2025年に中国で377の銀行が統廃合や解散となり、9,000以上の銀行店舗が閉鎖されたことに続き、中小金融機関のスリム化の波は2026年に入りさらに加速しています。今年は年明けからわずか100日余りの4月20日時点で、全国で70を超える村鎮銀行(農村部を拠点とする小規模金融機関)が解散や事業廃止の承認を受けており、前年同期の27行から167パーセントの急増となりました。この大規模な業界再編の中で、国有メガバンクや全国規模の中堅銀行は、傘下にある村鎮銀行の吸収合併や事業の切り離しを急ピッチで進めており、中国の地域金融システムの安定性に対して国内外から関心が高まっています。
農村部の中小金融機関が抱えるリスクを解消するため、中国の金融監督当局は合併や再編を対応策の柱と位置づけており、その手法も多様化しています。具体的には、小規模銀行同士の合併や、親会社である大手銀行の支店への事実上の組み込みといったケースが頻発しています。例えば天津市では最近、天津華明村鎮銀行が、同じく山東寿光農村商業銀行の系列である天津寧河村鎮銀行を吸収合併する事例が見られました。さらに今年初めには、重慶市、四川省、湖南省、遼寧省など各地で、複数の村鎮銀行が相次いで事業廃止手続きを完了しています。
同時に、大型銀行による傘下機関の整理も一段と加速しています。今年初め、交通銀行は新疆ウイグル自治区にある傘下の村鎮銀行を吸収合併し、自社の支店へと改組することが承認されました。これにより、交通銀行は自らが設立を主導した村鎮銀行事業から完全に撤退したことになります。中堅銀行の動きも同様に活発で、光大銀行は過去わずか3ヶ月の間に傘下の3つの村鎮銀行の整理を完了させ、既存の関連機関をゼロにしました。浦発銀行も今年2月に傘下の2機関を立て続けに廃止するなど、急速な再編を進めています。また、民生銀行も年明け以降、重慶市の機関を含む3つの村鎮銀行を吸収合併し、自社の支店として再出発させる承認を受けています。
このような大規模な業界再編の引き金となったのは、主に2022年に発生した河南村鎮銀行事件です。同年4月、河南省内の4つの村鎮銀行が予告なしにオンラインでの預金引き出しを停止し、約40万人の預金者、総額数百億元(約数千億円)規模の資金が凍結される事態となりました。この事件は、一部の地域金融機関における深刻なガバナンスの欠如を浮き彫りにし、中小銀行に対する国民の信用を大きく失墜させました。その後、地元である河南省内の預金者にはある程度の払い戻しが行われましたが、他省の預金者約1,000人の資金は現在に至るまで凍結されたままです。長年にわたり返還を求めてきた一部の預金者は、身元不明の集団からの脅迫や不当な拘束に度々遭っていると報じられています。今年の春節期間中にも、資金を凍結されて年越しの費用がないと訴える預金者が家族連れで河南省の監督局に赴き、説明を求める動画がインターネット上で拡散されました。100万回近く再生されたこの動画の背景には、不透明な銀行システムに対するネットユーザーの強い憤りと、金融機関の信頼性に対する深い疑念が存在しています。
しかし、村鎮銀行の大規模な淘汰は、単に一部の銀行の違法な運用だけが原因ではありません。現在のマクロ経済環境の悪化と、金融システム全体の脆弱性が集中的に表れた結果でもあります。近年、中国の経済成長は減速傾向にあり、不動産市場の低迷や一般企業の経営悪化も重なって、あらゆる業界が危機を乗り越えるためのスリム化を余儀なくされています。こうした厳しい環境の下では、リスクへの耐性が弱い中小銀行が真っ先に打撃を受けやすく、不良債権の増加や流動性の枯渇に直面しやすいのが実情です。
こうした情勢を受け、中国の金融監督当局は、中小金融機関の改革とリスク解消の推進を今年度の最優先課題に掲げました。吸収合併や支店への組み込みといった手法は、リスクの高い小規模銀行を一時的に大型金融機関の傘下に収めることで、連鎖的な破綻を防ぐ効果があります。しかし業界関係者は、これが単なる銀行数の減少にとどまらないと指摘しています。統合の過程には複雑な株式譲渡、資産査定、そして人員整理が伴い、その実行は困難を極めます。村鎮銀行の激減は、中国の地域金融システムが痛みを伴う大規模な再構築の真っただ中にあることを示しています。中国の金融エコシステムと国民からの信頼をいかにして根本から回復させるかが、今後の中国経済に重くのしかかる課題となっています。
(翻訳・吉原木子)
