宋・作者不詳 「胡笳十八拍 文姬帰漢図」一部(イメージ:Metropolitan Museum of Art / CC0)

 「胡笳十八拍」は中国の十大名曲の一つです。中国後漢末期から三国時代の魏の詩人蔡琰(さい えん、蔡文姬、177年―249年)は胡笳という北方遊牧民の楽器のリズムを古琴の曲に加え、作成しました。

 興平年間(194年―195年)、董卓の残党によって乱が起こると、蔡琰は匈奴の兵士に拉致され、南匈奴の左賢王に側室として留め置かれました。匈奴に12年住む間に子供が2人生まれました。建安12年(207年)蔡琰は帰国しましたが、子供たちは匈奴に残されました。蔡琰が自らの不運な半生を表現したものが、「胡笳十八拍」とされています。

 有名な古琴演奏者・呉景略(1907-1987)が演奏する「胡笳十八拍」:

注:中国古典音楽の十大名曲:
1 高山流水
2 廣陵散
3 平沙落雁
4 梅花三弄
5 十面埋伏
6 夕陽簫鼓
7 漁樵問答
8 胡笳十八拍
9 漢宮秋月
10 陽春白雪

(文・黎宜明)