「午後の断食」は、仏教における「八斎戒(はっさいかい)」という8つの規律の一つ、「不得過日中食戒(ふとくかじっちゅうじきかい)」に由来します。(Pixabay License)

 皆さんはこれまでに、さまざまなダイエット法を耳にしてきたことでしょう。なかでも「午後の断食(午後からの絶食)」は、減量や養生、長寿につながる食事法として推奨されることが多々あります。しかし、この方法がすべての人に適しているのか、その裏にどんな健康リスクが潜んでいるのかは、あまり語られていません。

 そもそも「午後の断食」のルーツはどこにあるのでしょうか。これは、仏教における「八斎戒(はっさいかい)」という8つの規律の一つ、「不得過日中食戒(ふとくかじっちゅうじきかい)」に由来します。具体的には「正午以降は食事をしてはならない」という教えで、現代でいえば「夕食を抜く」ことにあたります。
 しかし、その本来の目的は減量ではなく、食欲という煩悩を抑えることで、修行者が坐禅や修練に集中できるようにすることにあります。つまり、その本質は修行の方法であり、もともとは現代的な意味での「健康食事法」ではないのです。
 では、現代社会を生きる私たち一般の人が夕食を抜いた場合、体にどのような影響が出るのでしょうか。考えられる5つのリスクをご紹介します。

1. かえって太りやすくなる

 夕食を抜くと一時的に体重は減るかもしれませんが、体は飢餓感からすぐに「低代謝モード」に入ってしまいます。すると、通常の食事に戻した途端に体重が急速にリバウンドし、以前よりも痩せにくくなる傾向があります。

2. 胃腸のトラブルを引き起こす

 空腹時間が長すぎると、胃酸や胆汁のバランスが崩れて逆流を引き起こしやすくなります。これが胃粘膜を傷つけ、胃炎や消化性潰瘍のリスクを高める原因にもなりかねません。

3. 栄養不良

 慢性的な空腹状態は、脳がエネルギー源である炭水化物や甘いものを強く欲する原因になります。その結果、食事のバランスが崩れ、ビタミンや食物繊維、タンパク質といった重要な栄養素が不足がちになります。

4. 老化を加速させる可能性

 夕食を抜くストレスは、アドレナリンの分泌を過剰に刺激します。これにより体内のフリーラジカル(活性酸素)が増加し、細胞の老化を早めてしまう恐れがあります。

5. 消化器系リズムの乱れ

 食事の間隔が不規則になると、消化器系のリズムが乱れます。排便のタイミングが予測できなくなり、便秘や下痢といったトラブルが起こる確率が高まります。

 こうしてみると、やはり一般の人々にとって夕食は一日の活力を補い、体を修復するためにとても重要です。無理に抜くよりも、食べ方を少し調整するだけで十分な健康効果が得られます。ここからは、夕食をより健康的に食べる方法をご紹介します。

1. 量を少なめに

 夕食を食べ過ぎると、エネルギーの過剰摂取による脂肪の蓄積を引き起こし、寝ている間に胃腸が「残業」を強いられ、睡眠の質が低下します。お腹いっぱいではなく、「腹七分目」までがおすすめです。具体的には、胃が張らず、ほどよい満足感がある状態で箸を置くのが理想です。

2. 種類を豊富に

 中国・ハルビン医科大学公衆衛生学院の研究チームの発見によると、夕食に動物性タンパク質(肉類)の過剰摂取は、狭心症や心臓病のリスクを44%高めるとされています。そのため、夕食は一日の総カロリーの30%程度に抑え、低エネルギーな食事を心がけましょう。野菜:肉類:主食の割合を2:1:1にするのがおすすめです。野菜はできるだけ濃い色のものを選び、朝食と昼食の野菜摂取量が少ない場合は野菜の摂取を少し増やしも構いません。そして、主食は白米に玄米などの「粗穀」を混ぜるのがおすすめですが、消化を考えて全体の3分の1程度に留めるのが賢明です。

 夕食は、決して「省いていい食事」ではありません。「午後の断食」はあくまで修行法であり、安易な模倣は健康を損なうリスクを伴います。極端な制限よりも、バランスのとれた適量の夕食を楽しむことで、健やかで持続可能な体作りを目指しましょう。

(翻訳・慎吾)