米宇宙軍司令部は9日、中国ロケット「長征5号B」がアラビア半島上空で大気圏に再突入したことを確認した。北京政府は同ロケットの残骸がモルディブの西に落下したことを明らかにした。

 米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は8日に声明で、「宇宙飛行を行う国は、宇宙空間の物体が地球に落下することによる人や財産へのリスクを最小限に抑え、その行動の透明性を最大限に高める必要がある。明らかに中国はスペースデブリ(宇宙ゴミ)に関する責任の基準を満たしていないのだ」と北京を非難した。

 さらに、「最も重要なのは、宇宙活動の安全・安定・安全保障と長期的な持続性を確保するために、中国をはじめとするすべての宇宙進出国や商業団体が、宇宙で責任及び透明性のある行動をとるべきだ」と述べた。

 ハーバード大学天体物理学センターの天体物理学者ジョナサン・マクダウェル氏によると、一般的に国際的な宇宙コミュニティでは、宇宙船が制御不能な状態で地上に墜落する事態を避けようとしているという。多くの場合は、ロケットを制御して秩序正しく地表に戻らせ、残骸の小さな部分を「墓地」と呼ばれる軌道に残して、何十年、何百年も宇宙に残るようにしている。しかし、中国ロケット「長征5号B」は「大きな部品を低軌道に残す」ように設計されている。

(翻訳・徳永木里子)