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 武漢肺炎が昨年夏頃から流行し始めたのではないか。このような疑いが米ハーバード大学の研究により急浮上した。同大学教授のジョン・ブラウンスタイン氏率いるチームの研究によれば、武漢市の病院駐車場の衛星画像や検索キーワードを解析したところ、武漢肺炎との関係性を示すデータが得られたという。米国メディア「ABCニュース」が報じた。
 
 ジョン・ブラウンスタイン(John Brownstein)氏はハーバード大学の医学教授を務める傍ら、国際疾病監視協会の副理事長でもある。ブラウンスタイン教授によると、研究チームは2018年10月と2019年10月の商用衛星写真を分析したところ、2019年夏末から秋初めにかけて、武漢にある5つの主要病院周辺で交通量が大幅に増加していた。

 衛星写真によると、武漢天佑病院駐車場の駐車率は、2019年10月に2018年の同時期より67%増えた。武漢同済病院の交通量も2019年9月中にピークが現れた。武漢大学中南病院の駐車場は2018年10月10日に506台だったが、2019年10月17日には640台に増えた。さらに、湖北省女性児童病院は2018年10月10日に393台の車しかなかったが、2019年10月17日には714台になっていた。
 
 「百度」検索エンジンでの「下痢」や「咳」などの検索数も同時期に増加しており、それまでのインフルエンザ流行時には見られなかった「下痢」に関する検索が増加した。これらは新型コロナと関係しているが、中国共産党政権が「原因不明の肺炎」をWHOに通報したのは、昨年12月31日のことだった。
 
 ブラウンスタイン氏は「明らかに、新型コロナの流行が認知される前に、武漢ではある程度の混乱があった」と述べた。研究チームは、湖北省の人々が最初に衝撃を受けた兆候を1ヶ月以上かけて探していた。呼吸器疾患の患者はコミュニティの中で特定の行動を引き起こすので、患者が病気だと気づいていなくても、研究者は特定の行動パターンを解析することで、その時何が起こっていたかを見抜くことができる。これは間接的証拠ではあるが、COVID-19の起源の謎について重要な新データを提供しているとブラウンスタイン氏は述べた。
 
 この研究は、すでに「自然デジタル医学(Nature Digital Medicine)」に投稿され、8日に「ハーバード大学デジタル学術庫(Digital Access to Scholarship at Harvard)」にも掲載された。ブラウンスタイン氏の研究室では以前、衛星画像を使ってチリ、アルゼンチン、メキシコなどにおける伝染病の発生期間を分析していた。
 
 また、「ラジオ・フリー・アジア」は今年5月10日、2019年10月に武漢で行った世界軍人運動会に100カ国近くの選手が出場したが、フランス、イタリア、スウェーデンなどの多くの選手が武漢にいる間、インフルエンザに似た症状を患ったと報じた。上記の症例は12月31日に世界保健機関(WHO)に初めて報告された時よりも2ヶ月早かった。

(看中国記者・黎小葵/翻訳・藍彧)