(ネットより)

 中国共産党は今年、共産党の「党創建100年」を迎えるにあたり、公式メディアは一連のいわゆる100周年記念コメンタリーで、習近平氏が主張する「中国の夢(注)」を宣伝している。しかしこの時、「躺平(タンピン)」という言葉が突如登場し、中国の若者のほとんど絶望的な生活態度を表しており、驚くべきスピードで世間に広まり、反響を呼んだ。

 5月中旬くらいから、中国のネット上で「躺平」という言葉が突如として生まれ、さかんに飛び交い始め、社会現象となっている。「横たわる」「寝そべる」という意味だが、転じて、若者たちが「結婚しない、子どもも要らない、家や車も買わない、消費しない、最低限しか働かない、質素な生活を送ること」を選択する低意欲、低欲望のライフスタイルのことをいう。

 台湾の中央研究院社会研究所の林宗弘研究員はボイス・オブ・アメリカに対し、「躺平」の核心的な問題は、中国の経済・社会・政治などの各階層の不流動性にあり、それによって国全体の流動体制の停滞につながったと指摘した。社会的流動性がなければ、「中国の夢」は生まれないと述べた。人民は『躺平』していて、国家は夢を見ている、そんな皮肉な状態になっている。これは覇権化した結果の一つであり、よくあることだ」

 2017年の中国社会総合調査及び関連分析によると、35歳以下の中国の若者は、一般的に職場での低賃金、低収入、不安定な雇用に悩まされており、この悪化は2015年と2016年に中国の経済成長率が徐々に鈍化したことと関連しており、特に大卒者が仕事を見つけることが困難になっていると同氏が述べた。

 「躺平主義」の発酵に伴って、関連する議論は瞬く間に、社会の不公平を批判し、政府が国民を搾取することを風刺するなどに広がった。「3カ月躺平して中国共産党を崩壊せよ、6カ月躺平して新たな中国を手に入れよう」という若者もいた。海外のソーシャルプラットフォームで、「若者が目覚めたようだ、壮観だ」と驚きの声を上げた人もいた。

 林宗弘氏は、「躺平」というのは中国の若い世代の苦しい現実をリアルに反映しており、「目が覚めた」というほどではないと考えている。中国は集団行動を認めていないため、消極的な抵抗として、集団で行動を控えることしかできない。

 同氏は、「文化大革命の後期にも、闘争をしたくなく、お金も稼げない状況で一日中ゴロゴロしている人たちがいた。今の世代の「躺平主義」と文革末期の「フリー派」とは意外にも面白い類比を形成している。 

注:中国の夢とは、2012年に習近平氏(2012年11月より中国共産党総書記)が発表した中国の思想であり、中国共産党第十八回全国代表大会以来、第5世代中央指導グループの執政理念でもある。

(翻訳・藍彧)