収穫されたトウモロコシ(イメージ:Pixabay CC0 1.0)

 新華社通信11日の報道によると、習近平は「見るに堪えられない、心が痛む」と称し、食べ物を浪費するなという指示を出した。習近平が20日間で食糧問題について指示を出したのはこれが2回目だ。中国が本当に食糧不足に直面しているのかと外界から疑われた。

 ここ数かけ月、長江流域を中心に数千万人もの人々が豪雨や洪水に見舞われ、農産物の収穫がなく、食糧危機が危惧されている。7月22日、習近平は東北地方の農地を視察し、中国の食糧危機に関連していると疑われた。しかし、中国共産党は常に「毎年豊産、食糧の在庫が十分だ」と主張してきた。

 これに対し、中国の食糧と農業問題に詳しい経済学者である胡星斗氏は、中国共産党が「十分な穀物の収穫がある」と繰り返し強調しているが、中国は30%を超える穀物が輸入に頼っており、現在米国と他の西側諸国との関係の悪化は、食糧問題危機を引き起こす可能性があると述べた。

 胡氏はさらに、現在グローバルな食料取引のほとんどが米ドルで決済されているため、中国と米国が最終的に経済的にデカップリングすれば、中国の貿易黒字は減少し、中国に米ドルがなくなるかもしれない。もしくは米国に米ドルを使わせてもらえず、国際社会で食料品を購入することは不可能になると述べた。

 現在のところ、中国の米価格には大きな変動はない。主な理由は、大雨と洪水の後、中国が6,000万トンの米、5,000万トンのトウモロコシ、76万トンの大豆を倉庫から放出したためで、すでに昨年の穀物の総放出量を上回っている。

 しかし、洪水は驚くべき速さで拡大しており、中国の証券会社である申萬宏源は、7月中旬に中国の稲作地の約5%が被害を受けたと指摘した。中国の緊急事態管理部の最新のデータによると、7月中旬から被害を受けた農地の総面積はほぼ2倍に増加しており、申萬宏源の分析には、小麦やトウモロコシなど他の作物の損失は含まれていない。

 それだけでなく、今年の中国の豪雨は8月にも降り続けており、小麦とトウモロコシの収穫を脅かす北へ移動する兆しがある。中国のトウモロコシは害虫被害のために、7月の価格は昨年同期より20%上昇している。

(看中国記者・黎小葵/翻訳・北条)