トロントのフォー・シーズンズ・センター(Four Seasons Centre for the Performing Arts)が、脅迫メールを受けたとして神韻公演を中止しました。この事態はカナダの主要メディア20社以上で報じられ、公共の安全、外国からの干渉、そして芸術の自由に対する懸念が社会全体に広がっています。複数の連邦議員は、この事態を中国共産党(中共)による越境的な干渉とテロ行為を公然と非難しました。
警察は「脅威に根拠なし」と判断、劇場の決定に物議
事件の発端は、いわゆる「爆弾脅迫」でした。3月29日午後、劇場に脅迫メールが届き、観客が緊急避難する事態となりました。警察は迅速に捜査を行い、この脅威を「信頼性に欠ける」と断定しました。しかし、劇場側は「安全上の配慮」を理由に当日の公演を中止。さらにその後、「脅威の激化」を理由に残りの5公演すべての中止を決定しました。この判断は、外国からの干渉に屈した妥協的なものと見なされています。
神韻公演の主催者でもある広報担当者チップカー氏は、今回の虚偽の爆弾予告は「市民への悪質ないたずら」であると強調しました。過去2年間、カナダ各地で神韻を標的とした虚偽の爆弾・殺害予告が相次いでいるが、いずれも信憑性がないと判断されています。過去のケースでは、会場側が安全対策を講じた上で通常通り上演が行われてきましたが、今回のフォー・シーズンズ・センターのような決定は世界でも前例がありません。
連邦議員らが強く非難、「民主主義の価値観を守れ」と訴え
この事件は政界に強い反響を呼んでいます。 4月3日、カナダのベテラン連邦議員で元移民相のジュディ・スグロ氏は公開書簡を発表し、神韻に対する恐喝行為を強く非難しました。スグロ氏は書簡の中で、「これらの事件は単なる孤立した妨害行為ではない。カナダにおける合法的な文化的表現を意図的に威嚇し、沈黙させ、干渉しようとする行動だ。さらに懸念すべきは、これらの組織的な脅迫が劇場から国会議事堂や国家指導層にまで及んでいるという報告があることであり、これは我々の民主制度に対する許しがたい冒涜である」と述べました。
マーク・ドルトン連邦議員は政府に強硬な姿勢を求めました。同氏はこれを「極めて深刻な悪意ある行為」とし、メール一通でイベントが中止されるようになれば、今後さらに大きな影響を及ぼすと指摘しました。ドルトン氏は来週、神韻を鑑賞する予定であり、「神韻が示す善良さ、勇気、普遍的価値は芸術と文化の宝だ」と絶賛しました。
ネッド・クルック連邦議員は地元の劇場を訪れ、神韻の芸術家たちに表彰状を授与するとともに、家族全員で公演を鑑賞しました。同氏はトロントでの中止を「非常に憂慮すべき事態」とし、「中国共産党がカナダに浸透し、干渉を行っている縮図であり、危険な前例となりかねない」と述べました。
また、保守党のシュブ・マジュムダル連邦議員も強い懸念を表明しました。「政府が取るべき正しい対応とは、美しい芸術公演を平和的に提供する人々を保護し、市民の日常を守ることのはずだ。攻撃側による恐喝を成功させ、我々が守り抜いてきた自由をカナダ人から奪わせてはならない」と主張しました。
遠方から訪れた観客の落胆と期待
ノバスコシア州から訪れたチャンさんは、仕事を休み、家族4人でトロントへ空路で駆けつけました。以前モントリオールで神韻を鑑賞した彼女は、これが単なる芸術公演ではなく、道徳的価値や善良さを伝えるものであると理解しており、「子供たちにポジティブな力を感じてほしかった」と、中止への無念さを語りました。
トロント在住のアルバ・メンジバーさんとフリオ・チンチラさん夫妻は、広告を見てチケットを購入しました。アルバさんは「脅迫は怖くない。もし上演されるなら必ず劇場に行きます。警察や指導者が適切に対処してくれると信じているし、一日も早く神韻が戻ってくることを願っています」と話しました。
カナダに来たばかりの中国人、王浩宇さんと鄭恒通さんは、開演20分前に避難放送を耳にしました。二人はチケットを4月1日の回に振り替えましたが、その後の公演もすべて中止されたことを知りました。王さんは「中共政府が太平洋を越えてカナダ人の生活に影響を及ぼしている。これは完全な迫害だ」と憤り、「神韻は共産主義以前の輝かしい歴史や道徳、人文精神を示しており、中共が代表できるものではない。来年も必ず見に行きます」と言いました。
香港人団体:芸術の自由を破壊する中共を非難
トロント香港保護者会の謝家権会長は、「国家レベルの劇場が観客の安全を守る能力さえないのであれば、その運営資格が疑われる」と強い不満を表明しました。また、連邦警察に対し、脅迫メールの送信元の徹底捜査と、劇場内部に中共と結託した者がいないかの調査を強く求めました。
カナダ香港連合の黄冠能会長は、「今回の事件は明らかに中共による低コストの越境弾圧だ。爆破予告も明らかに虚偽であり、劇場側が中止を決めたのは不可解だ」と述べました。 カナダ「香港の友」などの団体もSNS上で発信し、「北京がトロントで何を上演すべきかを決めるべきではない」と批判しました。
神韻の使命と記録映画
2006年に法輪功学習者によって設立された神韻(シェンユン)芸術団は、「共産主義以前」の伝統文化の復興を使命としています。中国古典舞踊、オリジナル音楽、デジタル背景スクリーンを通じ、五千年の中華文明を再現すると同時に、中共による信仰への迫害も描いています。これこそが、中共が躍起になって弾圧する理由です。
英文新唐人テレビは最近、ドキュメンタリー映画『不屈:神韻が歩んだ真実の軌跡(Unbroken: The Untold Story of Shen Yun)』を公開しました。この作品は、過去20年間にわたり中共の越境鎮圧や爆弾・殺害脅迫にさらされながらも、伝統文化と信仰を守り続けてきた神韻芸術団の真実の物語を描いています。
(翻訳・黎宜明)

