米国、中国の巨大テック企業を標的に BYD、アリババ、バイドゥを国防総省リストに追加.
(AI制作)

 米国防総省(DOD)はこのほど、中国の大手企業である電気自動車メーカーのBYD、テクノロジー企業のバイドゥ(Baidu)、電子商取引大手のアリババ(Alibaba)を含む複数の中国企業について、中国軍との関係があるとして、エンティティリストに追加した。同省によると、これらの企業は米国内で直接または間接的に活動しながら、商業サービスの提供や製造、生産、輸出に従事しているという。

 今回の指定は6月9日に行われ、2025年1月7日に公表された134社のリストに追加される形となった。国防総省によれば、この取り組みは、中国当局の軍民融合(Military-Civil Fusion)戦略をターゲットとしており、それに対抗することを目的としている。中国共産党は、民間企業や大学、研究機関の研究成果を用いて、軍の近代化を行っている。更新後のリストには188社が含まれている。

 国防総省は昨年の発表で、「中国の軍民融合戦略は、一見すると民間組織に見える中国企業や大学、研究プログラムによって開発された先端技術や専門知識を人民解放軍(PLA)に使わせることで、軍隊の近代化を図っている」と説明した。

 これに対し、中国外交部の林剣報道官は、記者会見で批判的なコメントをした。林氏は、「米国が国家安全保障の概念を拡大解釈し、中国企業を標的にするためにさまざまな差別的リストを作成していることに断固反対する」と述べた。

 今回のエンティティリストの拡張は、北京で行われたトランプ大統領と習近平の首脳会談から数週間後に発表された。ロイター通信によると、類似のリストは2月にも公表されていたが、当時進められていたトランプ大統領の訪中計画を背景に、詳細な説明なしに撤回されたという。

 インド国際貿易研究所(Indian Institute of Foreign Trade)の教授兼所長であるラム・シン氏は、看中国の取材に対し、今回の米国の動作は、中国との経済関係を維持しながら戦略上の脆弱性に対処しようとするワシントンの姿勢を反映していると述べた。

 シン氏は、「中国の主要テクノロジー企業の一部を軍事近代化に関連する事業体として指定する決定は、単純な対立や完全なデカップリングを意味するものではない」と述べ、「むしろこれは、経済的相互依存と地政学的な慎重さが共存する新たな国際関係の戦略的構造の出現を示している」と述べた。

 ロイター通信によれば、6月版のリストは2月に公表されたものとほぼ同じ内容だが、いくつかの企業が新たに追加された。特に、中国の主要メモリーチップメーカーである長鑫存儲技術(CXMT)と長江存儲科技(YMTC)が加わったことが注目されている。

 両社は、米国による輸出規制が強化される中、中国政府が半導体や人工知能分野で自給自足能力を高める取り組みにおいて重要な役割を担っている。昨年公表された米議会の報告書によれば、こうした規制は、先端チップおよび半導体サプライチェーンにおける米国の主導的地位を維持するとともに、半導体と人工知能分野での競争力を強化するために導入された。

 YMTCはすでに2022年、米商務省のエンティティー・リストに追加されており、許可なしで米国の技術や設備を輸出することが制限されている。

 戦略国際問題研究所(CSIS)が昨年公表した報告書によれば、米国は中国による先端半導体および人工知能技術へのアクセスを制限する取り組みの一環として、YMTCや華為技術(Huawei)、北方華創科技集団(Naura Technology Group)などの中国企業をエンティティー・リストに追加してきた。

 シン氏は、米国は重要鉱物資源や先端技術分野で中国に対する優位性を大きく失っており、今回の措置はその戦略的警戒感を示していると指摘した。同氏は、「これは愛憎の問題ではなく、密接な経済関係と慎重な対応の問題だ。経済的な結び付きが深まるほど、戦略的脆弱性への懸念も大きくなる」と語った。

 またシン氏は、今回の米国の措置が、中国がアリババやDeepSeekなどの民間企業に所属するトップAI研究者の海外渡航を制限してからわずか数週間後に行われたことにも言及した。ブルームバーグによると、中国政府はそれまで、このような措置を軍や国家機関に所属する科学者に対してのみ適用していたという。

(翻訳・竹内 優子)