(イメージ:ちゃみ/ PIXTA)

 武漢肺炎(新型コロナウイルス感染症、COVID−19)は既に世界188カ国に蔓延し、非常に深刻な状況が続く中、各国は北京への損害賠償請求を検討している。豪州メディアの報道は、中国共産党政権は約6.5兆豪ドル(日本円で約443兆円)の国際社会からの請求に直面し、オーストラリアの国会議員の中には、「中国共産党政権はニュルンベルク式の裁判を受けるべきだ」との声もあると伝えた。

 20日、オーストラリアのチャンネル9ニュース・ネットワーク(Nine Network)が放送した番組「60 Minutes」によると、米国では、「中国政府は怠慢や嘘で武漢肺炎の流行を隠ぺいした」として集団訴訟を起した被害者グループが、中国共産党政権に損害賠償を求めていると指摘した。

 この集団訴訟は、米フロリダ州のバーマン法律事務所(Berman Law Group)のチーフ企業戦略家ジェレミー・アルターズ(Jeremy Alters)氏が主導している。彼は「この訴訟の根拠となる事実は、中国共産党政権自身が疫病の流行を認識していながらも、それをコントロールしなかったことであり、彼らが隠蔽したことにより、我々の社会、国家、アメリカ、オーストラリアとその他の地方、全てが苦境に陥った」と表明した。

 現在、約1万人がこの訴訟に参加している。参加者のロレーヌ・カッジャーノ(Lorraine Caggiano)氏も武漢肺炎の被害者であり、彼女自身を含む家族10名が感染し、その中で彼女の父親を含む2名が死亡した。彼女は深刻な様子で「“真実”を中国(中共)政府に追及する」と語った。

 英国シンクタンクのヘンリー・ジャクソン協会(Henry Jackson Society)アジア研究センター長のマシュー・ヘンダーソン(Matthew Henderson)氏は「実際、中国では早期から医師や科学者から疫病の発生を指摘されていたが、北京当局は反対に彼らの口を封じ、全世界を恐怖に追い込んだ」と述べた。

 ジェレミー・アルターズ氏は「もし中国(中国共産党)政府が米国での裁判を拒否しても、米国の裁判所は判決を下すことができる(米国にある中国の資産を差し押さえられる)」と推測している。

 オーストラリアの連邦上院議員アマンダ・ストーカー(Amanda Stoker)氏は、「世界各国が国際法廷に訴訟を提起し、ニュルンベルク裁判のような方式で北京当局に裁判を受けさせることができる」と述べた。

 ニュルンベルク裁判は近代史における重大事件といえる。第二次世界大戦後、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連の連合国の軍事裁判所は、ドイツのニュルンベルクでナチスの戦争犯罪者を裁いた。

(翻訳・柳生和樹)