温家宝元総理は、3月下旬からマカオのメディアに母親を偲ぶ長文の連載記事を発表した。しかし、「私が思い描く中国は、公正と正義に満ちた国であるべきだ」というフレーズが原因で、ウィーチャット(We Chat)で転載が禁止され、メディアから削除された。

 温氏の『私の母』と題した長文連載は、「マカオ・ヘラルド」紙に4回で掲載された。 全文は We Chatや鳳凰網(ifeng.com)などのメディアにも掲載された。しかし、19日、国内外の多くの中国人ネットユーザーによると、同記事が「We Chat公共プラットフォームの運営規則に違反した」という理由で、WeChatでの共有が禁止されたと同時に、「鳳凰網」などのメディアでの転載もすべて削除された。

 全編で最も注目されていたのは、文末に書かれた温氏の心情である。「 貧しい者や弱い者に同情し、いじめや抑圧に反対する。私が思い描く中国は『公正と正義に満ちた国』であるべきで、そこには永遠に人の心、人道と人間の本質が尊重され、いつまでも青春、自由、奮闘の空気が漂っている国でなければならない。私はそのために叫んで奮闘してきた。 これは、人生が教えてくれた真理であり、母が与えたものである」と綴っていた。

 温氏の記事が中国で転載禁止されたことについて、中国や海外のネットユーザーからは、「引退した国のリーダーである温氏でさえこのような扱いを受けているのだから、他の人ならどんなことに遭遇するか想像できるだろう」と嘆く声が多かった。

 時事評論家の李燕銘氏によると、温氏は立派な国の元総理として、母を回想した記事を公に発表できないということは、今の中国の滑稽さと第20回全国代表大会を控えた中国共産党トップの内部闘争を浮き彫りにするとともに、温氏の政治的な敏感さを反映しているという。

 シドニー工科大学の中国問題専門家の馮崇義氏は「大紀元時報」とのインタビューで、「習氏の進む道が温氏の望む方向からどんどんかけ離れていくのは明らかであり、温氏は内心の不満を同記事で表現しているのだ」と分析した。

(翻訳・藍彧)