団地に侵入している黒服の男ら(YouTube動画のスクリーンショット)

 中国重慶市の「保利香雪団地」では12日から13日の未明に、家主たちが団地に侵入した700人以上の雇われた黒服の男を撃退する、抗議活動が発生したという。

 重慶市江北区の石馬河街道に位置する「保利香雪団地」は、国有企業の保利集団が2010年に建設したもので、6,000世帯以上、30,000人近くの住民が住んでいる。ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、紛争は、石馬河街道弁事所(注)が同団地内に香雪苑コミュニティ弁事所の設置を強行しようとしたことから始まり、2014年から家主たちとの間で争いが絶えなかったという。2014年に弁事所が団地に進出しようとしたが、家主らの極力な抵抗により失敗に終わった。しかし、今年4月11日から、弁事所は団地内で「団地に弁事所を設置する」という知らせを貼り出した。

 状況が一変したのは、12日。同日昼間、団地の外に、暴動を鎮圧する水鉄砲を装備した大勢の武装警察が現れた。警察が1km以上の長蛇の隊列を組み、700人以上の雇った黒服の男が強引に団地に侵入してきた。当時、若年層や中年層の家主は仕事のために不在で、留守している老人と子供が多かった。団地に突入する中で、黒服の男らは老人と子供を無差別に殴り、多数の負傷者が出た。また、黒服の男らに無理やり車に乗せられて連れて行かれた人もいた。夜、仕事から帰ってきた家主たちが集まり、黒服の男らと大規模な衝突を繰り広げ、激しい衝突は13日の未明まで続いた。

 衝突の際に、家主は香雪苑コミュニティ準備チームがいた部屋や、団地の派出所の部屋を壊した。数人の黒服の男が捕まり、家主に問い詰められ「ただのアルバイトでお小遣い稼ぎだ」と認めた。この衝突は、家主が黒服の男を団地から追い出したことで終わった。

 衝突の最中に、中国共産党当局の重慶市江北区政法委員会の陳茂書記も姿を現わした。

注:街道弁事所は街道弁事処とも呼ばれ、中国に存在する、街道と呼ばれる郷級行政区である都市基層政府の出先機関。

(翻訳・徳永木里子)