ここ数日、中国の多くの地域で大気の状態が非常に不安定になり、記録的な豪雨が深刻な被害をもたらしています。今回の降雨は範囲が広く、強度も極めて高いため、現地のメディアは「まるでダムの放水ゲートが開いたようだ」「中国の大半の地域で、バケツをひっくり返したような雨が降っている」と報じています。この突然の気象災害により、多くの都市が厳しい試練に直面しています。
深刻な被害を受けた地域の一つである湖北省武漢市では、6月18日の深夜から19日の早朝にかけて激しい雨が降り続きました。気象データによると、8時間の累計で市全体の平均降水量は88.1ミリに達し、そのうち蔡甸区では最大191ミリと、30年に一度の記録的な大雨となりました。これは昨年の同時期に発生した特大豪雨をさらに上回る規模です。
19日未明、武漢市気象台は緊急で最高レベルの「暴雨特別警報」(赤色警報)を発令しました。早朝の通勤ラッシュ時には市内各所で深刻な冠水が発生し、市民の交通手段が完全に麻痺する事態となりました。さらに、武昌駅では地下1階のコンコースが浸水し、一時水位が足首を越えるほどとなりました。多くの乗客が靴を脱いでズボンの裾をまくり、荷物を抱えて濁り水の中を歩くことを余儀なくされ、駅のスタッフは急遽,木の板で仮設通路を作り、乗客が辛うじて出入りできるよう対応しました。周辺より土地が低い西口では、午前中まで排水作業と乗客の誘導が続けられていました。
武昌駅でのこのような光景は、人々の間で大きな関心と議論を呼んでいます。ちょうど去年の5月22日にも、同駅は豪雨により浸水し、多くの乗客が少し高い場所にある店舗内に閉じ込められる事態が発生していました。毎年のように繰り返される駅の浸水被害を前に、SNS上では、街全体をスポンジのようにして雨水を一時的にため込み、ゆっくり流す都市づくりである「スポンジ都市」プロジェクトの実際の効果を疑問視する声が上がっています。湖が多く「千の湖を持つ街」とも呼ばれる武漢が、いかに異常気象の前に脆弱であるかを嘆く声も聞かれました。こうした厳しい水害に対し、湖北省当局は警戒を強めており、18日午後までに42回連続で気象警報を発令しました。重大気象災害Ⅲ級緊急対応および洪水対策の四級緊急対応を相次いで発動し、二次災害の防止に全力で取り組んでいます。
湖北省が全力で洪水対策に取り組む中、隣接する安徽省は今回の降雨のピークを迎え、全国で最も多い降水量を記録しました。 19日午前のデータによると、全国の6時間降水量ランキングの上位2位を安徽省が独占し、定遠県で137.9ミリ、明光市で102.1ミリに達しました。さらに前日には、安慶市や合肥市などで特大豪雨が発生し、一部の地域では6時間の降水量が260ミリを突破しています。特に宣城市郎渓県では1時間当たりの降水量が98.3ミリに達し、まさに「ダムの放流」のような状態となりました。現地の気象部門は、持続的な降雨は24日まで続くと予想しており、豪雨が断続的に繰り返される見込みであると警戒を呼びかけています。
湖北省や安徽省にとどまらず、中国の南北各地で大気の状態が不安定になった影響により、深刻な被害が相次いで報告されています。南部では、広東省の広州市、中山市、汕頭市などで深刻な冠水が発生しました。深圳市では多くの区で大規模な冠水が起き、小中学校が休校措置をとったほか、汕尾市や陽江市では多くの家屋が浸水しました。また、貴州省羅甸県では19日未明に突発的な大規模な洪水が発生し、大量の濁流が土砂を巻き込みながら瞬く間に市街地を飲み込みました。北部でも、内モンゴル自治区赤峰市での豪雨により市街地の道路が腰の高さまで冠水し、多数の車両が水没しています。さらに東北部の黒竜江省海倫市では、雷雨、強風、そして雹に頻繁に見舞われ、気象部門が暴雨警報を最高レベルの特別警報(赤色)へと引き上げる事態となりました。
気象データによれば、各地に極端な災害を引き起こしている原因は、冷たい空気と暖かい空気が激しくぶつかり合うことで生じる「強対流」と呼ばれる気象現象です。これは大気の強い上昇気流によって積乱雲が発達し、局地的に極めて激しい雨や落雷、突風をもたらすものです。中央気象台の最新の予報によると、この極端な天候はまだ終わっていません。
今後数日間、内モンゴル自治区から黒竜江省、安徽省、浙江省、さらには湖南省、広西チワン族自治区に至る十数省の一部地域において、引き続き短時間での猛烈な雨や、雷を伴う突風、雹の脅威に直面し、局地的な1時間当たりの降水量は90ミリ以上に達すると予想されています。地球規模での気候変動に伴い、このような記録的な豪雨はもはや単なる偶然や突発的な出来事ではなくなりつつあります。今後の都市インフラ整備や防災対策において、向き合わざるを得ない大きな課題となっています。
(翻訳・吉原木子)
