6月7日午後、中国広西チワン族自治区南寧市を稀に見る激しい強対流性気象が襲いました。強風、豪雨、雷が同時に襲来し、中でも南寧市興寧区の一部地域では竜巻の被害に見舞われました。竜巻によって倉庫の屋根が吹き飛ばされ、大量の鉄板が空高く巻き上げられました。高圧送電線に接触した瞬間、まばゆい火花が次々と飛び散り、まるで災害映画のワンシーンのような光景が広がりました。この突然の異常気象により複数の負傷者が出たほか、一部地域では停電も発生し、大きな注目を集めています。

 ネット上で拡散された動画には、南寧市興寧区建興路付近の様子が映されていました。発生当時の空は黒い雲に覆われ、視界は急速に悪化しました。猛烈な風が豪雨を伴って吹き荒れ、鉄板で造られた倉庫が風圧に耐えきれず崩壊しました。倉庫の屋根を覆っていた広範囲の鉄板は空中へと吹き飛ばされ、空を舞いながら回転し、巨大な刃物のように周囲へ飛散しました。その一部が高圧送電線に引っ掛かると、電線から連続して閃光が発生。大きな破裂音とともに火花が四方へ飛び散り、非常に危険な状況となりました。

 目撃者によると、竜巻はあまりにも突然だったといいます。「突風が一気に吹いてきたと思ったら、倉庫が一瞬で吹き飛ばされた。鉄板があちこちに飛んでいた」。住民の一人は、高圧線に鉄板が接触した際、「バンバンバン」という轟音が響き、「まるで爆竹を鳴らしているようだった」と振り返りました。火花を目にした近隣住民は、慌てて警備室へ避難したといいます。

 特に被害が大きかったのは、興寧区にある南天物流園でした。企業側の発表によると、7日午後5時頃、風速約50メートルの巨大竜巻が物流園内の吾悦配送センター上空を通過し、わずか数分の間に倉庫へ深刻な被害をもたらしました。屋根の大部分が吹き飛ばされ、被害面積は2000平方メートルを超えました。保管されていた貨物やスマート設備も損傷し、従業員4人が負傷しました。幸いにも命に別状はなく、大半の負傷者は治療後に職場へ復帰しています。

 当時物流園で働いていた男性従業員は、事前に目立った前兆はほとんどなかったと語っています。彼は荷物にラベルを貼っていたところ、突然風が急激に強まったことに気付き、近くに停まっていたトラックの荷台へ避難しました。すると避難して間もなく、自分のすぐ近くにあった倉庫の屋根全体が吹き飛ばされたといいます。男性は後になって「本当に命拾いした」と振り返りました。

 被害は物流園だけにとどまりませんでした。建興路近くにある自動車販売店では、店舗の看板や天井が強風によって破壊されました。従業員によると、事前に一部の窓やドアを閉めておいたものの、風の勢いは予想をはるかに上回り、店内の鉄製構造物や天井設備が吹き落とされたといいます。

 金橋路にある建材工場も被害を受けました。工場経営者によれば、天候の異変に気付いた従業員たちはすぐにシャッターを下ろして被害軽減を図りました。しかし猛烈な風は複数のシャッターを破壊し、その後豪雨が工場内へ流れ込みました。保管されていた大量の木材は雨水に浸かってしまいました。経営者は「シャッターそのものが変形してしまい、風を防ぐことなどできなかった」と語り、翌日になっても従業員たちが排水作業や被害物資の整理に追われていたと説明しました。

 物流園近くの住民たちも恐ろしい一夜を過ごしました。ある住民は、当日の風雨は異常なほど激しく、家の窓やドアをすべて閉めていても雨水が隙間から次々と入り込んできたと語ります。「とても外へ出られる状況ではなかった。窓を少し開けただけで雨が吹き込んできた」。住民によると、この状況はおよそ1時間近く続き、激しい風の音と雷鳴に不安な時間を過ごしたといいます。

 竜巻の影響で飛ばされた鉄板が電力設備に絡まり、送電線の遮断が発生しました。南梧路、邕武路、および秀廂大道北周辺では電力供給に影響が出て、多くの住宅地で一時停電が発生しました。広西電力網は直ちに復旧作業を開始し、作業員が夜通し対応した結果、当日午後11時35分までにすべての送電が復旧しました。

 気象データによると、今回の災害発生時、南寧市は典型的な強い対流性気象現象に見舞われていました。同日16時以降、興寧区三塘鎮や西郷塘区の一部では30~50ミリの降雨が観測されていました。暖かく湿った空気と上空の寒気が激しくぶつかり合ったことで積乱雲が急速に発達し、豪雨や暴風、さらには局地的な竜巻へと発展したとみられています。17時40分、南寧市気象台は興寧区の暴雨警報をオレンジから最高レベルの赤色警報へ引き上げました。また、西郷塘区にも赤色警報を発令し、青秀区と良慶区にはオレンジ警報を発表しました。気象当局は今後数時間で局地的に50ミリを超える降雨が予想されるほか、雷や短時間の暴風にも警戒するよう呼びかけました。

 近年、中国では竜巻そのものは決して珍しい現象ではありません。しかし発生時間が短く、被害範囲も比較的限定されるため、多くの人々はその危険性を十分に認識していないのが実情です。中国の気象当局によると、中国では毎年数十回の竜巻が発生しており、主に華東、華中、華南地域に集中しています。広西チワン族自治区、広東省、江蘇省、湖北省などは比較的発生頻度の高い地域とされています。

 2021年5月には湖北省武漢市と江蘇省蘇州市が同じ日に強力な竜巻に襲われました。武漢では多数の住宅が損壊し、多くの死傷者が発生しました。一方、蘇州の盛沢鎮では建物が吹き飛ばされ、電力設備も大きな被害を受けました。その後も広東省仏山市、山東省菏沢市、安徽省宿州市などで竜巻災害が相次ぎ、住民生活や工業生産にさまざまな影響を及ぼしています。

 中国で強対流性気象が頻発していることは、気象学界でも大きな関心を集めています。竜巻は局地的かつ小規模で突発的な強対流現象であり、極めて不安定な大気状態の中で形成されます。一般的な直径は100メートル未満で、発生から消滅までわずか数分から数十分しか続かないため、事前警報は非常に困難です。

 中国気象局が竜巻の監視・警報システムの試験運用を開始したのは2016年末になってからであり、関連研究は現在も発展途上の段階にあります。これに対し、アメリカでは半世紀以上にわたり竜巻警報システムの整備が進められており、平均して約15分前には警報を発令できる体制が構築されています。中国が同じ水準に到達するには、まだ長い道のりが残されているとみられています。

(翻訳・藍彧)