現地時間3月28日(土)午後8時ごろ、中国・山西省太原市小店区の親賢北街にある高層商業ビルで大規模な火災が発生しました。29日午前までの公式発表によりますと、この火災で少なくとも3人が死亡、23人が負傷し、そのうち9人が重傷を負っています。現在、出火の詳細な原因については引き続き調査が進められています。

 SNS上の動画や現場の目撃者の証言によりますと、火の勢いは異常なほど急速に拡大しました。最初の火の手は1階の飲食店から上がったとみられ、その後瞬く間に建物の外壁に燃え移りました。オレンジ色の猛烈な炎が壁面に沿って上へと燃え広がり、あっという間に屋上にまで達しました。立ち込める黒煙とともに、燃え盛る破片や瓦礫が上空から次々と落下し、現場には人々の悲鳴や泣き声が飛び交い、非常に緊迫した状況となりました。

 火災が発生したのは、多くの人が密集する複合商業ビルです。調べによりますと、同ビルの1階から5階までは主にレストラン、火鍋店、コンビニエンスストア、宝くじ売り場などの店舗が入り、6階から9階にはカラオケ店、インターネットカフェ、バーなどの娯楽施設が入り、10階以上はホテルやオフィスビルとなっています。火災発生時、ビル内および周辺のテナントの従業員や客は緊急避難しました。恐怖に怯え、叫び声を上げながら階段を探す避難者もいれば、ビル全体を飲み込む大火を絶望的な表情で見つめ、「自分の会社があの中にある」と嘆き悲しむ人もいました。当時1階の焼肉店で食事をしていたある女性は、鼻を刺すような焦げ臭い匂いに気づいてすぐに逃げ出し、幸運にも難を逃れましたが、あまりの恐怖にその後も震えが止まらなかったということです。

 当局から初期の死傷者数が発表されましたが、多くの現場目撃者は実際の被害状況について疑問を抱いています。複数の関係者によりますと、火災発生当時、この十数階建てのビル内には少なくとも100人から200人がおり、高層階のオフィスで残業している人もいたということです。あっという間に下層階から屋上までが火に包まれたため、上層階にいた人々の避難は極めて困難でした。複数の負傷者が次々と運び出されるのを目撃したという声もあり、その中には重傷を負い生命の危機に瀕している子供も含まれていました。さらにインターネット上では、猛火から逃れるために飛び降りを余儀なくされた人がいるとの噂も流れています。悲惨な救助現場を目の当たりにし、実際の死傷者数は公式発表をはるかに上回るのではないかと疑う市民も少なくありません。

 約30分後、駆けつけた消防隊員により火は消し止められましたが、現場は見る影もなく無惨な状況となっていました。ビルの外壁には広範囲にわたって痛々しい焼け焦げた痕跡が残り、1階に並ぶ店舗はほぼ全焼しました。ビルの下に停められていた多数の電動自転車も灰と化しており、その中には配達員がたった今停めたばかりの車両も含まれていました。

 火災が急速に拡大した原因として、外壁の断熱保温材の難燃性不足が広く疑われています。専門家は、下層階の炎が外壁と保温層の隙間に入り込み、強力な吸引作用で燃え広がる「煙突効果」の可能性が高いと指摘します。安価なポリウレタンフォームなどが使用されていた場合、引火すると有毒ガスを放出しながら固形ガソリンのように燃え上がり、避難経路を絶つ元凶となります。実際、2010年の上海市静安区(死者58人)や2022年の長沙市中国電信ビルなど、外壁の保温材が引き起こした高層ビルの大火災は過去にも繰り返されており、一部の建築材料が抱える負の遺産が改めて浮き彫りになりました。

 建築材料のハード面の欠陥に加え、今回の火災は「下層階が店舗、上層階が娯楽施設」という複合商業施設特有の「グレーゾーン」をも浮き彫りにしました。下層階は火を多用し電力負荷も高い飲食店が集中し、間違いなく火元になりやすい場所です。一方、上層階のカラオケ店などの娯楽施設では、燃えやすい防音材が大量に使われ、通路も迷路のように狭く人が密集しています。このように「導火線」の上に「火薬庫」が乗ったような危険な業態は、テナントの頻繁な入れ替わりや違法な改装工事、消防通路の占拠などを引き起こしやすく、日常的な抜き打ち検査だけでは防ぎきれません。結果として、書類上の「消防検査合格」が実際の火災現場で無意味になるケースが後を絶たないのです。

 地元住民やインターネットユーザーからは、関係当局に対して当該ビルの建築材料や消防検査記録の徹底調査を求める声が次々と上がっています。同時に、周辺の類似した複合商業エリアに対しても、日常的かつ厳格な是正措置を実施し、監督管理の死角を真に一掃してこそ、この街で再び同様の痛ましい悲劇が繰り返されるのを防ぐことができるのです。

(翻訳・吉原木子)