テキサス州は、人工知能(AI)ブームに伴う異例の電力需要のうち、実際にどれだけが本物の需要なのかを当局が調査する中、米国の主要なデータセンター拠点としては初めて、新規の送電網接続を凍結した。
9月1日付のロイター報道によると、テキサス州の送電網への接続を求めるデータセンターやその他の大口電力需要家からの申請は、2023年の約48ギガワットから現在では474ギガワット超へと急増している。これは、テキサス州の送電網でこれまでに記録された最大電力需要の5倍を超える規模だ。
この急増によって、ある基本的な疑問が浮上している。こうした計画中のデータセンターのうち、実際に建設されるのはいったいどれほどなのか、という問題だ。
ロイターの調査によると、米国中西部、大西洋岸中部、南部の一部地域では、主にデータセンターによる大口電力需要家から、合計700ギガワットを超える接続申請が提出されている。これは、現在、米国内のすべてのデータセンターが消費している電力量の10倍を超える。
規制当局は、この現象を「ゴースト需要」と呼び始めている。これは、電力会社の接続待ち行列には存在するものの、重複している可能性がある、投機的である、資金調達が不十分である、あるいは実現する可能性が低いプロジェクトを指す。
ロイターによると、テキサス州公益事業委員会のトーマス・グリーソン委員長は業界会議で、「何が本物なのか分からなければ、それに対応するインフラをどのように整備すべきかも、本当の意味では分からない」と述べた。
この問題は、AIを取り巻く巨大なインフラ整備競争を映し出している。テクノロジー企業は、ますます高性能になるAIシステムを訓練し、運用するために必要なデータセンターへ、数千億ドル規模の投資を行っている。その一方で、開発事業者や土地所有者には、施設が実際に建設されるはるか前の段階から、送電網の供給容量を確保しておこうとするインセンティブがある。
テキサス州は、この需給見通しの乖離がいかに大規模であるかを示す典型例だ。6月、テキサス電力信頼性評議会(ERCOT)は、大口電力需要家による43万8000メガワット超の接続計画を追跡しており、その約89%をデータセンターが占めていると発表した。これに対し、ERCOTの過去最高電力需要はわずか8万5508メガワットである。
ERCOTはこれに対応し、大口電力需要家をまとめて評価し、送電網が現実的にどの程度の需要を受け入れられるかを判断するため、「Batch Zero(バッチ・ゼロ)」と呼ばれる制度を導入した。
すでに、審査を厳格化することで、予測されていた需要の大部分を取り除けることを示す事例も出ている。電力会社Exelon(エクセロン)は、より厳しい担保要件を導入した後、実現可能性が高いとみられるデータセンター需要の推計を約40%削減し、11ギガワットとした。オハイオ州では、最大10万ドルの系統連系調査費用などを求める新たな規則が導入された後、電力会社AEP Ohio(AEPオハイオ)のデータセンター案件パイプラインが半分以下に減少した。
この問題は、電力会社にとって難しいジレンマを生み出している。実際のデータセンター需要の増加を過小評価すれば、必要な発電能力や送電能力が不足する可能性がある。一方で、結局は実現しないプロジェクトのために数十億ドル規模のインフラを建設すれば、その費用が最終的に一般家庭やその他の企業へ転嫁される可能性がある。
その影響は、すでに他の地域でも表れている。データセンターの増加は、米国最大の地域送電網であるPJM Interconnection(PJMインターコネクション)における容量確保コストの大幅な上昇の一因となっている。PJMは6月、データセンターが電力需要増加の「主要な要因」であるとし、新たな施設は、それに電力を供給するために必要な発電設備よりも2〜3倍の速さで建設できると警告した。
テキサス州は現在、より高い透明性を求めている。グレッグ・アボット州知事は、ERCOTへの接続を求めるデータセンターを対象とした監査を命じ、開発事業者に対して、プロジェクトが正当かつ実在するものであることを証明する情報の提出を義務付けた。当局はさらに、所有関係、水使用量、税制優遇措置、敷地内での自家発電計画についても調査している。
今回の取り締まりは、米国におけるAI関連の電力需要ブームそのものが架空であることを意味するものではない。確認済みのデータセンター需要は依然として相当な規模に上る。しかし、テキサス州の対応は、深刻化する一つの問題を浮き彫りにしている。すなわち、米国の電力システムは、紙の上にしか存在しない可能性のあるプロジェクトを一部の根拠として、数十億ドル規模のインフラ投資判断を迫られているということだ。
(翻訳・竹内優子)

