チェコ上院の外交・国防・安全保障委員会のパベル・フィッシャー(Pavel Fischer)委員長(Martin Vlček, Kancelář Senátu / CC BY 3.0

 今年2月に台湾訪問を予定していたチェコ共和国議会上院議長ヤロスラフ・クベラ氏が、出発直前に急死したと複数のメディアが報じた。クベラ氏の家族は彼の鞄の中から「台湾を訪問しないことを要求し、拒否すればチェコの企業を処罰する」という内容の中国大使館からの脅迫状を見つけた。家族はクベラ氏の死が中国の脅迫と関係があると疑っている。

 中央社によると、今週の水曜日(5月20日)、チェコ上院は討論の結果、外交・国防・安全保障委員会のパベル・フィッシャー(Pavel Fischer)委員長からの「ミロシュ・ビストルチル議長の訪台を支持する決議案」を50対1の得票数で通過させ、故クベラ上院議長に対する中国の脅迫を批判し、チェコに対する内政干渉だと主張した。

 同決議案は、チェコの国会議員が台湾を訪問することは、チェコの長期的な外交的利益に合致し、企業代表を伴い議長が台湾を訪問することを支持すると指摘した。

 同紙は、「5月20日の国会答弁で、ミロシュ・ビストルチル議長が“中国外交官たちはチェコを尊重していない!”と再び批判した」と伝えた。ビストルチル議長は、台湾がチェコにマスクを寄贈したことに感謝し、彼が台湾の国旗と記念写真を撮ったことに、中国大使館が不満を示した。また、彼は台湾の蔡英文総統に、就任を祝う電話をするかどうかをまだ決めていないが、中国大使館の職員は彼の執務室に電話を掛け、「祝電を送れば、チェコと中国の関係に害を及ぼすことになる」と警告した。しかし、彼は馬鹿げており受け入れ難いと感じたと明かした。

 ビストルチル議長は、「まだ訪台するかどうかは決まっていないが、自由と独立と民主はチェコの最も重要な基本価値であり、中国がチェコの上院に干渉する事があれば、訪台する可能性はさらに高まる」と述べた。

 チェコ憲法では、上院議長は大統領に次ぐ階級であり、ビストルチル氏が順調に訪台すれば、チェコと欧州の台湾に対する関係に象徴的な意味を持つことになる。

 游錫堃中華民国立法院長は5月21日フェイスブックに「台湾総統2期目就任の日、チェコ上院は圧倒的多数で、議長の訪台を支持する決議を可決し、チェコが独立し、自由で民主的な国家であることを強く表明した」と投稿した。

 游錫堃秘書長は、「私たちは故クベラ議長の風格を偲んでいる。又、ビストルチル議長が疫病流行後に台湾を訪ずれることを心から望んでいる」と語った。

 吳釗燮外相も「チェコはこれまで民主、自由、人権の理念に対して誇りを持っており、チェコの参議院議長が団を率いての台湾訪問を望んでいることを、我々外交部は非常に歓迎し、参議院の勇気に対しても敬意を表している。民主主義は台湾‧チェコ両国の共通語となり、中国の戦狼式外交は逆効果をもたらすだけだ。疫病が徐々に緩和されるのを待って、外交部は議長の訪台に全力を尽くす」と述べた。

(翻訳・柳生和樹)