2026年6月16日、国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」(Safeguard Defenders)は、ポルトガルのリスボンで『鉄格子の向こう側:中国の拘置所の状況に関する調査』(Behind Bars: A Survey on Detention Centre Conditions in China)と題する報告書を発表し、中国の拘置所において、法定の権利の剥奪、暴力の横行、そして非人道的な生活環境が長年にわたり存在している実態を明らかにした。
調査では、かつて中国国内の拘置所に収容された経験を持つ中国人および外国人合計84人に聞き取りを行った。彼らは、中国の19の省・市にある少なくとも58カ所の拘置所に収容されていた。こうした地域を越えた類似した経験は、中国の拘置所における被収容者への非人道的な扱いが全国的な現象であることを示している。
海外中国人権弁護士連盟の呉紹平理事長は取材に対し、拘置所に収容されている者は法的には「刑事被疑者」であり、有罪判決を受けた「受刑者」ではないと強調した。中国共産党の司法の核心は「有罪推定」にある。これにより、被疑者が拘置所に入った途端、その人格的尊厳が踏みにじられてしまう。中国共産党が被疑者を基本的人権を持つ「人間」として扱わないことが、あらゆる虐待行為が後を絶たない根本的な原因である。
報告書によると、回答者の73%が、弁護士との面会を妨げられたことがあると答えた。中国共産党の警察は、「国家の安全を脅かす」「国家機密に関わる」といった理由や、弁護士の資格証明書が不備、あるいは被拘禁者が「自発的に弁護士の面会を拒否した」などと主張して、弁護士の面会申請を無期限に延期したり、直接拒否したりすることが常態化している。
回答者の76%が、拘置所内で身体的虐待を受けたと回答した。加害者には警察官や看守のほか、他の被収容者も含まれている。呉紹平弁護士は、拘置所には外部からの監督が欠如しており、看守がしばしば房長(ぼうちょう)と呼ばれる房内のリーダー格の収容者を後押ししたり黙認したりし、彼らを利用して脅迫や身体的暴力、さらには性的暴行によって監房を支配させ、従わない被収容者を懲罰していると暴露した。
中国の拘置所における非人道的な物質的環境も、自白を強要する手段として利用されている。回答者の60%が、監房のスペースが狭く、夜寝るときに仰向けになれず、衛生設備が極めて不衛生であると報告した。さらに、64%の回答者が、深刻な医療ケアの欠如を経験したと報告し、回答者の24%は、数ヶ月から数年にも及ぶ収容期間中、一度も屋外での活動時間が与えられなかったと述べた。長年にわたり日光を浴びず、新鮮な空気を吸うこともできないため、被収容者には骨粗鬆症、重度の皮膚疾患、重度のうつ病が見られるようになった。
この報告書は特に、近年、中国における外国人に対する恣意的な拘束事例が急増するにつれ、拘置所が外国人被拘禁者にとって「二重の地獄」となっていることを指摘している。拘置所ではいかなる言語通訳も提供されないため、外国人被拘禁者は規則や制度を理解できず、自身のために申し立てを行うこともできない。同時に、中国共産党の警察は彼らと外界との連絡を遮断している。多くの外国人が、家族や弁護人、自国の駐中国領事館に送った助けを求める手紙はすべて拘置所によって違法に差し押さえられたと訴えている。
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道によると、2026年2月25日、人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が発表した報告書『Missing in China』は、中国共産党政府が「指定居所監視居住」という措置を利用して、外国人を秘密裏に拘束し、彼らの基本的権利を剥奪するとともに、政治的手段として「人質外交」を行っている実態を明らかにした。
「セーフガード・ディフェンダーズ」の研究責任者、ダイナ・ガードナー(Dinah Gardner)氏はボイス・オブ・アメリカに対し、「中国では、誰かと会話をしただけ、地図をコピーしただけ、あるいはうっかり機密施設の写真を撮影してしまっただけで、逮捕される可能性がある」と語った。
数多くの事例の中でも、オーストラリア国籍の記者、成蕾(チェン・レイ)氏の事件は特に典型的なものである。彼女は2020年、中国共産党政府により「国家機密漏洩」を理由に逮捕され、2023年になってようやく釈放された。彼女のパートナーであり、オーストラリア・中国商工会議所(AustCham China)の元最高経営責任者であるニック・コイル(Nick Coyle)氏は、成蕾氏が逮捕された真の理由は法的な問題ではなく、豪中関係の緊張にあると考えている。
コイル氏はボイス・オブ・アメリカに対し、「彼女は最初の6か月間を『指定居所監視居住』の下で過ごしたが、それは実に恐ろしい経験だった」と語った。「指定居所監視居住」とは、中国共産党当局が、家族への通知や弁護士との面会を認めずに、容疑者を特定の場所に最長6か月間拘束することを可能にする特殊な拘禁制度である。この期間中、被害者は独房に収容され、睡眠を剥奪され、長時間にわたる取り調べを受け、さらには身体的・精神的な拷問さえも受けた。
かつて中国共産党に拘束された元英国人記者、ピーター・ハンフリー(中国名:韓飛龍)氏も、「指定居所監視居住」を経験した。同氏はボイス・オブ・アメリカに対し、「中国共産党の司法および刑務所制度は完全に不透明であり、公平性など微塵もない。したがって、中国で『司法の正義』を論じることは無意味だ」と語った。
報告書はまた、中国共産党政府が「恣意的な拘束」を外交上の切り札としてますます利用しているとも指摘している。近年、カナダの「2人のマイケル」事件(マイケル・コブリグとマイケル・スペイバー)、英国人のピーター・ハンフリー事件、オーストラリア国籍の作家ヤン・ヘンジュン事件など、同様の事例が後を絶たない。
「セーフガード・ディフェンダーズ」の研究責任者であるガードナー氏は、中国共産党政府の「人質外交」戦略はすでに何度も実証されていると述べた。「その顕著な例がファーウェイ事件だ。カナダで孟晩舟氏が釈放されてからわずか数時間後、カナダ人の『2人のマイケル』も釈放された。」
報告書はまた、多くの事例において、中国共産党政府は正式な有罪判決を下すことを避け、拘束期間を延々と延長し、裁判を先延ばしにし、外交的な条件が整うまで待ってから、被拘束者を「条件付き」で釈放していると指摘している。例えば、成蕾氏の裁判は3年間延期され、最終的には「刑期を満了した」として釈放された。
報告書は、近年、中国において外国人が恣意的に拘束されるリスクが高まっていると警告している。報告書は、中国共産党の習近平総書記が2012年に権力を掌握して以来、中国が「政治的な動機に基づき、公然と外国人を拘束し」、「外国政府に圧力をかけたり、報復措置を講じたりしている」と指摘している。こうした逮捕は、中国共産党が重視する国家安全保障の枠組みの下で行われており、特に2014年に制定され2023年7月に改正された『反スパイ法』に加え、2024年5月に改正された『国家秘密保護法』により、中国がスパイ容疑で拘束する外国人の数は着実に増加している。
なお、共同通信の報道によると、電機大手の日本人社員2人が5月、遼寧省大連市でレアアース関連物品を国外へ持ち出そうとしたことで中国当局に拘束されたことが24日に分かった。
(翻訳・文遠)
