四通橋抗議事件から4年 彭立発氏に懲役9年の判決と報道.
2022年10月13日、彭立発氏は北京市中関村地区の四通橋に、2枚の横断幕を掲げた。(ネット写真)

 北京の陸橋で、一人の男性が中国共産党(CCP)の最高指導者、習近平氏に公然と異を唱えてから4年がたつ。男性の安否は今も分かっていない。人権団体は2025年、「四通橋の男」として知られる彭立発(ほう・りっぱつ)氏に懲役9年の判決が言い渡されたと伝えた。ただし、中国当局は有罪判決を一度も認めていない。

 彭氏が抗議行動に出たのは、第20回中国共産党大会の開幕を数日後に控えた2022年10月13日だった。彭氏は北京市中関村地区の四通橋に、2枚の横断幕を掲げた。1枚には「PCR検査ではなく、食べ物が欲しい! ロックダウンではなく、自由が欲しい! 嘘ではなく、尊厳が欲しい! 文化大革命ではなく、改革が欲しい! 指導者ではなく、投票権が欲しい! 奴隷ではなく、市民になりたい!」と書かれていた。もう1枚には、ストライキと習氏の退陣を呼びかける言葉が記されていた。彭氏は直後に拘束され、以来、公の場に姿を見せていない。その一方で、彭氏は抵抗の象徴として国際的に知られる存在となった。

 中国当局は、この抗議行動の記憶を消し去ることに躍起になっているとみられる。事件から1年となる2023年10月、台湾の中央通訊社は、私服警察官が橋の周辺を巡回し、通行人の携帯電話を無作為に調べて写真の削除を命じていたとするSNS利用者の証言を報じた。ただし、これらの情報は独自には確認されていない。

 圧力は家族にも及んだ。米政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)は2023年10月、関係者の話として、彭氏の妻の韓洋(かん・よう)氏と2人の娘が常時監視下に置かれ、携帯電話を当局支給の端末に取り換えさせられたと報じた。元人権派弁護士の梁少華(りょう・しょうか)氏は、これは違法な自宅軟禁であり、連座制による処罰に当たると批判した。

 同じ頃、路徳社(Lude Media)は匿名の内部関係者の話として、彭氏が拘束中に激しい暴行を受け、視力を永久に失ったと伝えた。この情報も確認は取れていない。

 彭氏の事件は海外でも注目を集めた。当時、米下院の中国共産党に関する特別委員会で委員長を務めていたマイク・ギャラガー議員は2023年10月13日、彭氏の行動が2022年11月の「白紙運動」のきっかけの一つになったと評価し、ノーベル平和賞候補に推薦した。

 彭氏の法的処分について初めて具体的な情報が伝えられたのは、2025年7月だった。人権団体チャイナエイド(ChinaAid)は、中国のSNSチャンネル「昨天」が得た情報として、彭氏が「事を騒がせて秩序を乱す罪(尋釁滋事罪)」や「放火罪」などで秘密裏に有罪判決を受け、懲役9年を言い渡されたと報じた。人権団体「中国人権擁護者(CHRD)」はこの情報に信憑性があるとの見方を示した。同団体の共同事務局長ソフィー・リチャードソン氏は、「この判決が告発しているのは彭立発氏ではなく、習近平氏の下で著しく政治化された司法制度そのものだ」と述べ、彭氏の釈放を求めた。

 その後、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も『世界人権年鑑2026』でこの判決に言及した。ただし、判決を裏付ける裁判記録は公開されていない。2026年5月には、超党派の「中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)」がトランプ大統領に対し、習氏との間で彭氏の問題を取り上げるよう求めた。同委員会は、彭氏の所在や法的地位がなお不明だと指摘した。

 事件から4年となる今年10月には、中国民主党がロンドン、マンチェスター、ニューヨークの中国在外公館前で抗議デモを行い、参加者らが彭氏の釈放を訴えた。HRWによると、中国国内でも彭氏の行動に触発された抵抗行動が相次いでいるという。

 事件から4年がたった今も、彭氏の居場所や健康状態、弁護士との接見が認められているかどうかは確認されていない。横断幕で自由と尊厳を訴えた男性は、いまだ公の場に姿を現していない。

(翻訳・竹内優子)