台風13号が上陸してから、数日が経ちました。しかし、その影響はまだ収まっていません。9日に浙江省で二度上陸したあと、同台風は内陸を西へ進み、11日には湖北省で熱帯低気圧に変わりました。気象当局による台風としての追跡も、そこで終わっています。しかし、渦そのものは消えていませんでした。大量の暖かく湿った空気を伴って北上を続け、華北の寒気とぶつかりました。さらに太行山脈や燕山山脈による地形の押し上げ効果が加わり、雨を一段と強めています。これが、北京、河北、天津でこの数日続いている豪雨の直接の原因です。

 まず影響を受けたのは北京です。11日から12日にかけて、観測史上最大の1時間雨量を記録する激しい雨が降りました。ネット上に出回った映像では、北京市内の路地が一時、川のようになっていました。ある住民はスマートフォンで自宅前の浸水を撮影しながら、水があと少しで家に入りそうだった、通路はすっかり川になってしまったと話していました。市内ではバス約250路線が運休し、観光地150カ所が閉鎖されました。地下鉄10路線が減速運行となり、低い場所の道路では水が腰の高さまで達したところもありました。幸い12日の夜には最も激しい降雨のピークが過ぎ、大雨警報も解除されました。

 河北省や天津市でも激しい雨が降り続き、市街地の広い範囲が水に浸かりました。天津市は早めに洪水対応の緊急態勢を発動し、水がたまりやすい道路にはガードレールや警告灯を設置して、職員が昼夜を問わず見張りに立ちました。さらに北京市や河北省とも情報を共有する体制を整え、上流からの水位変化をリアルタイムで確認し合いながら、数年前に起きたような大規模な洪水の再来を防ごうとしています。

 ただ、今回の雨で最も大きな被害を受けたのは河南省です。ある都市のフードデリバリー配達員が、メディアの取材に答えています。11日に配達していたときは、道路の水はくるぶしほどでした。ところが12日に外へ出ると、水位はすでに太もものあたりまで上がっていました。電動バイクのタイヤも、完全に水没していたといいます。地元の人々の間でも、こんな大雨は生まれて初めてだという声が相次いでいます。河南省ではすでに6万人以上が緊急避難しました。複数の都市で休校や休業、工場の操業停止が相次ぎ、地下鉄やバスの一部も運休しています。

 華北がこうした極端な豪雨に見舞われるたびに、人々の頭をよぎるのが2023年の台風5号です。あの年、同台風が熱帯低気圧に変わったあとも渦は同じように北上し、北京、河北、天津にここ数十年で最も深刻な豪雨災害をもたらしました。中国当局の統計によると、この三地域だけで550万人以上が被災し、死者と行方不明者は100人を超えました。緊急避難した住民は143万人にのぼり、直接的な経済被害は1658億元にのぼりました。この災害は今も華北の豪雨を測る一つの基準として語り継がれており、華北で似たような天候になるたびに比較の対象になります。

 今回の台風13号は、このときの再来となるのでしょうか。中国気象局の首席予報官はこの点について慎重な姿勢を崩していません。その可能性を否定してはいません。ただ、現時点では天候がまだ不安定で、引き続き注視する必要があるとしています。これまでに判明しているデータを見る限り、今回の台風の雲の規模は当時に劣りません。しかも上陸前に、別の台風の渦を吸収していました。そのため、水蒸気の供給量はかなり豊富だとみられています。つまり、まだ結論は出ていません。ただ、現時点の兆候を見る限り、楽観できる状況とはいえません。気象当局は、今後数日の天候の変化を引き続き注視するとしています。

(翻訳・吉原木子)