胸を痛めています。「イケアやマクドナルドのような場所で残飯を拾う人々がいるのは、多くの人がどれほど困難な生活を送っているかを物語っています」とコメントする人もいれば、「コロナ以前にもこうした現象はあったが、今ほど普遍的ではなかった」と語る人もいました。「どんな惨状ももはや驚きではないほど普通になってしまった」という嘆きの声も少なくありません。
(翻訳・吉原木子)