ネパール東部モラン郡の大学で、中国の習近平国家主席の著書が大量に焼却されたとされる事案が発生し、中国政府が強く反発している。
問題の事案は3月14日夜、モラン郡ブディガンガに所在するマンモハン工科大学で発生した。同大学の敷地内で、習近平氏の思想や統治方針をまとめた著書『習近平、国政運営を語る(The Governance of China)』数百冊が、他の廃棄物とともに焼却される様子を捉えた動画がSNS上で拡散した。映像には、複数の人物が書籍を掲げた後、炎の中に投げ入れる場面も含まれており、中国に対する意図的な侮辱ではないかとの見方が急速に広がった。
Copies of Xi Jinping’s book were burned during waste disposal at a Nepali university. After video spread online, the Chinese embassy demanded an investigation. Nepal’s Home Ministry then ordered a police probe and asked media to remove the footage.🤡pic.twitter.com/A9tQWzwuMO
— Terence Shen (@Terenceshen) March 18, 2026
これを受け、中国大使館は翌15日、ネパール外務省に対し外交文書を通じて強い懸念を表明した。中国側は本件を国家主席の尊厳に関わる極めて敏感な問題と位置付け、徹底した調査と厳正な対応を求めている。
ネパール政府も対応を急いでいる。内務省は直ちに調査を指示し、モラン郡当局を中心に警察や検察関係者を含む5人の調査委員会を設置した。委員会は15日以内に報告書を提出するよう求められており、政府として事態の早期収束を図る構えだ。
一方、大学側は政治的意図を否定している。副学長らは現地メディアに対し、今回の焼却は施設整理に伴う廃棄作業の過程で発生したものであり、下級職員が不用品として処理したと説明した。焼却された書籍については、長期間保管され湿気や白アリの被害を受けた結果、使用不能な状態だったとしている。また、中国との友好関係を損なう意図は一切なかったと強調した。
ただ、現場を確認した地元記者からは、焼却された書籍の中に比較的新しい状態のものも含まれていたとの指摘が出ており、大学側の説明との間に食い違いもみられる。
ネパールは近年、中国からのインフラ投資を受け入れるなど経済面での関係を深める一方、インドとの伝統的な関係も維持している。外交バランスに配慮を要する中で、今回の事案は新政権にとって難しい対応を迫る案件となっている。
警察当局は現在、動画の投稿者や焼却を指示した人物の特定を進めている。調査結果は数日以内に公表される見通しで、内容次第では外交問題としての波紋がさらに広がる可能性もある。
