米国トランプ大統領(Michael Vadon / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0

 今月6日、米国の安全保障を理由に、トランプ米大統領は中国企業が運営するアプリ「微信(ウィーチャット)」と「TikTok(ティックトック)」の米国事業を全面禁止すると発令した。14日、トランプ氏は中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営しているティックトックの米国事業を 90日以内に売却するように命じた。ティックトックの次は中国EC大手アリババ(ALIBABA)が禁止される可能性があると見られている。

 ロイター通信によると、 トランプ氏は「バイトダンスが米国の安全保障を脅かす行動をとる可能性があると確信させる確かな証拠がある」とし 、 米当局者にはティックトックとバイトダンスの財務と情報システムを調べる権限が与えられる。

 希望の声(sound of hope)によると、トランプ氏は華為(ファーウエイ)の米国撤退を重点的に扱うほかに、アリババ(ALIBABA)のような中国企業も視野に入れているという。

 分析家はティックトック禁止が発令されることで、トランプ政権はさらなる中国系企業の離脱を進めるとの見方を示している。

 アリババは中国のEコマース企業「Alibaba Group(阿里巴巴集団)」が運営するECサイトで、中国版のアマゾンとされている。2014年、アリババはニューヨーク証券取引所に上場し、250億ドルという当時史上最大のIPOとして話題を呼んだ。

 昨年5月、創業者馬雲(ジャック・マー)が代表取締役を退任したのは、中国共産党が支配を進めた動きだと見られている。アリババは最近、習近平の講談や映像を多数収録した中国の特色ある社会主義思想を主な内容とする教育プラットフォーム「学習強国」、企業用交流・管理用スマートフォンアプリ「釘釘(ディントーク)」の開発に携わっている。

 シンガポール国立大学のアレックス・カプリ(Alex Capri)上級研究員が8月13日、CNNのインタービューで、中国共産党が「戦略的国家資産の擁護者」として選んだアリババのような企業は、中国が外国の競争相手に対して障壁を持つ市場環境の中で完全に保護されている。「今の彼らは… オープンマーケットで競争しようとすると、制裁を受ける可能性がある」と述べた。

(翻訳・北条)