今年に入り初めて、中国の広範囲にわたって大気の状態が非常に不安定となり、中国南部を猛烈な嵐が襲いました。広東省、広西チワン族自治区、雲南省などの各地で、雷を伴う突風や雹(ひょう)、豪雨などの荒れた天気に見舞われました。

 3月29日から始まったこの異常気象に対し、広州のSNS上では「まるでこの世の終わりだ」と恐怖を口にする声が相次ぎました。多くの地域で昼間が突然夜のように暗くなり、広西チワン族自治区の南寧や貴港の住民は「今が真昼間だなんて信じられない。完全に真夜中だ」と戸惑いを隠せず、雲南省丘北でも強風で一歩も外に出られない事態となりました。30日の朝には広州塔(カントンタワー)の上空で激しい稲妻が走り、瞬く間に黒雲が立ち込める凄まじい光景が広がり、多くの市民が大自然の脅威を目の当たりにしました。

 強風を伴う記録的な豪雨は、都市のインフラに深刻な影響を及ぼしました。29日から30日にかけて、広州では激しい雷雨とともに秒速17メートルから28メートルに達する猛烈な突風が吹き荒れ、わずか1時間で54.8ミリという、通常であれば1日かけて降る量の雨が一気に降る記録的な大雨となりました。SNSなどで「高圧洗浄機」と形容されるほどの猛烈な雨により、道路は瞬く間に冠水しました。高架橋もあっという間に川のようになり、ドライバーからは「まるでボートを操縦しているようだ」という悲鳴が上がりました。

 雨の勢いはワイパーの処理能力を超え、フロントガラスが滝のような水で覆われて視界が完全に奪われるほどでした。また、強風で沿道の看板がなぎ倒されたり、仮設コンテナや荷物が吹き飛ばされたりして、路上にはがれきが散乱しました。さらに、海珠区や茘湾区などの複数の地域では雹まで降る事態となりました。

 悪天候は公共交通機関にも大きな打撃を与えましたが、中でも高速鉄道の立ち往生は深刻な事態となりました。豪雨と局地的な竜巻の影響により、29日の午後、南広、貴広、広湛の各高速鉄道の区間で、強風で飛ばされた障害物が架線に引っ掛かるトラブルが発生しました。

 桂林北を出発して珠海へ向かっていたD3665号列車は、仏山西駅から広州南駅に向かう途中のトンネル内で緊急停車を余儀なくされました。車内は瞬時に停電して照明とエアコンが切れ、密閉空間は漆黒の闇に包まれました。5時間以上にも及ぶ足止めの間、車内はサウナのように蒸し暑く、次第に息苦しさが増し、一部の乗客が酸欠で倒れる事態にまで発展しました。暑さに耐えかねて泣き叫ぶ子供や、パニックに陥る大人もおり、車内は過酷な状況となっていました。乗客たちはスマートフォンのライトを頼りに不安な時間を過ごしていましたが、安全上の規定を理由に、乗務員が換気のために窓を割ることは認められませんでした。

 本来なら午後2時50分に到着する予定だった同列車は、夜の7時20分になってようやく目的地にたどり着きました。これに対し、中国鉄道の顧客サービスセンター「12306」は、今回の遅延は異常気象による不可抗力であるとして、賠償や運賃の免除には応じず、手数料なしでの払い戻しや乗車券の変更にのみ対応すると説明しています。

 高速鉄道だけでなく、市内の公共交通機関や空の便も大きな混乱に陥りました。広州市内では、傘を持たない大勢の人々が雨宿りのため地下鉄駅の出入口に殺到し、深刻な混雑が発生しました。将棋倒しなどの事故を防ぐため、一部の駅では上りエスカレーターを臨時停止する措置がとられました。空の便にも多大な影響が出ており、広州白雲国際空港ではフライトの大規模な遅延が発生しました。30日午後2時半の時点だけでも、発着便の欠航が120便以上、遅延が390便以上に達しています。

 猛威を振るう異常気象に対し、各地の気象当局は立て続けに警報を発表しています。30日午前までに、広東省全域で数十件に上る雹のオレンジ警報(上から2番目の警戒レベル)や、雷雨および突風の警報、豪雨の黄色警報が発令されたほか、気象部門は局地的な竜巻発生のリスクについても再三にわたり注意を呼びかけています。中国の中央気象台の予測によると、今後1週間は南西部の東側から江南、華南にかけての地域で引き続き雷雨が頻発する見込みです。広西チワン族自治区、広東省、福建省の大部分の地域では、引き続き大雨から豪雨に見舞われると予想されています。雷を伴う突風や雹、短時間の猛烈な雨など、大気の状態が非常に不安定な状況が続くため、当局は洪水や土砂災害への厳重な警戒を求めています。

(翻訳・吉原木子)