中東での戦火が拡大し続ける中、米イスラエルによるイランへの軍事行動により、国際原油市場は深刻な打撃を受けています。国際原油価格は過去4年近くで初めて1バレル100ドルの大台を突破し、ニューヨーク先物やブレント原油も一時109ドルから120ドルへと急騰しました。この地政学的な影響の波及を受け、中国国内のガソリン価格も大幅に引き上げられました。

 2022年3月以来の最大引き上げ幅となる今年4度目の連続値上げとなり、市民の生活や各業界にただちに深刻な重圧をもたらしています。

 複数回にわたる価格改定を経て、国内のガソリンおよび軽油の年内累計値上げ幅は、すでに1トンあたり 1000元(約23000円)の大台を突破しました。マイカー所有者の給油コストが増加したほか、月に1万キロ走行する大型トラックの月間燃費が1000元(約23000円)以上急増するなど、物流業界も打撃を受けています。原油価格の際限ない上昇と供給が絶たれることを懸念し、各地のガソリンスタンドには長蛇の列ができています。黒竜江省や雲南省などの各地では、農業機械や自動車が殺到し、整理券の配布や駐車スペースの変更を余儀なくされる事態にまで発展しています。

 しかし、消費者が悲鳴を上げる一方で、末端のガソリンスタンドは「値上がりするほど儲からない」というジレンマに陥っています。原油コストの急騰により卸売価格は大幅に上昇していますが、小売価格の引き上げには制限があるため、価格差が急激に縮小しています。データモデルによると、ガソリンおよび軽油の利益は30%から最大60%近くも下落しており、エネルギー小売業界全体が深刻な利益圧迫、経営不振に陥っています。

 このような「値上げの嵐」と市民の「ため息」は、中国が外部エネルギーに大きく依存している深刻な脆弱性を反映しています。中国の輸入原油の4割以上を担うホルムズ海峡での脅威は、保険料や輸送コストを直接押し上げました。さらに厳しいことは、中国政府が安価な原油の戦略的備蓄源として長年イランに深く依存してきたことです。中国は、米国のイランへの制裁を回避しながら、ロシアの「影の船団」などを通じてイラン産原油を大量に購入し、同国を第3の供給国としてきました。

 今回供給が途絶えたことで、中国は日量約38万バレルの原油不足に直面し、輸入コストが20%から30%上昇する恐れがあります。ベネズエラに続きイランという供給源を失った今、頼れる安価な原油はロシア産のみとなり、今後の戦局次第ではエネルギー構造の支柱が崩れ、インフレと物価上昇が同時進行するスタグフレーションに陥る可能性すらあります。

 この危機に対し、中国政府は国内の大手石油精製企業に製品の輸出即時停止と新規契約の禁止を命じました。アジア第3位の輸出国が戦争勃発からわずか数日で厳しい制限を打ち出したことは、国内供給の安全確保を最優先していることを如実に物語っています。

 中東危機が脅かしているのはエネルギーの命脈だけではありません。中東における巨額の戦略的投資が完全に無に帰すリスクも突きつけています。イランは「一帯一路」構想の重要な一環であり、2021年に両国は総額4000億ドルの包括的協力協定に署名しました。現在、中国はイランのインフラ計画に数百億ドルを投入していますが、戦火による破壊に伴い、これらの資本投資が水の泡となり、巨額の協定も紙くずと化す恐れがあります。

 中国政府にとってさらに痛手なのは、自国が供与した軍事装備の実戦での実力が、国際社会の疑念を引き起こしていることです。イランの防空システムに配備されていた中国製のレーダーと防空装備は、今回の空爆でほぼ完全に機能しませんでした。イランはこれまで中国製の「JY26」レーダーや「紅旗9B」ミサイルを誇示し、高い対妨害能力とステルス機捕捉能力を豪語してきました。しかし実戦では、米軍ステルス戦闘機の接近と強力な電子戦を前にシステムは全く反応せず、指揮センターは瞬時に麻痺しました。

 こうした実戦での失態は初めてではありません。以前ベネズエラが巨費で購入した中国製レーダーも、米軍の奇襲時に何の警告も発せられませんでした。高度な電子妨害の前に中国製兵器の神話は完全に打ち砕かれ、同盟国に痛ましい代償を払わせることになりました。

 このような軍事的な挫折の裏には、地政学的な背景も絡んでいます。イランの核技術とミサイル産業は長年中国と深く結びついてきました。過去の秘密核協定から現在のミサイル用精密部品に至るまで、至る所に中国側の技術支援の影があります。米イスラエルによる作戦の核心的目標はまさにこの核およびミサイルシステムの徹底破壊であり、圧倒的な攻撃を受けたイランの兵器庫全体は消失の危機に瀕しています。

 中国政府にとって、イランが甚大な被害を受けたことは極めて重い二重の痛手となっています。経済面では不可欠な安価な石油供給が断たれ、高騰するコストが国内産業と国民に直接転嫁されることになりました。戦略面でも、数兆円(数千億元)の投資が絶望的となっただけでなく、中国製兵器の虚飾が剥がれ落ち、中東で長年築き上げてきた戦略的拠点と軍事的抑止力がかつてない破綻に直面しているのです。

(翻訳・吉原木子)