10月29日、湖南省長沙市の繁華街の中心にある五一広場近くのバス停で、乗用車が歩行者に突っ込む事故がありました。

 SNSで拡散された動画には、乗用車がバスを待つ人たちや電動バイクに突っ込み、複数の人がけがをした様子が映っています。あたりには何台もの電動バイクが倒れていました。

 その後に出回った写真では、駆けつけた警察が青いシートで現場を覆っている様子が確認できます。別の画像によると、運転手は事故の後、車でその場を離れましたが、近くで身柄を確保されました。車は前の部分が大きく壊れていました。現時点で当局からの発表はなく、けが人の数もわかっていません。

 ネット上では、社会への恨みを晴らそうとした未成年の犯行ではないかとの見方も多く出ています。地元住民だという人は、こう書き込んでいます。

 「五一広場、うちから500メートルもないんだよね。家族には用もないのに行くなって言われてる。人が多すぎるし、特に週末とか帰宅ラッシュの時間は、人生うまくいってない人が人混みを狙ってくることがあるから。写真見ると犯人すごく小柄だし、本当に未成年かもね。車を貸した店もただじゃ済まないだろうな」

 ほかにも「突然すぎる」「今って生活がうまくいかなくて、心も弱ってる人が多すぎる。コンサートもフェスも行かないようにしてる。人が多いところはやっぱり気をつけないと」といった声が上がっています。

 同じ日の夜、隣の広東省では、公立高校2校の生徒数千人がほぼ同時に抗議の声を上げました。中国の抗議活動を長年追っているXのアカウントが、その様子を撮影した動画を投稿しています。

 中国の高校は寮生活のところが多く、生徒は夜も校内で過ごします。投稿によると、このうち生徒数3300人余りの高校では、この夜、設備の故障で校内が数時間にわたって停電しました。大勢の生徒が校門に集まり、家に帰らせるよう求めましたが、学校側は認めず、にらみ合いになりました。

 動画では、警備員が柵で校門をふさぐなか、生徒たちが「帰らせろ!帰らせろ!」と声をそろえて叫んでいます。やがて生徒たちは次々と柵を乗り越えて学校を出ていき、「順番に越えろ、慌てるな!」と呼びかける声も聞こえます。投稿によると、その際、止めに入った校長や、学校の共産党組織のトップを蹴った生徒もいたということです。

 もう1校は地元で進学校として知られる公立校で、きっかけは校長がエアコンを止めるよう指示したことでした。広東省は10月末でもまだ暑さが残ります。蒸し暑さに耐えかねた生徒たちは、寮で一斉に叫び声を上げ、エアコンをつけるよう求めました。

 動画では、寮から「エアコンつけろ!」という叫び声が響くなか、上半身裸の男子生徒数十人が寮の入り口の門に体当たりしています。門をこじ開けると歓声が上がり、生徒たちが一気に外へあふれ出しました。硬い物をたたいて音を鳴らし、シュプレヒコールを上げながら、長時間にわたって校内を練り歩きました。

 ネットユーザーからは「締めつけすぎ。やりすぎれば反動が来るに決まってる」「この子たちこそ中国の未来の希望だ!」といった声が寄せられました。今回の抗議について、若い世代が基本的な権利と尊厳を求めて立ち上がったものであり、教育現場の官僚体質に警鐘を鳴らすものだと受け止める声もあります。

 その2日後、10月31日のハロウィンの夜には、若者たちの不満が今度は別の形で表れました。中国各地で、若者たちが仮装して街に繰り出したのです。中には、ゼロコロナ政策の時代に「大白(ダーバイ)」と呼ばれた全身白い防護服の防疫スタッフや、電子足輪をつけたファーウェイ幹部の孟晩舟に扮して、中国共産党を皮肉る人もいました。ニューヨークでは、在米の中国人たちが習近平の遺影を掲げ、棺を担いで街を練り歩き、ハロウィンにかけて習近平を「あの世」へ送り出すパフォーマンスを行いました。

 中国のSNSによると、この夜、上海の街なかには仮装した若者が大勢集まり、合肥、青島、杭州などの繁華街もにぎわいました。

 若者たちが街で盛り上がるハロウィンですが、ここ数年は当局の締めつけが続いています。多くの都市で警察が厳戒態勢を敷き、今年も仮装が問題視されて警察に連れて行かれる人が相次ぎました。

 SNSに投稿された動画では、「大白」の格好をした人が複数の警察官に止められ、その場で防護服を脱ぐよう求められています。警察は身元も控えたということです。

 これについて、ネット上では「共産党は悪いことをしても、口にさせないし、思い出させもしない。批判や皮肉が怖くて、国民の記憶まで消したがってる」「白い防護服に怯えて暮らし、習近平に家畜同然に扱われたあの3年間を、中国人は絶対に忘れちゃいけない」といった書き込みがありました。

 ほかにも、ウルトラマンの仮装をした人が警察に連行されたり、アメリカのトランプ大統領に扮した人が職務質問を受けたりしました。

 「奇抜な服装」だとして女性2人がパトカーに乗せられた場面では、大勢の若者が車を取り囲み、「解放しろ!」と声をそろえて叫びました。

 自由の女神に扮して、自由へのあこがれを表した人もいて、多くの市民が足を止めて撮影していました。

 2018年にアメリカの要請でカナダで拘束され、約3年に及ぶ軟禁生活の末に中国へ帰国した孟晩舟。その帰国時の姿をまねた男性もいました。足首には、軟禁中の孟晩舟がつけていたのと同じ電子足輪。本人の口調をまねて「祖国よ、ただいま!家族も友達も、みんなでがんばっていこう!」と呼びかける、皮肉たっぷりのパフォーマンスでした。

 ファーウェイ幹部の余承東に扮した人もいました。頭には魚のかぶりもの。「余」と「魚」が中国語で同じ発音であることにかけたものです。手には「界」と書かれた札を掲げ、品質に疑問の声が上がっているファーウェイの電気自動車ブランド「問界(AITO)」を皮肉っていました。

 ネットでは「この2人の仮装、皮肉が効きすぎてる」との声も上がっています。

(翻訳・吉原木子)