中国大使館前で抗議する荻須智之氏、丸山治章氏、中村一夫氏、根本敬夫氏(左から)と法輪功学習者ら=森本毅篤氏提供

 中国で不当に拘束されている法輪功学習者の日本在住の家族らが28日、東京の中国大使館前で抗議活動を行った。拘束されている学習者全員の即時釈放を求める抗議文を読み上げ、大使館の郵便受けに投函した。

 抗議活動には、逗子市議会議員の丸山治章氏、大和市議会議員の中村一夫氏、四日市市議会議員の荻須智之氏、一般社団法人「中国における臓器移植を考える会(SMGネットワーク)」会長代理の根本敬夫氏の4人も駆けつけ、連帯を示した。

 抗議文は、法輪功学習者のほか、「再教育施設」と称される施設に収容されているすべての人々の即時釈放を求めた。また、法輪功学習者やウイグル人、チベット人への迫害の停止、少数民族の言語・文化・歴史の保護も求めた。

 法輪功は「真・善・忍」を根本理念とする修煉法で、心身の健康に良い影響を与えるとして、1990年代に中国で広まった。1999年7月20日、当時の江沢民総書記の主導により、中国共産党による迫害が始まり、現在も続いている。

「信仰を捨てなければ面会取り消し」 家族が拷問・拘束の実態訴え

 抗議文を読み上げたのは、張一文さん、張述慧さん、劉希月さん、龔金均さんの4人。いずれも家族が中国で拘束されている。

 張一文さんの母、王乖彦さんは3年以上にわたり拘束されている。今年6月、ようやく家族との面会が認められたが、刑務所側は、王さんが信仰を捨てなければ、いつでも面会を取り消す可能性があると示唆したという。

 張さんによると、母は以前収容されていた労働教養所で、頭にいくつものこぶができるほど殴られ、髪をつかまれて頭を壁に打ちつけられたり、顔を踏みつけられたりするなど、残酷な拷問を受けたという。張さんは大使館関係者に向けて、「良心を忘れないでほしい」と訴えた。

 張述慧さんの叔母、鐘芳瓊さんは、いわゆる「洗脳施設」や労働教養所、刑務所などで、通算11年にわたり迫害を受けてきたという。張述慧さんは、「罪のない善良な人々への暴挙であることは、誰もが心の中では分かっているはずだ」と述べたうえで、迫害を担う部署の幹部は、責任逃れのために指示を文書に残さず、口頭で部下に伝えていると指摘した。

 劉希月さんの妹、劉聡さんは、法輪功を修煉していることを理由に不当に逮捕され、通算8年にわたり服役を強いられてきた。今も冷たい鉄格子の中で、想像を絶する拷問や精神的虐待に耐えているという。

 龔金均さんの母、姚桂秀さんは、これまでに3回、通算14年以上にわたり拘束されてきた。龔さんは、「真・善・忍の教えに従い、善良な人間であろうと努めることが、拘束される理由になってはならない。その信念は決して捨てるべきものではない」と述べ、母をはじめ、法輪功の修煉を理由に拘束されている人々の即時釈放を訴えた。

米上院、関連法案を可決

 米上院は9月28日、法輪功学習者らに対する強制臓器摘出への対処を目的とした「法輪功および強制臓器摘出被害者保護法案」を全会一致で可決した。

 同法案は、中国での臓器収奪に関与した者に対し、米国との金融・資産取引の禁止、米国内資産の凍結、米国への入国禁止、ビザ・入国許可の取り消し、移民関連の優遇措置を受ける資格の剥奪などの制裁を科す内容となっている。

「ジェノサイドの歴史を刻ませるな」 地方議員らが訴え

 丸山氏は、SMGネットワークの会長を務めるほか、全国地方議員の会の代表として、中国の臓器収奪問題の啓発活動を続けてきた。大使館前での抗議文の読み上げと提出に際し、次のように語った。

 「国連安全保障理事会の常任理事国として、国連の場で人権の尊重をうたっている中国で、共産党が基本的人権を踏みにじっているのは、狂気の沙汰だ。人類の歴史に汚点を残す恥ずべき行為であり、獣の所業と言わざるを得ない。私は2014年にこの問題を知り、講演会やドキュメンタリーの上映会を開いてきたが、『信じられない』『何をしたらよいか分からない』という反応も多かった。知る人が増えれば、大きなうねりになるはずだ。知っていながら黙っていることは、容認したのと同じだ。正義の力で必ずやめさせることができる」

 これまでも三重県から駆けつけ、活動を支援してきたという荻須氏は、次のように述べた。

 「メディアが報じないため、まだ知らない人は多い。日本国民が真実を知らずにいるのは恐ろしいことだ。中国では1週間ほどで臓器のドナーが見つかるというが、考えられない。日本は先人の努力を無駄にしないためにも、国として臓器の出どころについて本腰を入れて調査すべきだ。臓器は、人から奪ってよいものではない。中国国民の多くも、情報が隠蔽されているために事実を知らず、法輪功についても真実を理解していないのではないか。日本はこの問題を公にし、迫害されている人々を救う必要がある」

 ウイグルの人権問題にも取り組んできた中村氏は、次のように決意を語った。

 「日本は、国としての考えを明確に示すべきだ。外交はデリケートな問題だが、言うべきことをしっかり言うことが、他国からの信頼につながると思う。中国共産党によるジェノサイドを、『人権侵害』という言葉だけで片付けるのは、あまりに生ぬるい。相手が誰であれ、決して許されない行為だ。今後も迫害の停止を訴え続けていきたい」

(報道・勅使河原 英莉)