ファーウェイが手がける電気自動車ブランド「問界(AITO)」の事故が相次いでいます。10月17日と22日に続き、24日には湖北省十堰市でまた1台の問界が炎上し、1週間で3件目となりました。ネット上では問界を「走る火葬炉」と皮肉る声が広がっています。
25日にネットに投稿された情報によると、24日午後、十堰市の幹線道路を走行中の問界の前で、対向車が中央の柵に突っ込んでなぎ倒しました。問界はよけきれずに倒れた柵を踏み、柵を引きずったまま200~300メートルほど滑って路肩に止まり、その後出火しました。目撃者によると、車は問界M7とみられます。運転していたのは子ども連れの女性で、2人ともすぐに車を降りたため、けが人は出ませんでした。
事故と出火の原因は警察と消防が調べていますが、現時点で当局の発表はなく、問界側も正式なコメントを出していません。
ネット上には「1週間で3台燃えたぞ」「なんで毎日燃えてんの、こんな車誰が買うんだよ」「ファーウェイ、罪深すぎだろ」「問界、怖すぎ」といった書き込みが相次ぎ、ブランド名の「界」をもじって「火葬界」「殺人界」と呼ぶ人もいます。
10月17日深夜には、陝西省で問界M9が赤信号を無視して交差点に進入し、信号機の柱に衝突して一瞬で炎に包まれました。運転手はその場で死亡し、警察は単独事故だと確認しています。問界はその後声明を出し、事故当時は運転支援機能を使っておらず、制限速度50キロの道路を時速139キロで走っていたと説明しました。衝突で配線がショートし、オイルなどが漏れて出火したとしています。
それでも疑問の声はやみません。現場の動画から、実際の速度は60キロ程度だったと推測する人もいます。衝突された信号機の柱はほぼ無傷で、塗装が少しはげただけでした。問界が発表した速度で計算すると、この柱には115.8トンに相当する衝撃がかかったことになるという投稿も出ています。地元の交通警察は、柱は折れも倒れもしておらず、表面の変色は火にあぶられたためだと説明しています。ファーウェイで自動車事業を率いる余承東氏がM9を「1000万元以下で最高のSUV」と宣伝していたことにかけて、ネットではこの柱を「1000万元以下で最強のポール」と呼ぶ声が上がり、わざわざ見物に訪れる人まで現れました。ところが人だかりができた翌日、柱は「補修」を理由に囲われてしまいました。さらに、衝突の瞬間の動画を最初に公開した自動車メディアがSNSで15日間の発信停止処分を受けたとされ、事故を追及した別の中国メディアの記事も消えたという情報が出ています。
これを受けて多くの人が思い出したのが、ファーウェイ系の高級ブランド「尊界」のV800で、ブレーキペダルを支える部品が折れた騒動です。当時も関連動画や国営メディアの報道が削除されたとみられており、「またもみ消すつもりか」と疑う声が出ています。
10月22日には、四川省の動画投稿者が、田舎道の脇に止めてあった黒い問界が燃え、骨組みだけになった様子を公開しました。
なぜ問界は衝突のあとにこれほど早く火が出るのか。しかも、こうした火災は1度や2度ではありません。問界にはエンジンで発電するレンジエクステンダー型のモデルもあり、燃料タンクを積んでいます。中国メディアの記事によると、2024年の時点ですでに、ある自動車情報サイトが問界M7の事故解説の中で、車体前部の燃料配管が「明らかに前寄り」に配置されていると指摘していました。車の下に潜り込むような衝突やポールへの衝突で押しつぶされやすく、漏れた燃料がショートの火花に触れると一気に燃え広がるというのです。陝西省の事故で問界側が説明した「配線のショートとオイル漏れ」は、まさにこの流れに当てはまります。十堰市の事故も、柵を踏んだことで燃料などが漏れて出火したとみられており、根本は同じ問題だと記事は見ています。
記事はさらに、問界が「巨鯨」と名づけたバッテリーや「多層装甲」を安全性の売りにしてきたこと、余承東氏がファーウェイ主導のEV連合「鴻蒙智行(HIMA)」は「自然発火ゼロ」の記録を保っていると公言してきたことにも触れています。しかし陝西省の車は衝突から数秒で火に包まれ、十堰市の車も止まって間もなく激しく燃え上がりました。「自然発火ゼロ」は言葉の定義しだいでどうにでもなるものの、火が回る速さはごまかせず、「ぶつかったあと無事に車から出られるのか」という消費者の不安にも答えていない、と記事は指摘しています。
同じころ、湖南省衡陽市ではシャオミ(小米)のSU7とみられる車が路上で燃え、消防が昼から夜まで消火にあたっても火が消えませんでした。シャオミの車をめぐっては以前から火災が問題になっており、2025年には安徽省と四川省成都市で、SU7が衝突後に炎上して死者が出る事故が起きています。いずれも「ドアが開かなかった」と伝えられ、成都の事故では何人もの通行人が窓を割ってドアを開けようとしましたが、運転手を助け出すことはできませんでした。
25日にネット上に出回った動画では、EVなどに使われる緑色のナンバープレートを付けた青い乗用車が、市街地の道路の真ん中で燃えていました。運転手はすぐに車から逃げ出しています。地元の人の書き込みによると、車はシャオミSU7で、路面の出っ張りにバッテリーパックをぶつけたあと、爆発するように燃え出したということです。近くの店の人たちが消火器で火を消そうとしましたが、うまくいきませんでした。
駆けつけた消防が高圧放水で消火を試みると、炎はいったん収まるものの、しばらくすると再び車の下から噴き出しました。消防隊員は夜まで作業を続け、フォークリフトで車を持ち上げて車体の下に放水までしましたが、バッテリーパックは小さな爆発を繰り返し、炎と破片を噴き出し続けました。消防関係者が「この手のリチウム電池の火は消しようがない。燃え広がらないように抑えて、自然に消えるのを待つしかない」と内々に漏らしていたという書き込みもあります。
中国では今年7月1日、「史上最も厳しい電池安全規制」と呼ばれる電池の新しい国家規格が施行されたばかりです。電池が熱暴走を起こしても「発火しない、爆発しない」ことを義務づけ、バッテリー底面への衝撃試験も新たに加えました。ただ業界関係者も、新規格の試験は主に1つのセルの内部短絡による熱暴走を想定したものだと認めています。高速での衝突や底面を激しく打ちつけるような極端な状況では、複数のセルが同時に壊れ、試験よりはるかに激しい事態になりうるといいます。
現時点で、地元当局からの発表は出ていません。
(翻訳・吉原木子)
