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 中国共産党(以下、中共)はこのほど、複数の法律を公布した。外界から関心を集めている「反外国制裁法」のほか、「データ安全法」も注目されている。一部のアナリストは、同法律は中国進出中の外資系企業の撤退を加速させることになると考えている。

 中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会で10日、「データ安全法」が可決され、9月1日に施行する見込み。同法律は、データの収集・使用・処理・送信のプロセスなどを規制するものである。

 同法第2条は、「中華人民共和国国外でデータ処理活動を行い、中華人民共和国の国家安全、公共の利益または公民、組織の合法的権益を害する場合、法に基づいて法的責任を追及する」と規定している。また、同法第35条は「公安機関及び安全機関が、国家安全の維持または犯罪の捜査に必要なデータを取り調べる場合、関連組織、個人は協力する義務がある」とも定めた。

 ワシントンD.C.に本部を置くシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)のジェームズ・ルイス氏(副社長、科学技術政策プログラム・ディレクター)は、ボイス・オブ・アメリカのインタビューで、「中共当局の目的は中国内外のデータを監視することだ。フェイスブックやグーグルなどの中国市場に入っていない企業にほとんど影響しないが、中国に進出しているほかの米国企業には直接影響する」と述べた。

 トロント大学グローバルアフェアーズ学部の准教授であり、中国問題の専門家であるリネット・オン博士も、同法律は外国企業の最高経営責任者たちを悩ますかもしれないと述べた。「データを扱う企業は、データに対するセキュリティの要求が非常に高いため、情報セキュリティが保障されなければ、中国市場から完全に撤退することを選択する可能性がある」

(翻訳・原木子)