2026年の中国における5月の大型連休では、消費市場においてかつてないほどの二極化が進んでいます。マクロデータ上、休日経済の局地的な盛り上がりは疑いの余地がありません。交通部門の推計によれば、今年の連休期間中、全国の移動者数は過去最高の延べ15億2000万人に達しました。北京や上海などの伝統的な人気都市が相変わらず人で溢れかえっているだけでなく、体験型観光を売りにする「穴場的な地方都市」や、音楽フェスやスポーツイベントをきっかけに注目を集めた一部地域でも、驚異的な客数の伸びを記録しました。この膨大な旅行者数と一部地域での消費の熱狂は、確かに人々の強い旅行意欲を示しています。

 しかし、この凄まじい観光ブームは、期待されたように全産業や地域へ均等に恩恵をもたらすことはありませんでした。華やかな賑わいの裏側には、定番スポット以外の地域で商売を営む個人商店主たちの厳しい現実があります。一般的な実店舗の経営者にとって、今年の大型連休はむしろ寒々しいものでした。本来、延べ15億人という巨大な旅行者数を背景に、自分たちの街や店舗にも恩恵が及ぶと期待していたからです。しかし現実は予想と大きく異なり、「過去30年、いや50年で最悪の連休だ」と諦め顔で嘆く業者もいるほどです。

 例年、連休中の商店街は全国的な観光地でなくともそれなりに賑わうのが普通でした。しかし今年は、こうした波及効果がすっかり消滅したようです。SNS上の動画によれば、南京の繁華街から大連の飲食店街に至るまで、特需を見込んだ商業エリアで人出がまばらとなり、休業に追い込まれる店舗が続出しています。現在も苦しい経営を続ける店主たちは悲鳴を上げています。10年以上婦人服店を営むオーナーは、「連休前はリゾート服の需要ピークだが、今年は極端に動きが鈍く、一日中客が来ない」と窮状を語りました。小売業だけでなく、飲食業やマッサージ店などのサービス業も大きな打撃を受けています。広さ80平方メートルほどのレストランで連休中の売り上げがゼロだったり、人通りを当てにしていたのに一日の売り上げがわずか数十元(数百円程度)にとどまるケースも報告されています。空っぽの店舗と期待外れに終わった「連休特需」を前に、多くの従事者が自信を失い、先行きに強い不安を抱いています。

 この大きな予想のギャップが生じた背景には、客足が特定の人気スポットに極度に集中していることに加え、「消費のダウングレード(節約志向)」と大衆の消費構造の深刻な変化が存在します。ある市場分析は、今年の連休消費を主導したのは高級志向の回復ではなく、「安価な実用品」と「コストパフォーマンス重視」の全面的な台頭だと指摘しています。身動きが取れないほど混雑した場所でも、「人は多いがお金は落ちない」現象が一般的になっています。人々の生活防衛意識は高まり、日常の支出は極めて慎重になりました。多くの観光客は「見て回るだけで買わない」か、飲食代を最低限に抑えています。以前は6、7人の食事で迷わず大皿を頼んでいたのが、今では細かく計算して小皿を注文するようになりました。「今の日常は野菜を買って自炊することであり、必需品以外の消費は避けている」と本音を漏らす人も少なくありません。人々の財布の紐はかつてなく固くなっており、膨大な旅行者数がそのまま全産業を潤す消費力に直結することは難しくなっています。

 根本を探ると、実体経済の不況は、マクロ経済の圧力と雇用市場の冷え込みをそのまま反映しています。近年、一部の外資企業の撤退や貿易構造の変化に伴い、多くの製造業で受注が激減し、生産拠点の海外移転を余儀なくされるケースも増えました。その結果、多くの労働者が収入減や失業の危機に直面しています。内需だけでは輸出産業の落ち込みを完全にカバーできないことが、現実として証明されつつあります。同時に、若者の就職環境も日に日に厳しさを増しています。一部の大都市では新規採用の給与水準が大幅に抑えられ、年初から安定した仕事を見つけられない人も多数存在します。30歳前後の若者の中には、長期にわたる就職活動での挫折の末、仕方なく高望みをやめて「現状を受け入れる」しかなくなっている人もいます。重くのしかかる生活のプレッシャーと将来への不確実性を前に、一般大衆は手元にわずかな貯蓄があっても、決して軽々しくお金を使おうとはしません。

 現在、中国社会における消費の格差はさらに拡大しています。少数の富裕層は依然として海外旅行や高級リゾートを享受する一方で、大多数の一般市民は細かく計算しながら日々の生活を維持し、限られた予算を最も基本的なレジャーに注ぎ込んでいます。一見往来が激しい都市でも、多くの個人商店は実質的に経営が行き詰まり、気力だけで持ちこたえているのが現状です。旅行者数やマクロデータが新記録を更新しても、市井の実体経済の苦境は覆い隠せないのが紛れもない現実です。このような「マクロな数値上の賑わい」と「ミクロな個人の生活苦」が織りなす強烈なコントラストこそが、今年の5月の大型連休における、最もリアルで複雑な社会の断面を映し出しています。

(翻訳・吉原木子)