7月19日、上海は突如として異常気象に見舞われました。真昼であるにもかかわらず夜のように暗くなり、暴風雨が吹き荒れる終末のような光景が広がったのです。実はこの日の午前中、上海の気温は急上昇しており、徐家匯(じょかかい)観測所では最高気温が35.2℃に達し、今年9回目の猛暑日を記録していました。しかし午後に入ると天候は急変。上海市気象台は雷、強風、豪雨、ひょうの各警報を次々と発令し、雨脚が強まるにつれて緊急で警報レベルをさらに引き上げました。

 突如発生した強烈な雷雲は、驚異的な降水量をもたらしました。上海市の水害対策当局が19日夕方に発表したところによると、1時間あたりの雨量が都市の排水能力を大きく上回ったため、市内の多くの地域で深刻な冠水や内水氾濫が発生しました。中でも楊浦(ようほ)区では猛烈な雨、虹口(こうこう)区や浦東(ほとう)新区、宝山(ほうざん)区などでは非常に激しい雨を記録しています。統計によると降水は西部と中北部の地域に集中しており、楊浦区の五角場(ごかくじょう)気象観測所では、1時間あたりの最大雨量が104.5ミリ、4時間半の総雨量が212.8ミリに達するなど、記録的な大雨となりました。

 激しい雨が降り注ぐ中、多くの市街地は瞬く間に一面の海と化しました。道路の冠水は深刻で、通りは川のように変わり、商業施設や住宅地にも大量の水が流れ込み、中にはボートを漕いで移動せざるを得ない市民まで現れる事態となりました。SNS「微博(ウェイボー)」では、「上海で突発的な猛烈な雷雨」「上海五角場、4時間雨量197.8ミリ」といったトピックが瞬く間にトレンド入りを果たしました。交通網が麻痺する中、多くのネットユーザーが冠水した街の動画を次々と投稿し、「台風の時でもこんな猛烈な雨は見たことがない」と驚きの声を上げています。あるユーザーは、「地元の五角場が、あっけなく冠水してトレンド入りしてしまった。大学路はすでに上海のベネチアになっている」と諦め交じりに冗談を飛ばしていました。また別の市民は、「普段なら40分で着く道のりが2時間も渋滞し、最後は車を降りて歩いた。膝まで水に浸かりながら、子供を抱えて一歩一歩進んだ」と、悲惨な帰宅時の体験を綴っています。

 皮肉なことに、この暴風雨はちょうど上海で開催されていた「世界人工知能大会(WAIC)」(7月17日〜20日)の期間と重なっていました。中国の最高指導者である習近平氏は開幕式に出席して演説を行い、世界のAI発展に向けて方向性を指し示すと意気込みを見せていました。しかし、最先端のハイテクを標榜する大会の巨大な会場は、猛烈な雷雨とひょうを前に脆くも機能不全に陥りました。ネット上で出回った動画には、主要駅などの建物の屋根から激しい雨漏りが起きて滝のようになっているだけでなく、人工知能大会の複数の展示館でも深刻な雨漏りが発生し、会場の内外が惨状を呈している様子が映し出されていました。

 この「外は大雨、中は小雨」という奇妙な光景は、単なる天災では片付けられません。極端な気象下で現代の大型建築が直面する物理的な限界を示しています。午前中、炎天下の展示館の広大な金属屋根には熱が蓄積し、そこへ突然の豪雨とひょうが降り注いで急激な温度低下が起こり、金属の急収縮で屋根板の防水ジョイントが引き裂かれたと考えられます。加えて強風による上向きの風圧や、サイフォン式排水システムの想定を超える雨量が重なり、行き場を失った雨水がハイテク会場の防水機能を破って浸水を招きました。

 展示館の惨状と、古い街並みの被害はさらに強烈なコントラストを生みました。わずか数日前の15日、習近平氏は上海市黄浦(こうほ)区を訪れ、自宅に水洗トイレを持たない住民の「おまる」処理問題に関心を寄せる姿勢をアピールしたばかりでした。ところが19日、ある住民がSNSに助けを求める動画を投稿。豪雨で下水道が逆流し、悪臭を放つ汚水が家のトイレから噴き出して部屋全体が水浸しになった様子を公開したのです。

 この惨状は、巨大都市の地下インフラが抱える負の遺産を暴き出しました。上海は海流や潮の影響を受ける平野部の河川網地帯にあり、地形が低く平坦なため、水害対策はポンプ場による強制排水に大きく依存しています。100ミリを超える豪雨に満潮による河川の潮位上昇が重なると、排水は極めて困難になります。さらに中心部の古い市街地は地下管網の建設年代が古く設計基準も低い上、雨水と汚水の管が混在するという課題を抱えています。当日の雨水がこれらの狭く古いパイプを一瞬で満たすと、行き場を失った水圧は最も低い位置の出口へ向かい、1階住民の家のトイレや排水口がシステム全体の溢れ口となってしまうのです。

 大々的な視察パフォーマンス、雨漏りするハイテク展示館、汚水が逆流した民家。これらを前に、華やかな大都市が極端な気候下で見せるシステム的な脆弱性が完全に露呈しました。ネットユーザーたちは中国共産党と最高指導者を揶揄するコメントを書き込み、この気まずい光景を「天罰が下った」と冷笑しています。

(翻訳・吉原木子)