ヒマラヤのラダック地域の航空写真(イメージ:Wikimedia Commons / Bernard Gagnon / CC BY-SA

 過去数ヶ月にわたって、中国共産党とインド軍はヒマラヤのラダック国境地域で対峙し続けている。同地域は、世界で最も険しく不毛な山岳地帯の1つであり、標高は4,500メートルを超え、冬にはマイナス40度を下回る可能性がある。 10月以降のほぼ半年間、山岳は大雪に覆われ、すべての主要道路は通行不能になる。果たして中印紛争はいつまで続くだろうか。厳しい寒さは軍備調達の難易度を上げる。

 インド軍、フタコブラクダで軍備輸送

 「インディア・トゥデイ(India Today)」によると、インド軍は軍備用品の輸送手段として、地元の在来種フタコブラクダを起用した。ラダック東部の海抜5,180メートル以上にあるダウラト・ベグ・オルディ(Daulat Beg Oldi)とデプサン平原(Depsang Plains)は険しい地形であり、中印両国が多数の軍隊を配備した場所となっている。インド軍はここでフタコブラクダを使って物資の輸送とパトロールをする予定だ。

 フタコブラクダは、5千メートルを超える高山で170キログラムの荷物を運ぶことができ、水がない状態で少なくとも72時間生き残ることができる。インドの防衛研究開発機構(DRDO)は、軍のニーズを満たすためにフタコブラクダを飼育している。

フタコブラクダ(イメージ:Wikimedia Commons / Yaan / CC BY-SA

 温室栽培で冬の野菜を供給

 インドの防衛研究開発機構(DRDO)は、温室技術を利用し、寒い冬に食用の野菜や果物、さらにはキノア、チアシード、シーバックソーン(ラテン語の学名:Hippophae rhamnoides Linn)などヘルシーな「スーパーフード」を栽培している。

 DRDOは、インドの軍事研究開発を担当する政府組織であり、インドの首都ニューデリーに本社がある。この組織には、航空、兵器、電子機器、地上戦闘工学、生命科学、材料科学、ミサイル、ナビゲーションシステムなど、国防技術のさまざまな方面の研究を専門とする52の研究所があり、合計5,000人の科学者と25,000人の科学技術専門家が在籍している。

 半年間の十分な物資が調達済み

 ドイチェ・ヴェレは、インドのThePrintの報道を引用し、インド軍が冬の衣類、食品、暖房テント、燃料など下半期分の物資を国境に輸送したと報道した。

 インドの「経済時報(EconomicTimes)」は、気温がマイナス50度に達しても、インド軍は、将校や兵士が極端な天候に抵抗するのに十分な物資を備えているという。

 中国軍はドローンを利用

 中国軍は、ドローンを使用して、病院から国境にある駐機場、訓練場やその他の場所に食料や必要な資材を輸送し、軍備調達を向上させている。さらに、空軍はまた、軍備用品と医療を改善するために、Y-9輸送航空機を「航空病院」として利用した。

中国人民解放軍空軍で製造されたY-9多用途中型輸送機(イメージ:Wikimedia Commons / Danny Yu / CC BY-SA

 中印国境の全長は約2千キロメートルあり、そのうち12万平方キロメートルが領土紛争地帯となってい。中印国境では緊迫した空気が続いており、最前線への増員をしないことに合意したものの、撤退する気配もない。山が閉鎖される冬に、いつまで高さ約5千キロの山での対決が続くだろうか。

(翻訳・北条)