中華民国(台湾)の頼清徳副総統(写真撮影:陈柏州/大紀元)

 中華民国(台湾)の頼清徳副総統が安倍元首相の追悼のために訪日したことは、外交上の大きな突破口となった。頼氏は12日夜、台湾に戻った。一方、今回の訪問で中国共産党が果たした役割や、その背景にある思惑も徐々に明らかになってきた。

 台湾の自由時報は13日、情報筋の話として、安倍氏が8日に死去後、北京は東京の中国大使館に、台湾の「葬儀外交」を防ぐため、台湾要人の来日を「全力で阻止するよう」命じたと報じた。最終的に、頼清徳副総統の訪日を無事に終えることができたことは、現職の岸田文雄政権が安倍元首相の確固たる姿勢を引き継いだことを示している。

 悲劇が起きた後、台湾はツイッターなどで哀悼の意を表し、一定レベルの代表が追悼のために訪日を希望していると、同情報筋が明らかにした。日本が台湾と国交がないことを考えると、頼清徳総統が「72時間以内」に訪台を確定できたのは、各方面の努力と、何よりも岸田内閣の対外的な明確なシグナルによるものである。

 頼清徳氏は今回、東京で安倍氏の親友とされ、駐日中国大使よりも優遇され、12日の安倍元首相の家族祭では、頼氏は特別専用車両で会場に直接入ることができたという。

 中国外交部の汪文斌報道官は12日、「台湾は中国の一部であり、副総統など存在しない。日本の安倍元首相が銃撃された後、台湾当局が機を利用して政治操作をしていたが、このような策略が成功するはずがない」と抗議した。

 その他の抗議は控えていた。これに対し、国立台湾大学の明居正名誉教授は、ユーチューブチャンネル「年代向銭看」の中で、習近平氏は秋の第20回党大会で再選されるためには、国内の反日感情を刺激することで、解決できない問題を引き起こしたくないので、対立を一時的に緩和させていると分析した。この間において、理論的には、日台の関係を発展させる機会になるが、岸田総理がこの機会を利用できるかどうかはわからない。

(翻訳・藍彧)