自由民主党の山田宏参院議員は2026年6月9日、参議院厚生労働委員会で厚生労働省に対し、中国における臓器収奪の実態と日本の海外移植政策をめぐって質問した。山田氏は同月15日、この質疑の模様を自身のYouTubeチャンネルで公開した。

 山田氏はまず、中国での臓器移植件数の急増を取り上げた。1991年から1998年の7年間で78件だった移植総数が、1999年から2006年の同期間には1万4085件に達し、増加率は180倍を超えるという。当時の中国衛生部は「臓器の90%は死刑囚から摘出されていた」と説明しているが、国際人権団体の調査では中国の年間死刑執行数は約1000件とされており、山田氏はドナー数に大きな乖離があると指摘した。

 続いて山田氏は、カナダの弁護士デイビッド・マタスと元国会議員デイビッド・キルガーが2006年に発表した調査報告書に言及。報告書には「中国では法輪功学習者やウイグル人などが強制収容所で定期的な血液検査や健康診断を受けさせられている」との証言が多数収録されているとし、「中国で臓器移植を受けるということは、誰かを殺して臓器が得られているわけで、いわば殺人の加担だ」と山田氏は強調した。

 厚生労働省が2023年に実施した実態調査によると、移植後に外来通院する患者3万1684名のうち、海外で移植を受けた患者は543名。そのうち175名が中国での移植であり、内訳は腎臓140名、肝臓34名、心臓1名だった。担当局長は「海外移植患者の約3割が中国での移植だった」と答弁した。

 山田氏はさらに、こうした患者が帰国後に公的医療保険を利用している現状を問題視し、「由来の不透明な臓器売買や国家犯罪に、日本の公的資金が間接的に加担しているのではないか」と倫理的懸念を示した。上野賢一郎厚生労働大臣は、国内移植が困難な場合に一定の要件のもとで保険適用を認めている現行制度を説明しつつ、「国内で移植を受けられるよう体制強化に努める」と述べた。

 法整備の面では、台湾・イスラエル・スペイン・イタリアなどがすでに、不透明な海外移植への関与・斡旋を行った医療関係者に対して免許取り消しや刑事罰を科す制度を設けていると山田氏は指摘。「海外移植の申告義務化」および「臓器入手ルートが不透明な国への渡航移植に関与した者への厳罰化」に向けた法整備の検討を求めた。上野大臣は「各国の法整備状況を調査したうえで、必要な対応を取るよう努める」と応じた。

 質疑の後半では、iPS細胞を活用した再生医療の競争力強化も議論された。山田氏は製造コストが大幅に低下しつつあるiPS細胞を「医療インフラ」と位置づけ、その製造に必要な血液の国内採取を制限している血液法の規制緩和を訴えた。現状では国内のバイオ産業が米国などから高額で血液細胞を輸入せざるを得ないとし、「再生医療に特化した採血の適用除外、または新法の制定が必要だ」と主張した。

 中国政府は近年、死刑囚由来の臓器使用を廃止し自発的な臓器提供制度へ移行したと説明しているが、その透明性と検証可能性をめぐる国際的な議論は続いている。今回の質疑は、日本においてもこの問題への関心を改めて喚起するものとなった。

山田宏参院議員のYouTube動画のリンク:

https://youtu.be/0AJGVAKZb1E?si=nBxKuk5wCkQz5HU4