2026年春、ある火葬場の出棺案内のスクリーンショットがSNS上で広く拡散され、大きな関心を集めました。
Xの投稿者「作家・崔成浩」が公開したスクリーンショットによると、4月15日、中国のネットユーザーがある火葬場で衝撃的な掲示を撮影したとされています。亡くなった人たちはいずれも90年代生まれの若者で、その多くに「遺骨不要」と記されていたことが、見る人に重い衝撃を与えました。
スクリーンショットの内容を見ると、これはある火葬場の「2026年4月15日出棺案内」とみられ、死者は男性4人、女性4人の計8人でした。全員が90年代生まれの若い男女で、最年長でも33歳、最年少はわずか24歳でした。さらに不可解なのは備考欄で、8人のうち5人に「遺骨不要」と書かれていたことです。死因は記されておらず、残る3人についてのみ「病死」と記載されていました。
これらのスクリーンショットから浮かび上がる「若年層の死亡増加」と「葬儀負担の増大」という2つの問題は、いずれも現実のデータによって裏付けられています。
近年、中国で広く議論を呼んだ突然死の事例は、地方幹部、教師、一般職員など、中年層から若年層に集中しています。医学研究もこの傾向を裏づけています。2023年に発表された「中国循環雑誌」の研究では、若者の突然死は、長期にわたる慢性的な疲労や強い精神的緊張と密接に関係していると指摘されています。
原因別に見ると、心臓が原因の突然死が7割以上を占めています。全国統一の統計はないものの、中国心血管健康連盟は、毎年およそ55万〜60万人が心臓性突然死で命を落としていると推計しています。
医学界では、長期間にわたる高ストレス環境によって交感神経が興奮し続けると、冠動脈のけいれんを引き起こし、何気ない残業や夜勤の最中に致命的な事態が起きる可能性があると広く考えられています。
新浪財経の報道によると、4月6日未明、上海市第十人民医院の循環器内科に所属する張毅主任医師が、手術を終えたあとSNSに「1時間で心筋梗塞が6人来た。そのうち3人は急性だ。今回はあまりにも集中している」と投稿しました。張医師は、「最近、若い心筋梗塞の患者が明らかに増えている」とつづっています。
中国のTikTokブロガー「暮朝思」も動画の中でこう語っています。「2026年は、心筋梗塞になる人がさらに増えるだろう。以前は肺がん、食道がん、腸がんに注意しろと言われていたが、今は心筋梗塞や脳梗塞が上位を占めている。しかも心筋梗塞で亡くなる人は、どんどん若くなっている」
こうした背景として、職場環境の問題が大きいと考えられています。ここ10年以上、中国では「過労死」にあたるケースが何度も報じられてきました。2015年には、深セン市で36歳のIT従事者が長期残業の末に突然死しました。インターネット業界や建設業界でも、同じような事例が相次いでいます。95件の事例を対象にした研究では、約7割に明らかな長時間労働が確認されましたが、最終的に労災と認定されたのはわずか15%にとどまりました。残る多くのケースでは、遺族が不法行為として損害賠償を求めるしかありませんでした。明確な立法や統一基準が欠如しているため、「過労死」の認定は長年にわたり困難なままです。
3月24日には、Xユーザー「YiFeng Su」が投稿した動画も注目を集めました。中国のある地域とされる工場で、夜勤中の作業場の中、若い男性労働者が椅子に座ったまままったく動かなくなっている様子が映っていました。動画の字幕には「今年に入って夜勤中これで3人目の突然死」と書かれていました。
2021年には、中国最高人民法院と人力資源社会保障部が、「見えない残業」も規制対象に含めることを明確にしました。しかし、実際の現場では、製造業の出来高制、サービス業の変動シフト、インターネット業界の即時メッセージによる業務対応などによって、労働時間の境界はますますあいまいになっています。細切れの残業は監督しにくく、それでいて従業員の健康を蝕む深刻さは少しも軽くなっていません。
もし突然死が、命そのものが過度にすり減らされている現実を示しているのだとすれば、「遺骨不要」という言葉は、今度は葬儀や埋葬にかかる費用が家族に与える重圧を映し出しています。複数の業界データによれば、中国の4つの一線都市では墓地価格が上がり続けています。現在、北京の墓地の平均価格は約193万円(8.3万元)、上海は約233万円(10万元)、広州は約100万円(4.3万元)、深センは約150万円(6.4万元)とされています。
中にはさらに極端な例もあります。2023年、上海のある墓地が約1000万円(46万元)で取引され、大きな話題になりました。長期的な流れを見ても、価格上昇は明らかです。たとえば大手企業の福寿園では、墓地の平均価格は、2013年には約158万円(6.8万元)だったのが、2024年には約280万円(12万元)まで上昇し、この10年でほぼ倍になりました。
その背景にある大きな理由の一つが、供給の絞り込みです。たとえば上海では、営業用墓地の用地が総量規制の対象となっており、通常の建設用地計画にも組み込まれていません。それに対して死亡者数は増加しており、需要と供給の矛盾はさらに深まっています。全国で見ても、営業用墓地の数は1598か所から1386か所に減少しており、多くの省で新たな墓地の認可が停止されています。
さらに、墓地の使用権は通常20年ごとの契約とされ、期限が来れば管理費の更新が必要になります。更新しなければ、移転処理の対象になる可能性もあります。つまり墓地は一度買って終わりではなく、長期にわたって費用が発生し続ける支出でもあるのです。
こうした高コストの圧力の中で、別の方法を選ぶ家庭も出てきました。すでに2016年の時点で、上海の住民が周辺都市に住宅を購入し、そこに遺骨を安置するケースが報じられていました。地域によっては、マンション一棟まるごと遺骨の安置場所になっているところすらあるとされます。また、海洋散骨の件数も増え続けています。上海では、海洋散骨の件数が1990年代には年間数百件規模だったのに対し、現在では年間1万件近くにまで増え、累計で31万世帯以上が利用したとされています。
こうした状況の中で、遺骨の引き取りをあえて放棄する家庭も現れています。それは一つのやむを得ない選択だと見られています。そこには経済的な重圧があり、同時に、葬儀や埋葬の費用が高すぎる仕組みに対する、受け身のかたちでの対応もにじんでいます。
最初に触れたあのスクリーンショットに戻れば、その真偽は今も確認できないものの、あれほど強い共感と反響を呼んだのは、そこに映っていた内容が、まさに現実に存在する一連の社会問題を突きつけていたからです。過労が常態化した職場、高騰を続ける墓地価格、そして十分とは言えない制度的な保障です。
そして「遺骨不要」と書かれたあの名簿が突きつけているのも、結局は同じ問題です。若者に対して、生きているあいだに人間らしく暮らせる条件を与えられず、亡くなったあとにも人間らしく送り出す余地すら用意できない社会だとすれば、それ自体が、正面から見つめなければならない深刻な社会問題だと言えるのではないでしょうか。
(翻訳・藍彧)
