米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)は4月29日、深刻で致命的な欠陥があるガス発生装置中国製エアバッグインフレーターの使用を全面的に禁止すると正式に発表しました。これらの装置は2023年5月以降に米国へ不法輸入されたものであり、全米で発生した十数件の交通事故において、少なくとも10名が死亡、2名が重傷を負う原因となっています。
NHTSAの調査結果によりますと、問題のインフレーターはすべて中国の部品メーカー「DTN」によって製造されたものです。これらの粗悪な装置は、極めて危険な状態を引き起こし、乗員の生命を脅かします。車両が衝突した際、正常なエアバッグのように膨張せず、乗員を保護しません。逆に異常爆発を起こし、金属の破片が散弾のように運転手の胸や首、目、顔面へと飛散する恐れがあります。DTN社は、米国市場に流入した装置は偽造品である可能性があると主張し、米国へ部品販売を行ったことを否定しています。しかしNHTSAは、問題の装置が純正品であれ偽造品であれ、致命的な欠陥が存在するという結論に変わりはないと明言しています。
現在判明している12件の死傷事故では、該当車両は過去に衝突事故で修理された際、いずれも規格外のDTN製ガス発生装置を含んだエアバッグモジュールに不正に交換されていました。これらの致命的な交換部品は現在、主に中古のシボレー・マリブ(Chevrolet Malibu)およびヒョンデ・ソナタ(Sonata)の2車種で多く確認されています。直近の死亡事故でも、該当車両はシボレー・マリブであることが報告されています。 NHTSAは、これらのインフレーターは不法に輸入されたもので流通経路が不透明であるため、実際のリスクは上記の2車種にとどまらない可能性が高いと警告しています。
米国では、こうした粗悪なエアバッグ部品が「異常爆発」を引き起こす致命的な凶器と化している一方で、中国国内の自動車市場では長年、エアバッグに関するもう一つの極端な問題が指摘され続けてきました。それは、重大な交通事故が発生した際にエアバッグが全く機能せず、作動しないという問題です。
中国の自動車品質情報サイトや複数のメディアの報道によりますと、近年、中国国内では深刻な交通事故においてエアバッグが作動しないケースが何度も発生しています。ある報道事例では、吉利自動車のセダンが高速道路で、3台が絡む重大な追突事故に巻き込まれました。この事故では、ボンネットなどが激しく損傷し、車両前部がほぼ大破したにもかかわらず、車内のエアバッグは一つも展開しませんでした。対照的に、追突された前方の車のエアバッグはすべて正常に作動していました。命を救うはずのエアバッグがなぜ機能しなかったのかというオーナーの強い疑問に対し、販売店およびメーカーの技術者が現場を検査した後に下した結論は、「衝突の角度や位置が作動条件に達していなかった」というものでした。
中国の国内メーカーだけでなく、外資系合弁メーカーでも同様の問題がたびたび報告されています。過去の報道では、複数の乗員を乗せたトヨタ・ハイランダーが高速道路で激しい衝突事故を起こし、フロント部分が大きく破損して死傷者が出るほど車両が損傷したにもかかわらず、車内に7つあるエアバッグが一つも作動しなかったという事例がありました。被害者の家族が自動車メーカーに説明を求めても、メーカー側の回答は「衝突角度がテスト基準に適合していない」「センサーに正確に当たらなかった」「減速度が作動基準値に達していなかった」など、ほぼ同じ説明に終始するケースが多いとされています。
このように「いざという時に展開しない」という問題が続く背景には、明確な法規制や統一基準が定められていないことが指摘されています。現在、国によるエアバッグを作動させる為の具体的な条件が決められていないため、作動条件は各自動車メーカーが独自に設定しているのが実情です。これにより、事故発生後もメーカー側が自社の基準で自己判断できる状態となっており、消費者は再現困難な事故現場の検証を前に、泣き寝入りを余儀なくされるケースが後を絶たないと言われています。
異常爆発を起こして乗員を死傷させるケースであれ、いざという時に作動しないケースであれ、これらの不適合なエアバッグおよび関連部品は、道路交通において重大な脅威となっています。この深刻な安全上の問題に対し、米国のショーン・P・ダフィー運輸長官は声明の中で、すでに死傷者を出している違法部品の使用を禁止することは、道路の安全を確保する上で極めて重要であると強調しました。また、米国運輸省は法執行機関と緊密に連携しており、致命的な欠陥装置を輸入または販売した組織は厳正な処罰を受けることになると述べています。
被害を未然に防ぐため、NHTSAは中古車の所有者および購入予定者に対し、車両の過去の修理履歴を確認するよう注意喚起を行っています。NHTSAによりますと、2020年以降にエアバッグが展開するような衝突事故を起こしており、メーカーの正規ディーラーで当時の修理が行われていない場合、信頼できる整備工場で点検を受けることが推奨されています。また、万が一車両にこのような粗悪なインフレーターが取り付けられているのを発見した場合は、安全な純正品に交換するまでその車両の運転を控えるとともに、直ちに関係機関へ通報するよう呼びかけています。
(翻訳・吉原木子)
